現金に手を出すなのレビュー・感想・評価
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【ジャン・ギャバンの貫禄、そして哀愁ある演技に惚れ惚れ。若い相棒をはじめとした人間関係の描写も生々しくて魅了される。銃撃戦などのアクションも見応えある粋な作品。】
■初老のギャング・マックス(ジャン・ギャバン)と相棒リトンは、引退前の最後の大仕事として5万フランの金塊強奪を成功させた。
だがある時、リトンが入れ揚げていた踊り子・ジョジィ(ジャンヌ・モロー)に事件のことを漏らしてしまう。
彼女が麻薬組織のボス、アンジェロ(リノ・ヴァンチュラ)であるの情婦だったことから、ふたりは目をつけられてしまう。
◆感想
・年代的に、ジャン。ギャバンの名は知れど、恥ずかしながらの初鑑賞である。だが、当時老齢の粋に合った、ジャン・ギャバンが演じるマックスの、相棒リトンの犯したミスを許容する懐の深さと貫禄ある演技には魅入られた作品である。
・マックスが引退を決意して強奪した5万フランを巡る若い麻薬組織のボス、アンジェロとの攻防も、現在見るとも足りなさは感じるが、今作は70年前に公開された作品である事を思うと、十二分に共用出来る。
<最近、自身が生まれる前の名作を愉しんで観ている。
コロナ禍は、人類に多大なる被害を齎したが、人類はそれに屈せずに、新たなる仕事の仕方(リモート会議:移動時間が無くなった。)や、娯楽で言えば様々な映像を配信するシステムを発展させたことが、大いなる禍の中で人類が切り開いた新たなる生活の仕方だと思う。
コロナ禍が起きる前には考えられなかった、新たなる仕事の仕方及び、叱られることは重々承知の上で、配信技術の大いなる伸長によって、家庭でも60年以上前の傑作を鑑賞出来る事に対し、コロナ禍で亡くなった方に哀悼の念を捧げつつ、【人類は決して負けないぞ!】という想いを持ちつつ、有難く鑑賞させて頂いた作品である。
当時の大スターって、気品があって、粋だなあ、と思った作品でもある。>
ジャン・ギャバンの魅力が冴える《フレンチ・ノワール》
1954年(フランス/イタリア)監督:ジャック・ベッケル。
原作はギャング出身の作家アルベール・シモナン
ジャン・ギャバンの魅力に平伏しました。
千両役者・・・本当にお金を払っても、一食抜いても観たくなる魅力。
だって観終わって「なんとも良い気分」で満たされるんだもの。
ジャン・ギャバンはちょうど60歳位ですね。
ギャングのマックスはオルリー空港で強奪した金塊5000万フラン分を、
自宅地下の新車のトランクに隠し、ほとぼりが冷めるのを待っていた。
そろそろギャング稼業からの引退を考えるマックス(ジャン・ギャバン)。
うっかり片腕のリトンにそれを漏らしてしまう。
更にリトンが愛人踊り子のジョジョ(ジャンヌ・モロー)に話す。
ジョジョはマックスと対抗する新興ギャングのアンジェロ(リノ・ヴァンチュラ)の愛人でもあった。
(ジャンヌ・モローは小さい役ながら、やはり曲者ぶりを発揮してます)
アンジェロにジョジョが伝えたことから、金塊の争奪戦の幕が降りるのです。
前半はマックスの日常や交友関係が描かれて静かに進みます。
ギャングさんの優雅な日常、酒に女にクラブ遊びとね。
マックスはモテるんだなあ、とにかく女に優しい。そしてマメ。
そして旧友のリトンとは腐れ縁で、これがマックスの泣きどころでしたね。
後半の30分は、急激にギャング映画の本領を発揮します。
リトンがアンジェロに拉致され、マックスはリトンと引き換えに金塊を渡すことを迫られる。
この金塊とリトンの交換シーンから、とんでもない銃撃戦に発展するのです。
ここがやはり見所でした。
機関銃を撃ちまくるジャン・ギャバン。
敵は機関銃+手榴弾ですよ。
夜間の道路で引き渡される金塊。
白黒画面に黒と白のクラシックカーが映えます。
金塊は渡されて、そこが着地点ではないのです。
ショッキングな展開をして苦く暗い筈のラスト。
ジャン・ギャバンの余裕の表情が、どこか救いになっています。
よく似た題名の「現金に体を張れ」とは、また違った犯罪映画でした。
理詰めで計画された「現金に体を張れ」より、エモーショナルに訴えてくる
「現金に手を出すな」
こちらの方が私の好み。
楽しかったです。
とにかくジャンギャバンが超クールの一言! ダメな相棒に振り回される...
優雅さの極み
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