「こう…なんというか…午後のロードショーっぽい映画です…」パニック・ルーム たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
こう…なんというか…午後のロードショーっぽい映画です…
パニック・ルームと呼ばれる避難用のシェルターに立て篭る親娘と、彼らをパニック・ルームから追い出したい強盗との応酬をスリリングに描くサスペンス映画。
監督は『セブン』『ファイト・クラブ』の、映像作家の鬼才デヴィッド・フィンチャー。
主人公メグを演じるのは『タクシードライバー』『羊たちの沈黙』の、レジェンド名優ジョディ・フォスター。
強盗一味のリーダー、ジュニア役に『ファイト・クラブ』に続きフィンチャー監督作品に出演している、後のオスカー俳優ジャレッド・レトー。
メグの娘サラ役には、子役時代のクリステン・スチュワートがキャスティングされている。
『セブン』や『ファイト・クラブ』を撮った監督が作ったとは思えない、緊張感に欠けたB級サスペンス。
個人シェルターに閉じこもった母娘vsそこから母娘を追い出したい強盗一味という構図には面白さがあるが、この発想以上の面白さが映画中には存在しない。
冒頭にあったメグの閉所恐怖症っぽい描写にはなんの意味もない。この設定いる?
強盗団はお間抜けで楽しい感じ。『ホーム・アローン』観てるんじゃないんだから、マジでヤバい奴らを犯人にした方が緊張感が出たのでは?
後半はバイオレンス感が強くなるが、それでもバカっぽさが抜けきれていないため、やっぱり間抜けに見えてしまう。
フォレスト・ウィテカー演じるバーナムの扱いも中途半端。
もっと善と悪の狭間で揺らぐ男として描かないとあんな設定にした意味なし。
最後の逮捕の件ももっと悲劇的でドラマチックに描けたはず。
彼にもっと感情移入できるように、人物像の深掘りが必要だったように思う。
後半のジョディ・フォスターは完全にジョン・マクレーンにしか見えなくてちょっと面白かった。
深夜に電話で呼び出された挙句、ボコボコにされるだけの存在である親父さんがあまりに悲しすぎて、一周回ってギャグシーンみたいになっていてついつい笑ってしまう。
そもそも、空き家だと思っていたら人がいました、って時点で普通は一旦計画を中止して、2人が留守になった隙を狙って再度計画を実行するというのが普通なのでは?
てか、元々強盗するつもりもなく、ただの空き家で仕事をするつもりだったのなら、3人目の男を雇う意味無くね?充分2人でやれたでしょっ!
昔、金ローや午後ローでこういう面白くもつまらなくもないサスペンスをよく放送していたなぁ、と感慨深くなりました。
フィンチャーらしい映像表現も少しはありますが、まぁ今さら観る価値のある映画ではないでしょう。