「【絢爛華麗、幻想優美、哀切無情。オペラ座の怪人2024年に華麗に再降誕。ロイド=ウェーバー版舞台を可なり忠実に再現しながら、VFXを駆使した映像美や主役3名の圧倒的な歌唱力に一気に引き込まれる作品。】」オペラ座の怪人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【絢爛華麗、幻想優美、哀切無情。オペラ座の怪人2024年に華麗に再降誕。ロイド=ウェーバー版舞台を可なり忠実に再現しながら、VFXを駆使した映像美や主役3名の圧倒的な歌唱力に一気に引き込まれる作品。】
■イヤー、久々に大スクリーンに繰り広げられる絢爛華麗、幻想優美、哀切無情な世界に一気に没入してしまったぞ!
映画の尺は2時間21分とフライヤーに記載されているが、体感1時間半かなあ。
◆感想<一応記す:内容に触れています。>
□主役3名の吹き替え無しの、生歌の凄さ
・ファントムを演じる、若きジェラルド・バトラーのパワフルな声量に驚く。特に高音域の声などはロックかと思った程である。
現在の彼は渋いバスに近い低音であるが、若き頃は天鵞絨のようなテノールなのである。しかも、声に艶と張りが有る。
・勿論、クリスティーヌを演じたエミー・ロッサムの伸びやかなソプラノと、幅広い声域を駆使した美しい歌声は、素晴らしいの一言である。
・ラウルを演じた、パトリック・ウィルソンはミュージカルスターでもあったので、実に安定した歌声である。
凄いな、と思ったのはクリスティーヌとのキスシーンで、唇を離した途端に歌い上げるシーンかな。一瞬、息を吸い込んでから伸びやかに朗々と歌い上げるんだよねえ。
□VFXの使い方
・冒頭の1919年のモノクロで描かれる荒れ果てたオペラ座内でのオークションのシーンから、一気に時が遡り1870年の華麗なるオペラ座のシーンへ移行する場面。
カットなしにオークションで競り落とされたシャンデリアが天井から落ちてくる中で、モノクロからカラーに変わるのだが、落魄したオペラ座が一気に華麗なる装いを帯び、人々の騒めきに溢れるシーンに変化する様の描き方のセンスの良さ。
・舞台ではスモークを使って演出していた、オペラ座の地下の湖やファントムが住む蝋燭に彩られた蠱惑的な住まいが、幻想的で美しく描かれているのも宜しい。
・舞台では描かれないラストのモノクロームで描かれるシーンも良かったな。1919年、老いたラウルが従者に連れられてクリスティーヌの墓を訪れるシーン。
ラウルが墓の前にオークションで競り落とした猿の人形を備えると、そこには一輪の薔薇とクリスティーヌがファントムの指に嵌めた指輪が置いてあり、モノクロームの薔薇が仄かに紅くなって行くのである。
ファントムのクリスティーヌを時を越えて想う気持ちが、伝わって来るのである・・。
<今作は、予想を遥かに超えて、忘我の如く、大スクリーンで展開される哀しくも美しきファントムとクリスティーヌとラウルが繰り広げる恋物語に引き込まれてしまった作品である。
優れたる映画は、20年の時を一気に超えて観る者を魅了するのであるなあ、と思った作品でもある。>