「小気味よい悪党たち」オーシャンズ11 sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
小気味よい悪党たち
久しぶりの再鑑賞となったが、改めて軽妙洒脱な台詞やスピーディーな展開が小気味よい作品だった。
凄腕の泥棒であり詐欺師でもあるダニー・オーシャンは、仮出所の身でありながら仲間を募ってカジノから現金を強奪する計画を企てる。
集まったのは彼の右腕でもあるラスティを筆頭に、前科持ちカジノのディーラー・フランク、資産家のルーベン、爆弾物専門のバシャー、双子のモロイ兄弟、曲芸師のイエン、メカニックの専門家リヴィングストン、往年の天才詐欺師ソール、そしてスリ師のライナス。
くせ者揃いの彼らは難攻不落ともいわれるラスベガスの巨大カジノを攻略すべく罠を仕掛けていく。
悪党どもが主役の場合、やはり観客を彼らに感情移入させるための工夫が必要だ。
まずキャラクターが魅力的かどうかだ。
残念ながらスピーディーな展開故か、導入部分の彼らの印象はとても薄く感じてしまった。
後々にいつも喧嘩ばかりしているモロイ兄弟や、寡黙なイエンのキャラクターは面白いと感じたが。
もうひとつは彼らがカジノを狙う理由に正当性があるかどうか。
これは狙われる側が観客にとっても嫌な存在であることが望ましい。
そしてカジノのオーナーであるベネディクトは知れば知るほどいけ好かない奴であることが分かってくる。
しかもベネディクトはダニーの妻テスを寝取った男だ。
これでダニーが彼を狙う理由に正当性があることが分かる。
あとはただ彼らがどうやってカジノから現金を強奪するのか、その手順を楽しめば良い。
計画が実行に移されていく様は観ていてとてもスリリングで小気味よい。
もちろんカジノ側だけでなく、観ているこちら側も騙されてしまう仕掛けが至るところに施されている。
そんなに上手くいくものかと呆れてしまう部分もあるが、観終わった後は素直にスッキリした気持ちにさせられる。
続編はまだ一度も観たことがないので、この後のシリーズの展開が楽しみだ。