「笑う門には福来たる。」オーシャンズ11 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
笑う門には福来たる。
新春顔見世興行。
日本でいうなら『白波五人男』。
『白波五人男』が、初演当時の人気役者に充て書きした見せ場あり(ex.女形と立ち役=アクション系の男役の両方をこなした役者への充て書き、女装した盗賊という設定)、人情話あり、立ち回りありの演目なのに引き換え、
『オーシャンズ11』は基本、クルー二氏とピット氏の掛け合い。そこに、敵役のガルシア氏が絡み、デイモン氏やチードル氏が味付けする、ギャグ満載のドタバタ劇。
元ネタのフランク・シナトラ氏版は未見。
”11人”の見せ場を一様作っているけれど、設定のための設定となってしまっていて、活きていない。脚本のせいだけでなく、キャストのスケジュール管理も大変だったんだろうなあ、なんて想像してしまう。
ゴージャスで愉快な一夜の夢を堪能する時間。
ラスベガスの華やかさにも触れらるし、豪華キャストも楽しめます。
映画は、「難攻不落の金庫に挑む」というクライムムービーなのだけれど、コメディ色が強い。
クライムムービーとしての手並みの良さ。と言いたいところだけれど、計画通りにいかなくて、ドキドキハラハラ。それもギャグを狙ってのこと?
クライムムービーとして見てしまうと、どうしても『スティング』と比べてしまう。月と鼈。
そもそも相手をはめる動機が…。
そして、ターゲットとされる相手の危険度が…。
だから、丁々発止のやり取りの緊張感が、この映画だと緩んでしまう…。
渋くて、セクシーの代名詞のようなクルーニー氏。
「難攻不落」に挑戦という役なんだけれど、要は未練たらたらの前彼女の今彼への意趣返し。ついでにお株を上げて元さやに戻りたい気満々という魂胆。
超クールな設定なのに、この情けなさ。憧れと同時に親近感を覚えてしまう。
そんな役回りにはまりすぎるクルーニー氏。人気の秘密はここか?
クルーニー氏より、ピット氏よりも、
『ブラックレイン』でファンになったガルシア氏びいきの私としては、
こんな扱いに腹立てつつ、三枚目的な役回りの彼を愛でる。男の魅力満載。クルーニ氏やピット氏よりお年上ですが、その分、渋みが加わっていいですね。
デイモン氏の、父へのコンプレックス全開の思春期男子っぷりもかわいい(何歳の設定だ?というところがすでにギャグ)。おかしみを醸し出す。この方ならではの良い役。
ロバーツさんがそんなに魅力的に見えないのに、超イケメン・最高級の男たちが取り合うのも、ギャグとしての設定か?
昔あった、新春かくし芸のように、ひいきの役者を愛で、その華やかさに酔う。
小難し風にみえる”作戦”なんてなんのその、
随所に見えるツッコミどころもなんのその、
ひたすらコメディチックな展開に笑うが良し。
それでも、格好よく見える彼らを愛でるも良し。
深く感動してとか、考えさせられてとかいう映画ではないですが(インタビューで監督も言っている)、だからこそ気軽に楽しめます。