ミュンヘンのレビュー・感想・評価
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報復
オリンピックでこんな悲惨なテロがおきていたなんて、恥ずかしながら全く知りませんでした。
人質にとられて結果、全員殺されてしまうなんて。
そんなことをして一体何になるというのか。
やられたらやり返す。それをいつまで繰り返す?
考えさせられました。
エリックバナの演技が素晴らしかった。
実話だから恐ろしい。
1972年、ミュンヘンオリンピック開催中に実際に起きたイスラエル選手襲撃事件、その後の犯人であるパレスチナ人11人の暗殺命令、いちれんの実話の映画化。
一年の延期はあったが、オリンピック開催中の今、観るべきかと思い観賞。
イスラエルの選手団には何の罪もないわけで、襲撃事件を命令されて、実行犯たちは抵抗はなかったのだろうか?犯人のパレスチナ11人の暗殺を引き受けた主人公たちでさえ、躊躇していたようなのに。
平和の祭典、二度とこんな事が起こりませんように❗️
そっちの話?
ミュンヘンの話かと思ったら、その後のモサドの報復作戦の話でした。
こっちの話は日本ではあまり知られていないですね。
知らないだけにスピル君お得意のサスペンスフル満載の映画です。
映画とは無関係ですが、この問題は日本人にはピンときませんが、永久に解説しないという意味では日韓問題と同じですね。
スピル君は、確かにどっちがいいとか悪いとかの視点を持たずに淡々と物語を進めたようですが、故にユダヤ・パレ双方から文句言われちゃったみたいです。当事者としては味方してくれないと面白くないですからね。
映画的に愉しませてしまうスピルバーグの撮り癖
何度見たろう。911をも画で言及する切実なテロ論にして、暗殺シーンの暴力描写とエンタメ性で見る側をどうしても映画的に愉しませてしまうスピルバーグの撮り癖。
それを知る最良の資料だ。
また見る。
本当に、なんて重たいものを背負った民族なんだろう
民族全体としての「自分たちの国」を持つことに対する情熱は、私の理解の及ぶ範囲ではない。
あれこそ世代を超えた「悲願」なんだろう。
主人公とアリの不思議な対話の中で、そんなことを考えた。
敵を殺すことで祖国のヒーローになれるとしても、なぜ彼らはそこにそこまでのエネルギーをかけられるのか。
何もかもが信じられず、自分の存在を消された状況で生きることで、混乱をきたした主人公。
祖国よりも、家族の安全と幸せを願った主人公。
彼の思考回路は、民族の存続や、悲願達成を願う文化の中では受け入れられるものではないのかもしれないが、私は彼の考え方のほうが自然に感じられる。
スピルバーグは、911があってこの映画を撮ったらしいが、彼の結論は「こんなことをしていても何の解決にもならないし、永遠に殺し合いは終わらない」ということだろう。
私もそう思う。
そして、自分の夫がこんな仕事をしていなくて本当に良かった。
あんな状態で体を重ねられたら、私はそれを吸収しきれない。
世の中にはきっと、とんでもない仕事をさせられている夫を支えている女性が沢山いるんだろうな……。
ユダヤ系のスピルバーグがこの映画を撮ったのは、シンドラーのリストと同じく、自身のルーツを考えるためもあったのではないだろうか。
また爆弾の量を間違えちゃったよ・・・ってシャレにならないんですけど・・・
イスラエルとパレスチナの仁義なき戦い。復讐が復讐を呼び、際限なき憎しみが連鎖する。ご存知のとおり、スピルバーグ監督はユダヤ人であるけど、どちらが悪いなどといった次元の映画ではないことは確かだ。1972年のミュンヘン・オリンピックにおけるパレスチナの“黒い九月”というテロリスト・グループは引鉄となり、報復合戦がはじまったという実話であり、国同士の諍いが一般人を巻き込んでいく様子はまさに戦争の縮図です。
イスラエル政府は諜報機関“モサド”に5人の暗殺指令を出すのですが、「契約などはなかった」という契約書に署名させる。完全に切り捨ての暗殺者。雇われたメンバーの人間性などは無視したかのような、単なる国策の道具にすぎない5人。爆弾専門家のロバート(マチュー・カソヴィッツ)などは爆弾処理しかしたことないおもちゃ屋さんなのに爆弾製造のプロとして扱われる(笑)。爆薬の量とか、不発手榴弾とか、笑うに笑えない設定によって果敢にも作戦の中枢をなすなんて・・・シリアスな中にも笑える場面が用意してあるのですが、重すぎるテーマのため場内は静かだったです。
報復の連鎖というテーマであるため、リーダーを命ぜられたアヴナー(エリック・バナ)はミュンヘン事変での悲惨な場面のトラウマを持ってしまったかのような描写。特に、自分たちがベッドや電話に爆弾を仕掛けたことから、ベッドに横たわるのも怖くなったかのようなアヴナーはリアルな演技でした。素人っぽい臨時の暗殺集団であることから、コミカルなスパイ映画のような雰囲気もあったのですが、そんな娯楽映画ではありません。イスラエルとパレスチナ、ユダヤとアラブの争いが今でも続いているんだ、と色々考えさせられる映画でした。
テロリストが“黒い九月(Black September)”にかけてあるのか、バンドが演奏している曲はサンタナで有名な“Black Magic Woman”だった。いい曲です。苦悩するエリック・バナは良かったですね。坂道の上では、ハルクに変身するかと思っちゃった・・・
【2006年1月映画館(試写会)にて】
正義という名の報復行為
ユダヤ人であるS. Spielberg監督が72年のミュンヘンオリンピック事件後の諜報機関モサドの一連の報復行動を描いた作品。
1948年イスラエル建国にはじまる、イスラエル人とパレスチナ人の血で血を洗う闘争。日本映画の「仁義なき戦い」をイメージしたら分かりやすいかも(いわば「カナン」の地をめぐる縄張り争い)。
ミュンヘンオリンピック事件に関わった重要人物を次々に暗殺しても、新たな指導者が出てきてイスラエルへの報復活動を実行させる。それを受けイスラエルがさらに次の報復措置をとる。憎しみと恐怖の連鎖。これはもう「戦争」としか言いようがない。
イスラエル国家の安全保障のためには、暗殺も容認されうるという考え方がイスラエル政府や軍、モサドのなかに存在する。
「敵」を殲滅し、命をかけて守るべき祖国とは何なのか。帰れる祖国の地が無いという経験がない日本人には本当に理解できないことかもしれない。
ユダヤ人であるS. Spielbergは本作品において決してイスラエルの正義を訴えるわけではなく、一歩引いた視点でイスラエルの暗殺チームリーダーの精神的苦悩を描いている。
スパイというより復讐劇に近く、とても観てて辛い、勘弁してください、それが人間だと思いたい
題名からミュンヘン事件のことをするのかと思ったのですが、その後のイスラエルの復讐というよりはイスラム社会への反撃だつたのですね。
ノーカントリーに代表されるような単なる人殺しではなく、心のある人間の苦しい心の様を観るにつけ、戦争やテロ、スパイ、抗争は非人間的だと感じさせられた点では、少しは救いもあったのだと、辛い中でも感じることが出来ました。
やはり、実話でないと共感が得られないのは、ハリウッドの殺人鬼映画がいかに異質なものなのかを物語っています。
ある意味現代のアメリカに対するアンチテーゼ、イスラエルは苦しんでいる、そういうことでしょうか。
神は人間の心の中にある、全ては人間次第、そう考えさせられた、deepな映画でした。
スピルバーグ嘆きの映画
東京オリンピックを控え気になるテロ事件ものと知って観る気になったがテロは冒頭だけでその後の報復がメインなので見当違いだった、加えて、ダニエル・クレイグが出ているからと言って007並みのスパイアクション映画を期待すると見事に裏切られる。
ミュンヘン・オリンピック(1972)で起きたパレスチナのテロ組織「黒い9月」によるイスラエル選手団襲撃事件とその報復工作を描いている。原作ジョージ・ジョナスは実際の元モサド工作員から聞いた話を基に書いたと言っているが真相は分からない。報復の暗殺部隊はモサドの精鋭ではなく面の割れていないセミプロ級を集めたので手際の悪さに疲弊する、実際に人違いで一般人を殺す悲劇もあったらしいが映画ではネグられている。ユダヤ系のスピルバーグだから原作に興味を持ったのだろうがアメリカで平和に暮らす彼から見たらテロと復讐の連鎖に一言「虚しい」と言いたかったのだろう。客観性を持たす為かパレスチナ人の言い分まで盛り込んではいるが映画ごときでは解決しないことはスピルバーグ自身も分かって作っていたのだろう、歯切れの悪い嘆きの映画になってしまった。
覚悟はしていたがヘヴィだった
2005年のスピルバーグ監督作品。
物語の枠組みは知っていて(実話ベースなので)覚悟して観たけれどずっしりと重かった。
サスペンス演出も流石の一級品。殺しをするのが素人臭さのあるチームでスマートでないところが恐ろしい。エグイ描写ありあり。(特に人が死ぬ様)
スピのショック演出が際立ってた。
復讐の連鎖は何も生まない、ということを体感で見せてくる映画。良かったがグッタリした。
知らない事だらけ!( ̄Д ̄;)
年齢的に、ミュンヘン事件どころか、その後の悲惨な報復についても全く知らなかったため、とても勉強になった。
事件の起こった時代ってのもあるんだろうけど、ヒトを襲う理由なんて下らない事だし、虚しいと思う。ラストで主人公のエリック・バナが質問するセリフが、この映画で伝えたいスピルバーグのメッセージなんだろう。
映画的表現の面白さはとてもすごい。全ては語らず、映像と流れで暗示する。時の経過は娘の成長で。
女スパイを暗殺する時に使う武器とか、細かなディテールも面白い。さすがはスピルバーグ!
報復の報復の報復
ミュンヘンオリンピック事件と、その後のモサドによる報復を描く。
スピルバーグは、『シンドラーのリスト』も作ってるし彼自身ユダヤ系だからなんとなくイスラエル寄りなのかなと思っていたがこの映画ではどちらでもない。
専門家が集まった暗殺チームがブラックセプテンバーの幹部を爆弾などで暗殺していくところはスリリングで良い。
何故か暗殺しなくてはいけないパレスチナ人は知識人でいい人にみえる。それがリーダーのアヴナーを苦悩させる。
後半は、次第に追い詰める側から追い詰められる側になっていく。
結局は報復の報復、その報復の為の報復、終わりがない。
国のない悲しみは、私にわからない。
1972年の事件だが2018年の現在でもイスラエルとパレスチナの関係は、変わっていない。
イスラエルとパレスチナの対立。長い歴史の中で流されてきた夥しい血。...
イスラエルとパレスチナの対立。長い歴史の中で流されてきた夥しい血。被害者感情に訴えれば、控えめに言っても、"自分たち"を正当化するだけの犠牲はいくらでもある。
しかし、被害者意識に駆られた報復は、なんの解決にもならない。暴力が生むのは暴力だけなのだ。暴力は被害者を新たな加害者にするばかりか、加害者自身から人間性をも奪ってゆく。
国家や民族、信仰、組織のために奪い合う命。その闘争は遠くから眺めれば、誇り高い英雄譚として人の心を惹きつけるものになるんだろう。でもその闘争の当事者になった時、人は初めて気づく。そこには何もないと。
親イスラエルであるアメリカ、特に映画産業において、イスラエル、およびユダヤに批判的であることは、容易なことではないだろう。とくにユダヤ系アメリカ人、つまり完全に当事者であるスピルバーグ監督が、反ユダヤ的な作品をつくるということは、日本人が考える以上に覚悟のいることだということは想像に難くない。
暴力で解決できることはなにもない。しかし、現実の脅威に対抗する手段としての軍事オプションという暴力装置が必要なのも事実。問題は装置が装置として機能しない時。アメリカが撤退したイラクは崩壊し、イスラム国が壊滅したはずのシリアでは今日もなお空爆が行われている。トランプが首都発言をしたイスラエルのエルサレムでは、デモ隊と警察との衝突が激化し、パレスチナ市民が数十人殺害された。
ミュンヘンオリンピックから46年。北朝鮮が平昌で微笑み外交をする裏では、いよいよ米朝の軍事衝突が懸念されている。暴力で解決できることはなにもない。それでも暴力を選ぶ覚悟が僕らにあるのだろうか。
スピルバーグならでは
スピルバーグって確かユダヤ人だよね❓だから出来た作品でもあるよね。ラストカットのあの背景とかも、撮影当時にはもう無かったのだから言葉以上に雄弁だし。
かといってイスラエル万歳な感じでもなく、祖国を守ることに誇りを感じていたアブナーが、最終的にはイスラエルの事を「何でもする国」とまで言わせてしまう。
結局、報復は何も生まなくて、生むのは憎しみの連鎖でしかない、そう原作者も、スピルバーグも言いたかったのかな。
ミュンヘン
1972年のミュンヘン・オリンピックで起きたパレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手殺害事件とその後のイスラエル暗殺部隊による報復の過程をリアルかつ緊迫感のあるタッチで描いた衝撃の問題作。
BGMをほとんど使っておらず冷たい静寂の中での暗殺劇はスリル満点。
ザラついた映像によって冷酷さ、
悲壮感を伝えるあたりはスピルバーグの上手さだと思う。
諜報機関“モサド”の精鋭5人による暗殺活動を描く部分で、
人一人を殺す目標達成の過程は計画通り行かないのもお粗末ですが、
映画の様に上手く行かないのもリアルでありスリリングでした。
人体破壊描写も気合が入っていて良かった。
テロリストを追うものがまたテロリストになり、
追うものは追われるものとなり、
そして報復が報復を生み出していく悪循環で終わりがない。
全51件中、21~40件目を表示