「何度も見たくなる」マルホランド・ドライブ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
何度も見たくなる
これは映画館で観なくて正解だったのかもしれない。最初はTV向け連続ドラマに仕立てようとしたこともあるが、とにかく謎だらけで何度も観たくなるからだ。そして、何度観ても新たな発見がある奥深い映画なのだ。TV版『ツイン・ピークス』の雰囲気をそのままハリウッドへと場所を移動した感じなのだが、観る者によって全く違う感想を与えるほどの緻密で難解な映画でもある。リンチ監督による『サンセット大通り』へのオマージュや50年代音楽への傾倒も感じられる。2度目を観ると、名前と細かな台詞にも納得がいくのですが・・・
本線はベティとリタの記憶取り戻すストーリーなのだが、ウィンキーズのダン、部屋の中のポスター、映画監督アダムとカミーラ・ローズ、ジョーの殺人、青の鍵、カウボーイ、怪しげな老婆ルイーズ、オーディション、ウィンキーズのウェートレスの名札、12号室と17号室の交換、ブロンドのかつらとレズシーン、バンドのないシレンシオ劇場とレベッカの歌、これらが“青い箱”を境にして全て後半へと有機的に繋がりを見せる。後半の冒頭ではいきなり名前に混乱させられるが、こちらが現実での名前であり、前半のストーリーが全て彼女の願望(または夢)であったことをうかがわせる。登場人物も全て重なり、初めて観たときの衝撃を思い出してしまう。
後半の時系列がかなり狂ってるように感じるが、思わせぶりな灰皿のアップから、目覚めた時のシーン以外は順序通りであるかと思う。小物のクローズアップや意味が無いようなシーンによって謎は深まるのだが、3度目を観てもまた疑問が残ってしまった(笑)。結局のところ、殺人の動機は同性愛の相手への嫉妬心からなのか、彼女が主役を射止めたことに対する嫉妬心なのかが掴めなかったが、どちらでもいいんでしょうね。
kossyさん
おはようございます。
コメントへの返信を頂き有難うございます。
「 行きたいところがあるの。」と、二人車で乗り付けた劇場シーンで面食らい、ベティとダイアンとの落差が、なかなか衝撃的でした。
kossyさんは理論的に突き詰めて捉えようとされるので、新たな気付きが見る度に有りそうですね 👀
kossyさん
負の空気を全身に纏い劇場を後にしました。
上演後に灯りが灯された後も、誰ひとり直ぐに立ち上がらず、シンとした館内でした。
とてもとても妖しく美しい、そして哀しい作品でした。