マッチポイント : インタビュー
スカーレット・ヨハンソン インタビュー
ウッディ・アレンが新たに見出したミューズ……それは、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのスカーレット・ヨハンソンだった。思えば老若問わず魅力あふれる女優を毎回起用しているウッディ・アレンなら、彼女に目をつけるのも時間の問題だったのだろう。
そんなアレン作品に参加したヨハンソンは、アレンの演出について、「監督は演出は押し付けるようなことはなく、そのシーンをどう演じるかということよりも、ビジュアル的にどう見えるかということにとてもこだわるの。もしうまくいかなければ、日を変えて何度も撮り直すのよ」と語る。「ノラの登場シーンは卓球をしている場面だけど、監督には最初に登場するノラの姿に、はっきりとしたイメージがあって、そのイメージ通りになるように、私は洋服を3回、髪型を4回変えて、あのシーンを何度も撮り直したわ」
そうして完成した作品は「実際に脚本を読んだときにイメージしたものになったし、ウッディ・アレンらしくて誇らしく思ったわ」という。「この作品を『ウディ・アレンの重罪と軽罪』(90)と比べる人がいるけれど、本作はもっとモダンで、監督はかなり今風の物語に息を吹き込んでいると思うの。これはカルマと贖罪の物語で、運命と運についても語られている物語だわ」
本作で彼女が演じたのは、女優の卵として単身ロンドンに渡ってきたアメリカ人女性ノラ。オーディションを受けても芳しい結果を得られず、女優としての芽はなかなか出ないが、男性を惑わす魅力を元来備えている。「ノラはいろんな意味でたくましいの。とにかく成功したくて、何でも最高のものを手に入れたい、生き残りたいって思ってる。過去を捨ててコロラド州の小さな町から出てきて、その場にじっとしていられないような必死さがあるの。でも、それが命取りになってしまうのね」
女優を目指すノラが出会った男性クリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)。皮肉なことに彼が「ある意味で名優だった」ことが、ノラの運命も狂わせることになる。「クリスはノラへの感情が本物だとノラに信じこませるのよ。すごい嘘つきだけど、名優で駆け引きを演じているのね。クリスが惹かれているのはノラとの体の関係だけ。それでいて妻とはもっと深い人間関係をなんとか築いているのよ」
そんなクリスを演じたジョナサン・リース・マイヤーズは、どうだった?
「とても素敵な人で、すばらしかったわ。映画を見るまでクリスが何をしているのか知らなかった。彼の演技は、全体を見るまで理解できないほど、とても複雑でいろんな面が入り組んでいたの」