「名匠フランク・ダラボンが、映画に向けて送った熱いラブレター」マジェスティック たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
名匠フランク・ダラボンが、映画に向けて送った熱いラブレター
1951年、赤狩りの横行するハリウッドの若手脚本家ピーターは事故により記憶をなくしてしまい、ある勘違いから田舎町ローソンで映画館復興のために働き始めるようになるのだが…というヒューマン・ドラマ。
監督/製作は『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のフランク・ダラボン。
主人公ピーターを演じたのは『マスク』『トゥルーマン・ショー』のジム・キャリー。
フランク・ダラボン監督作品ということで鑑賞。吹き替え版での視聴です。納谷悟朗さん最高!
『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』に比べると圧倒的に知名度が低い気がする本作。興行収入も大コケのようですね…
しかし、流石ダラボン作品。クオリティは非常に高い!『ショーシャンク』と比べても遜色のない素晴らしい映画でした。
ハリウッド黄金期を思わせる夢と希望に溢れた堂々たる王道映画。
そのためシナリオには意外性は無いが、これこそが映画だと思わせてくれる力強さを感じさせてくれる。
直球ど真ん中の王道ハッピーエンドではあるが、決して毒にも薬にもならない作品ではない。
ハリウッドで一流脚本家になることを夢見る主人公ピーターが理想とする映画、「痛み、尊厳、人間の本質、真実…」というテーマを映画中で完全に体現している。
ジム・キャリーといえばコメディー役者のイメージだったが、本作での演技は素晴らしかった。
軽薄で信念を持ち合わせていない小金持ちと、誠実で実直な青年を完璧に演じ分けており、こんなに良い役者だったのかと驚いた。
ハリウッドでの赤狩りという、正直日本人にはあまり馴染みのない事柄を描いているため、始めは少し飲み込みづらいとも思いましたが、人々との交流、夢のような恋、親子の絆、希望と信念といった人間にとって普遍的なものを描いており、予備知識がなくても全く問題なく楽しめると思います。
クライマックスでのピーターの演説は感涙もの。
体制に立ち向かい、自分の真実と信念を貫く主人公の姿には勇気をもらえます。
万人にお勧めできる、「映画の魔力」が詰まった傑作です!