マジェスティック : インタビュー
eiga.comでも報告した、つい先日のビッグニュース、“あの「インディ・ジョーンズ4」の脚本家がフランク・ダラボンに決定!”。感動作の監督として知られるダラボンは、スピルバーグやルーカスの盟友でもあるのだ。しかも、小西未来氏は「マジェスティック」でインタビューした際に、すでにたくさんのヒントを与えられていた?!
フランク・ダラボン監督 インタビュー
「ときどき僕は間違った時代に生まれてしまったんだと思う」
小西未来
どうして気づかなかったんだろう。フランク・ダラボン監督が「インディ・ジョーンズ4」の脚本を執筆するというニュースを聞いて、ぼくは自分の鈍さを呪ったものだ。ダラボン監督といえば、監督作「ショーシャンクの空に」と「グリーンマイル」の両方でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたほどの名脚本家だが、かつてはテレビシリーズ「若きインディ・ジョーンズの冒険」を数エピソードを執筆していたこともあり、「インディ」シリーズにゆかりのある人物。おまけに、数週間前に新作「マジェスティック」のインタビューをさせてもらったとき、ダラボン監督はたくさんのヒントを教えてくれていたのだ。
たとえば、監督のオフィスに張られたポスター。「ショーシャンクの空に」など自作のポスターと一緒に「プライベート・ライアン」のポスターが張られていて、そこには「Thanks for saying ‘YES’」というコメントと一緒に、スピルバーグ監督のサインが書かれていた。どうしてスピルバーグ監督のサインがあるんですかと訊くと、ダラボン監督はおやつのチーズスティックをもぐもぐと食べながら答えた。
「実は『プライベート・ライアン』の脚本を2稿ほど書いたんだよ。初めの段階しか関わってないけど、ぼくのアイデアっていうのは、そのあとの方向性を変える大きなものだったんだ。ノークレジットだけど、スティーブンと仕事をするのはエキサイティングだったよ」
ぼくはスピルバーグ監督の最新作「Catch Me If You Can」のセットビジットに行ってきたばかりだったので、その話をすると、ダラボン監督は言った。
「ぼくも、もう4回は見に行ってるんだ。スティーブンの仕事ぶりを見ると、ものすごい勉強になるからね」
このとき気づくはずだった。いくらスピルバーグ監督と親交が深いとはいっても、4度も見学に行けば、普通は迷惑がられるはずだ。ダラボン監督は「インディ4」の打ち合わせをしに行っていたのだ。きっと。
ダラボン監督が歴史マニアであることも、「インディ」シリーズの適任者である理由のひとつだ。監督デビュー作だった「ショーシャンクの空に」から最新作の「マジェスティック」まで、彼の映画の舞台はいつも過去なのだ。
「現代より過去のほうがよっぽど魅力的に見えてしまうんだ。昔は物事がずっと単純だった。テレビが発明される前の時代は、世界の進むスピードはもっと遅くて、人々はもっと他人を思いやる余裕があった。足を止めて、大事なことはなにか思慮する時間があったんだ。でも、現代は無意味で下らない情報が蔓延して、みんな現実と遊離してしまっている。ときどきぼくは間違った社会に生まれてしまったと思うよ。あるいは、間違った時代に生まれてしまった、とね。過去を舞台にした映画を作るのも、そのせいだろうね」