マジェスティック : 映画評論・批評
2002年6月17日更新
2007年6月22日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
ダラボンなだけに、ダラダラ長いなんて駄洒落もあるが…
名前がフランク・ダラボンだけあって彼の映画はダラダラ長い。ナンテ駄洒落を言う友だちがいるが、確かに長いね。前作「グリーンマイル」が3時間、今度の「マジェスティック」も2時間33分だ。でも、ダラダラ長いってのはちょいと違うと思う。ダラボンはキャラクターの感情の機微を丁寧に描くから必然的に映画が長くなるのだが、それこそが、観客をストーリーに引きずり込む彼のテクニックなのだ。文句を言いながら、結構泣かされた人も多いはずよ。
この映画で言えば記憶喪失になったジム・キャリーを助ける町の人々の真意がポイントだ。彼が戦争で行方不明になっていた映画館の息子と瓜二つだから、奇跡の生還と受け入れられるのだが、皆が皆そう信じたわけではない。この町はたくさんの戦死者を出して、その悲しみ、心の傷があまりに深かったから、そこから立ち直るには、奇跡の生還という希望が必要だったのだ。その切なさがドラマの土台を支えているのがいいと、私は思う。フランク・キャプラの受け売りだという批判もあるが、受け売りだってここまでやれば上出来じゃない。善意や優しさがストレート過ぎて、気恥ずかしくてついていけないってのは、分かる気もするけど。
(森山京子)