「「あ!」とか「え!」の後、最後には温かい気持ちになります」ラブ・アクチュアリー greensさんの映画レビュー(感想・評価)
「あ!」とか「え!」の後、最後には温かい気持ちになります
レビューが遅れましたが、昨年末に映画館の4Kリバイバル上映で観ました。
新年のお節の準備等に目処が立ったあたりで、ひと気の無い年の瀬の街中に出て、ゆったりコーヒーを飲んだり映画を観るのが好きなんです。贅沢なひと時です笑
公開当時は関心がなかったのですが、この2週間ほど前に「恋人たちの予感」を観た影響で、そういえばこの作品もラブコメで人気があったっけ?と思い、関心が湧きました。
最終的な感想は最後に書くとして、、、
この映画には、色々と「あ!」とか「え!」という驚き?がありました。
まず、本作では、様々な愛の形について9つのストーリーが同時進行しますが、それぞれに英国の有名俳優さん達が登場します(自分は、本作はヒューグラントさんのラブコメだと誤解してました)。こういう同時進行の形式はオムニバス形式ではなく、実際の映画作品名にちなんでグランドホテル形式というそうです。
もし自分が その俳優さん達の作品を以前から沢山見慣れていれば、そんなこともないのだと思いますが、有名な大ヒット作を通して一人一人俳優さんを覚えたような自分には、それらの方々が登場するたびにその大ヒット作での役柄が頭の中でチラついて、「あ!この声はスネイプ先生!(ハリー・ポッター)、「あ!ジョージ6世!」(英国王のスピーチ)、そして、極め付けは「わ〜、こんなところに脇役でミスター•ビーンが出てる!」、、、といちいち落ち着きなく反応してしまいました。ストーリー別に主役が何人もいるグラントホテル形式でなかったら、そんなにいちいち反応しなかったのかな、、、不明です。
それにしても一番驚いた配役は、デパート店員役で出てきたローワンアトキンソンさんでしたが、身体の軸がブレないからか、動作がめちゃくちゃエレガントで感動しました。あの顔芸はいつ出るか!?と思って身構えていましたが、ありませんでしたね笑
違う役柄なのに、ついついミスタービーンとして見てしまいました。
その他、ストーリーで軽〜く「え⁈」と驚いたところがチラホラ。
まず、AV俳優さんたちのエピソードや、女性を求めて渡米する男性のエピソードは、少し描くものしては突飛な感じがしました。突飛なストーリー設定とか普通あり得ないリアクションとか、そういうものが(そういうものも)コメディだというなら、そうなのかもしれないですけれど、ね。
この後いくつか挙げる、自分が「え?、あれ?」と思った箇所というのは全て、その感覚の違いが原因のような気がします。
例えば、あれ?と思ったのは、英国の新しい首相(ヒューグラントさん演じる)が、のちに恋人となる秘書のナタリーと運命的な出会いをする場面。初めて官邸入りした首相に対して、官邸スタッフ達が、年配のベテランスタッフから順番に首相に挨拶をして行きますが、その若い女性秘書はこともあろうに、首相との会話で驚くような下ネタ?を連発してしまいます。これも「え?」という感じだったのですが、恥ずかしい会話をしてしまった」と悔やむ彼女に対して年配スタッフ達が、誰でもそういう失敗をしちゃう時があるよ、ドンマイ!と励ましていて、、、これも驚きました(ピー音の連続のような会話だから、映画の中でもよく見るリアクションのように、てっきり年配の人達は咳払いしたり、眉間にシワを寄せたり、彼女をたしなめたりするものと思ってました)
他に ええ⁈ と思ったのも、やはりメインとなる首相と秘書のナタリーの恋をめぐるストーリーの中にいくつか、、、。
首相が気合のスイッチを入れる、ここ一番の曲が、なぜかポインターシスターズの Jumpでした。とかく出演者を英国人俳優で揃えようとすることで知られる英国映画。この作品もずっと英国のテイスト満載で来ていたのに(因みに作中に登場するスーパーモデルのクラウディアシファーさん(ドイツ出身)はイギリス在住だそうです)、バリバリにアメリカンなこの曲が唐突に流れ、少し驚きました。しかも、まさかヒューグラントさんがJumpに合わせて踊りながらスクリーンを左から右に横切るのを見るとは思いませんでした!(なんか、見てはいけない物を見てしまった感が、、、)
そして極め付けは、クライマックスで秘書のナタリーが、首相にピョーンと蛙のように飛びついたことです(ちょっと、ちょっと、、、お嬢さん!大好きな人に駆け寄りたい気持ちは分かるけど、そんな風に飛びついたりして、、、わわわ)まあ、見ているこちらがドギマギしても仕方ないのですが笑。
その他にも、クリスマスの日に小学生が演じる「キリスト降誕」の演劇中に、なぜピチピチのエビの配役があるの?(場面は馬小屋なのに。「飼い葉桶の役」とかなら、クスっと笑えるかもしれないけれど)などなど、細かいところで、え!? となることが多く、鑑賞後は、なんだか障害物競走を走り終えたような感覚になりました笑(え?と立ち止まっては走り、また立ち止まっては走り、、、)
うーん、でももしかしたら、「え?」となるのは、私の頭が常識に捉われ過ぎて固いのかもしれません。
(例えば、何もかもが本当にありえない突飛な設定のコメディを沢山観たら、固い頭も柔らかくなるかな?)
いずれにしても、9つのストーリーの中を駆け抜けるというのも、この作品以外ではなかなか体験できないことでした。
と、あれこれ言っておりますが、、、
あちこち納得がいかずに引っかかりまくり、立ち止まりまくった本作品ですが、作品があくまで色々な温かい愛の形を描こうとしているからでしょうか、観たあとには不思議な脳内物質が出たのか笑、あたまの中が”ふわぁ〜”とハッピーな感じになりました。
不思議ですが、結果オーライ⁈
おかげ様で良い新年が迎えられました!
またしばらく時間が経ってから観てみようかな。
最後に、蛇足ですがモヤモヤした箇所を。
クリスマスソングで起死回生を図る往年のロック歌手ビリーと長年の友人でもありマネージャーのジョーの関係性について。
念願のヒットを飛ばしたビリーがジョーに、お前と一緒にいることが俺にとって一番の幸せだと気付いた、というようなセリフを言います。え、、、この着地点にはLGBT的な意味合いがある?ない?、、、最近の社会傾向で、世間の普通の読み物や教科書のようなものでも、男性同士、あるいは女性同士がカップルの設定になっているものが増えているので、ビリーとジョーの着地点が分からずモヤモヤしてしまいました。この映画が制作されたのが20年前だから、考え過ぎかしらん?笑
そう言えば、ビリーの風貌がすこ〜し内田裕也さんっぽくて面白かったり(内田裕也さんの方がずっとハードコアなロッケンローラーですが)、ヒットしたクリスマスマスソングの演奏風景が、ロバートパーマーのAddicted to love のPVに似ていて(ミニをはいた綺麗どころがバックにずらっと並んでギターを弾く)、時代を感じたりしました。バブルの時代あたりでしょうか。
追記
映画終了後、後ろの席から20代の女の子2人が会話をしているのが聞こえてきました。1人の子が「私さ〜、勝手にこの映画は泣ける映画だと思い込んでて、、全然違ったぁ〜。途中、ちょっと寝ちゃった笑」と話していて、あまりに可愛いらしいお茶目なコメントだったので、「目が合ったら笑いがこらえなくなりそう」と思い、一生懸命目を合わさないようにしました。映画を観たあとに耳に入ってくる感想も、実は映画鑑賞の密かな楽しみの一つです(お二人の方、ごめんなさい〜、聞こえてしまったんです(^^;) )
そういえば、友達同士、ひとり、若いカップル、熟年ご夫婦、、色んな方が映画館に来ますが、お姑さんとお嫁さんの組み合わせって今まで遭遇したことがありません。お姑さんと映画に行けたら素敵だと思うんですよね。お姑さんとお嫁さんで一緒に観に行って、感想を言いながらお買い物して帰るとか、楽しそう〜(荷物は元気なお嫁さんが持つとよいと思います!笑)