キング・コング : 特集
ついに全米公開され、今週末には日本でも公開される「キング・コング」。「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」でオスカーを総なめにしたピーター・ジャクソン監督の最新作にして、名作モンスター映画のリメイクということもあり、注目度は抜群だが、そんな本作を鑑賞する前に、知っておきたい基礎知識をチェックしておこう。(文・構成:編集部)
「キング・コング」がもっと面白くなる基礎知識
■【その1】ピーター・ジャクソン監督が初めて「キング・コング」を見たのは9歳
ピーター・ジャクソン監督が初めて「キング・コング」を見たのは9歳。その瞬間に映画監督になることを決意したのは有名な話。
■【その2】ピーター・ジャクソン監督が初めて「キング・コング」のリメイクに挑戦したのは、12歳の時だった
ジャクソン監督が「キング・コング」のリメイクに着手したのは、何と12歳の時だった。針金に母親のストールを巻き付けてコングを作り、ボール紙に色を塗っ てエンパイアステートビルを、その背景となるニューヨーク市の風景は シーツに描いた。この3つは現在もジャクソン監督が所有しているが、映画は未完成。ちなみに、米ユニバーサルでこのリメイク企画を始動さ せたのが35歳だが、この時は企画が頓挫している。
■【その3】33年版のアン・ダロウの職業はエキストラの経験しかない女優の卵
「ザ・リング」シリーズのナオミ・ワッツが演じる本作のヒロイン、アン・ダロウは失業中のボードウィル俳優。ミュージック・ホールで曲芸やチャップリンの真似などを演じて観客を笑わせる身体派のエンターテイナーだが、33年版のアン・ダロウの職業は、監督に演技経験を問われて「エキストラの経験ならあるけど」と答える女優の卵。どんな演技が得意だったのかは言及されないが、アクション映画は得意ではなさそう。ちなみにこの役を演じたフェイ・レイには、監督メリアン・C・クーバーが密かに思いを寄せていたと言われている。ジャクソン監督も彼女の大ファンで、ナオミ・ワッツとともに会いに行っている。本作に彼女のカメオ出演を予定していたが、惜しくも04年8月に死去したため実現ならず。このフェイ・レイとクーパーの名前は映画に登場するので覚えておこう。
■【その4】キング・コングの映画を撮ろうとする監督のモデルはオーソン・ウェルズ
本作で「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックが演じるのはコングを撮影しようとする映画監督カール・デナム。このデナムのモデルとしてピーター・ジャクソンが意識した監督は「市民ケーン」のオーソン・ウェルズ。ジャクソンの発言によれば「企業家として1930年代にニューヨークのマーキュリー・シアターを経営していた頃の、まだ偉大な映画監督として認められる前の若き日のオーソン・ウェルズのような映画作家」をイメージ。さらにこの映画の監督デナムには「オーソン・ウェルズがそうだったように野心的で悪党っぽいところがある」そう。
■【その5】33年版のドリスコールの職業は一等航海士
本作で「戦場のピアニスト」のオスカー俳優、エイドリアン・ブロディが演じるジャック・ドリスコールは脚本家。33年版でアン・ダロウの恋人になるジョン・ドリスコールの職業は、一等航海士。しかも体育会系で運動が得意そうだが態度はぶっきらぼう。本作でエイドリアン・ブロディが演じるのは、本当は社会派劇を書きたい脚本家。文系気質であまり体育は得意じゃなさそう。この変更がピーター・ジャクソン版「キング・コング」の中でどんな意味を持つのかも注目ポイント。