アイランド(2005) : 映画評論・批評
2005年7月19日更新
2005年7月23日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
ベイ監督の大作馴れした剛腕が堪能できる
汚染された外界と隔絶され、殺菌・脱色されたようなモノトーンでクリーンなビル世界で暮らす人々。完全な管理下におかれた彼らは、男女が隔てられ、清潔な白のつなぎのコスチュームを着て、名前はコードネーム化されている。彼らの人生の目的は、抽選でアタリ、汚染除去された地上の楽園“アイランド”行きのキップを手にすることだ……。
第6作目にして初めてプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーと離れたマイケル・ベイ監督が、スピルバーグのドリームワークスと組んだ本作は「ブレードランナー」と同じ2019年(実はこの設定にも仕掛けがある)の近未来を舞台にしたアンチ・ユートピア世界の描写から始まる。こいつが「THX-1138」(71)、「ソイレント・グリーン」(73)、「2300年未来への旅」(76)といった70年代のディストピア映画を彷彿とさせ、大丈夫かと不安になる。やがて明かされるこの社会のカラクリも、衝撃の事実とは言えない。だが、ヒーローとヒロインが脱出してからが、ベイ監督お得意の派手なアクションの連続で、まったく飽きさせない。大作馴れした剛腕というか、オーソドックスなネタでも、充分に堪能できるアクションSF。
(高橋良平)