イノセンス : 特集
【いま観ずに、いつ観る?】押井守監督が「確かに感じた」4Kの威力! 「イノセンス」が公開20周年記念に4Kリマスターで甦り《初》劇場公開――「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」と2作品同時、2週間限定公開!
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押井守が監督し、世界で熱狂的に称賛される伝説的傑作「イノセンス」の公開20周年を記念して、同作の4Kリマスター版が劇場初公開されることが決定した!
TOHOシネマズ日比谷ほかで2月28日から2週間限定上映。さらに「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」4Kリマスター版の同時公開も決定――。
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4Kで“さらにすさまじい体験”に超進化しており、何度も観た人も、1度は観た人も、未見の人も、なにがなんでも劇場で“摂取”すべき……なのだが、とはいえ「令和7年の今、なぜ観るべきなのか」?
その理由を、以下に書いていこうと思う。
現時点《究極》の「イノセンス」が開放される…この機に観るべき5つの理由
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筆者は普段、映画館で「その映画を観たい理由が3つ以上あったら、観る」ようにしている。その基準で選ぶと、素晴らしい体験の確率がグッと高まるからだ。
そんななか、「イノセンス」「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を観たい理由は3つどころか、5つ+αある。
[いま観るべき理由①]
押井守らが作り上げた作品世界は、公開当時には映し出されていなかった。しかしデジタル技術革新でついに実現。つまり我々は“現時点の究極”を体感する――
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「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」とその続編「イノセンス」は、当時のアニメーション技術の粋を集めたものだった。しかし、それでもなお、押井守監督の「理想」をすべて再現することは叶わなかった。
だが今回の4Kリマスター版への進化により、“押井守の本当の理想”が可能な限り具現化されている――スクリーンに映し出されるのは、まさに“現時点の究極”なのだ。
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劇場公開や配信、Blu-rayなどで観たことがある人ほど驚くだろう。“時を経た今”だからこそ到達できた境地を目撃するチャンスが今ここにある。
[いま観るべき理由②]
生成AIが浸透した現代に、物語が交錯するように――当時、論理で理解したテーマが、骨身に沁みる時代になってきた
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公開当時の両作の世界観は“遠い未来”であり、観客は想像力を総動員しながらそれらを“理解”しようとしていた。
しかし、今はどうだろう。生成AIが日常に浸透し、あの物語はもはや“想像の先”ではない。“自分たちが生きる現実”そのものであり、思考を挟む間もなく肌感覚で理解できる。
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だからこそ、今観る両作は刺さり方が違うのだ。その体験はもう先延ばしにしてほしくない。今、味わうべきだ。
[いま観るべき理由③]
「イノセンス」公開20周年記念、そして 今年11月に30周年を迎える「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」のイベントが今後目白押し!手はじめに 4Kリマスター2作品を観に行こう! ~押井守ビギナーはここが始発~
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記事冒頭で示した通り、2025年はまさに「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」イヤー! 両作の4Kリマスター同時上映のほか、4月12日から8月17日まで、「士郎正宗の世界展~『攻殻機動隊』と創造の軌跡~」(世田谷文学館)が開催。さらに3月2日(日)には、押井守監督、大塚明夫(バトー役)が登壇する20周年記念イベントが実施されるなど、節目を祝したイベントが目白押しとなっている。
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「イノセンス」20周年の節目は文字通り“一度きり”。同じ節目は物理的に“二度と訪れない”ので、逃してはならない。押井守作品に馴染みが薄い方も含めて、4Kリマスター版の熱狂を、ぜひその目で、肌で感じてほしい。
[いま観るべき理由④]
「イノセンス 4Kリマスター版」はスクリーン初公開!「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」と同時に映画館で観られるチャンス!
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「イノセンス」の4Kリマスター版がスクリーンで上映されるのは、今回が初。さらに、これら2作品が“同時に劇場で上映されること”自体も、極めて稀なチャンス!
上映スケジュールは“両作を連続で鑑賞できる”ように組まれており、息つく間もなく押井守の世界に没頭できる……マジでこれをやりたくて筆者はウズウズしている。
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まだ特筆すべき点がある。「イノセンス」といえば、アニメ作品としては異例のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品。これは日本アニメでは初の快挙であり、現時点でも日本のアニメーション作品はメインコンペに選出されてない。映画「花束みたいな恋をした」で“神”として崇められた押井守が、その名を決定的にした代表作でもある。
大げさではなく「イノセンス」は「人生で一度は観るべき映画」――「劇場で観る」行為そのものが一つのイベントになるのだ。
[いま観るべき理由⑤]
二作どちらも鑑賞することで完成する“仕掛け”が、心くすぐりまくる
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両作の同時上映を記念して、来場者に向けた特別なキャンペーンが実施される。両作品を鑑賞し、応募することで、総勢50人(抽選)に豪華なプレゼントが贈られる。
応募締切や条件などの詳細は、公式サイトでチェックできる。繰り返しになるが、1日を映画館で過ごし、押井守の世界に浸り、さらにはプレゼントをも手に入れるという、贅沢な体験を味わいたい。
[もうひとつ、特別な理由:田中敦子さんへの愛をこめて]
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2024年8月、草薙素子役で知られる声優・田中敦子さんが逝去した。彼女が命を吹き込んだ草薙素子の声は、多くの人々の心に深く刻まれている。その声を劇場の大スクリーンと音響で再び体感することは、彼女への敬意と愛情を示す方法の一つだと考えられる。
田中敦子さんの存在を感じたい。声を聞きたい。だからこそ、筆者も「イノセンス」「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を“今観るべき作品”だと強く感じている。あなたはどう思うだろうか?
【押井監督のインタビューを経て、両作を4Kで観た】
大画面で観る“あまりの違い”…まさに別次元体験!
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記事の最後に、「イノセンス」「GHOST IN THE SHELL」4Kリマスターを実際に観た感想をお伝えしよう。
今回の公開に際し、押井守監督にインタビューしてきたアニメハック(映画.comの姉妹サイト)編集部・五所光太郎が、押井監督の言葉を経て感じた“通常版との違い・驚き”を言葉にしてくれた。
■「え? こんなに綺麗な映像だったっけ!?」 これまで観てきた「イノセンス」とは別物の4Kリマスター版
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「イノセンス」は、押井守監督が「ずっと4Kで観てもらいたいと思っていた」と語っていた作品だ。同作の4K化は、2018年に映像ソフトが発売されたさいに実現されたが、劇場で上映されるのは今回が初めて。アニメハックでの押井監督インタビュー実施とあわせて、いち早く「イノセンス」4Kリマスター版の初号試写で鑑賞した。
「イノセンス」は公開当時、国内アニメーションとしては屈指の予算で希有な映像が実現した大作であることは重々承知していた。それでも20年前のアニメ映画だと油断していたところがあったのかもしれない。
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今回の4K版を観て、「え? こんなに綺麗な映像だったっけ!?」とのけぞるようなシーンが連発し、これまで観てきた「イノセンス」とは別物だと感じるところが多かった。
オープニング映像からして印象がまったく違っていて、同作でキーとなるハダリ(愛玩用の少女型アンドロイド)のナノマシンの周囲にただよう微細な粒子まで判別することができる。
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「イノセンス」の名場面のひとつである中盤の祭りのシーンもより煌びやかさが増し、その圧倒的な映像美はまるで“映像の洪水”のようだ。4Kリマスター版の凄まじさを体感しながら「イノセンス」の映像世界にどっぷりと浸ることができた。
■“映像の洪水”に浸る濃密な映像体験 スタッフ陣が精魂を注ぎこんだ映像制作の真価が20年ぶりに発揮
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押井監督は「映像のなかで流れる時間」を意識して映画作りを行っていることを折に触れて話している。「イノセンス」4Kリマスター版では絵の精度が格段に上がったことで、バトーが愛犬のガブリエルとすごす場面では胸がつまるような孤独が感じられるなど、なんてことのない場面でも迫ってくるような“濃厚な時間”が堪能できる。
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押井監督は「イノセンス」制作時を振り返り、「『イノセンス』が完成した後、2ヶ月くらい寝込んで立てなかったんですが、この作品にはその病んでるエネルギーが入っていました」とコメントしている。
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“病んでるエネルギー”とは“情念”や“退廃的な魅力”とも置き換えられ、押井監督のもとに集った一流のスタッフたちの全力以上の仕事が映像のすみずみにまでギュウギュウに詰めこまれている。公開から約20年を経た今回の4Kリマスター版で、スタッフ陣が精魂を注ぎこんだ映像制作の真価が発揮されたと言っていいだろう。
■公開時とは“違う体験”ができる「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」 続編「イノセンス」とあわせて観ることができる貴重な機会
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アナログで制作された「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」は、「イノセンス」とは違って、映像を鮮明にしすぎるとオリジナル版の魅力が失われかねない。オリジナル版が意図したものを大事にしながら、黒の発色を押井監督が大事にしていた“濡れた暗部”となるよう調整し、中間色の発色も4K化によってより豊かに表現されている。
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2018年に開催されたメディア向け上映会で押井監督は、「35ミリフィルムの情報量の多さをあらためて感じました」と語り、「これまでの『攻殻』とは良い意味で別物の、“違う体験”ができると思います」と4Kリマスター版の出来に太鼓判を押していた。
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「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」と言えば、長年押井監督とタッグを組んでいる川井憲次による音楽も忘れてはいけない。川井氏は実写作品の音楽も多く手がけ、現在口コミで注目を集めている香港映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」の音楽も担当している。
川井氏が手がけた「イノセンス」の音楽は、ブルガリアン・ボイスにインスパイアされて生まれた、日本民謡の歌い手グループ・西田社中による荘厳なコーラスなど、一度聴いたら耳から離れなくなる唯一無二の魅力がある。劇場の大音響で川井憲次の音楽も堪能してほしい。
■2作を同時に映画館で観られる貴重な機会をお観逃しなく
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4Kリマスター版の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」は、2月28日からTOHOシネマズ日比谷ほかTOHOシネマズの一部劇場で2週間限定で上映。
押井監督は『パトレイバー』でも劇場版を2作手がけており、1作目と2作目ではまったく違った味わいのある作品に仕上げている。今回の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」と、その続編「イノセンス」も同様で、ゆえに両作を続けて観ればテイストの違いも十分に堪能できるはずだ。
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筆者も細かいディテールを確認しながら両作の映像世界を体感するため、スクリーンを変えてもう1回、2回、3回と観にいきたいと思っている。
この特集を読んだ方も、この貴重な機会にぜひ映画館に足を運んでいただきたい。
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「イノセンス」©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 ©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT