頭文字D THE MOVIE : インタビュー
「インファナル・アフェア」シリーズで大成功をを収め、アジア映画界のみならず、世界から注目を集める映画作家となったアンドリュー・ラウ、アラン・マック両監督。その彼らの最新作は、日本のコミック「頭文字D」を原作とした、2人ならではのスタイリッシュな映像満載のカーアクション・ムービー「頭文字<イニシャル>D THE MOVIE」。本作の公開を前に来日した両監督に、インタビューした。
アンドリュー・ラウ&アラン・マック監督 インタビュー
「命懸けで全てのシーンを撮ったので、どのシーンも大事だよ」
聞き手:編集部
――「インファナル・アフェア」シリーズの大成功の後に、なぜこの「頭文字D」を次回作に選んだのでしょうか?
アラン・マック(以下M):「最近、私は日本で1本、コミックの映画化作品を撮り終え、横にいるアンドリュー(・ラウ監督)も少し前に香港と韓国の合作映画に携わり、韓国での撮影を終えたところなんだ。映画というのは国境を越えるメディアでもあり、もはや1つの国のものではなく、たくさんの国で共有するものになりつつある。だから、国境や言葉も関係なく、より多くの観客に伝わるような作品になればということで、本作の製作に携わったんだ」
アンドリュー・ラウ(以下L):「私からすると、映画を撮るということは多次元でなくてはならないんだ。例えば『インファナル・アフェア』のような作品、またはその系統の作品ばかりを撮っていたら、客に受け入れられなくなると思うんだ。『頭文字D』のストーリーも好きだし、車も大好きだから、こういう作品を選んだのはある程度必然かもしれないね」
――車がかなり好きということですが、2人は何に乗っているのでしょうか?
L:「私はポルシェカレラとクラシックのスポーツカー、それともう1台で、合わせて3台だね。昔は車だけで7台持ってたんだよ(笑)。本当に車が好きでね。アランはメルセデスベンツのE320で、スポーツタイプだね。とにかく速いよ(笑)」
――本作の製作にあたって、このシーンだけは絶対に撮りたいと思ったところはどこでしょう?
L:「もちろんドリフトと5つのヘアピンカーブは必ず撮らなくてはと思っていたよ(笑)。あともう1つは、なんと言ってもAE86だね。あの車はやはり魅力的だよ。ビジュアル面以外の精神的なところでいうと、主人公拓海と文太との親子愛かな」
――2人で監督をしていますが、役割分担はどうなっているのでしょうか?
L:「その点に関しては、アランが一番大変だったと思うよ。プレプロダクションのほとんどは彼がディレクションしたからね」
M:「日本でほとんどを撮影するので、クランクインの半年前に日本に来て、ロケハンから撮影の準備まで全部やったんだ。原作では群馬県の榛名山が舞台でだったので、群馬県を中心に観て回ったけど、新潟にも足を伸ばして探したね。最終的に榛名山と新潟で撮ったけれど」
――(アンドリュー・ラウ監督へ)撮影監督として、今回も撮影の指揮をとってますが、何か参考にした撮影スタイル、作品などはありましたか?
L:「一番参考になったのは、コミックそのものだね。漫画の実写化というのは色々なショットを撮らなければならないから、本当に大変なんだよ。台詞は覚えればいいけど、車を撮るときは想像力をフル稼働しなければ、そのシーンを美しく構成することができないんだ。漫画は描くものだから、想像でいくらでも描けるけど、実写で撮影となると本当に細かいところまで、想像力、準備、注意の全てが必要だからね。ほんの少しのシーンでも、多くの人間の労力、時間がかかっていて、今回の映画は、まさに命懸けで全てのシーンを撮ったから、どのシーンも大事だね」
――最後に(アンドリュー・ラウ監督へ)新作はハリウッドでリチャード・ギア主演で撮るということですが?
L:「タイトルは『The Flock』で、共演がクレア・デーンズとラダ・ミッチェル。11月から撮影だよ」