インファナル・アフェア : 映画評論・批評
2003年10月1日更新
2023年11月3日より109シネマズプレミアム新宿、 グランドシネマサンシャイン池袋ほかにてロードショー
ギリギリの無限地獄に血が騒ぐ
“男の血”が騒ぐ映画だ。何たって、アンディ・ラウ&トニー・レオン――石原裕次郎&小林旭級の――夢の共演なのだから。片方(ラウ)は裏社会出身で警察へ潜入し、片方(レオン)は逆に警察から裏社会へ潜入する。見つかれば即、死。原題の「無間道」が示す、神経衰弱ギリギリの2人の無限地獄な境遇がやるせない。過剰な表現ではなく、ジョニー・デップ主演「フェイク」の2倍切なく哀しいノワールだ!
すべての仕掛け――携帯電話や携帯メール、モールス信号、ギプス、マイクロカセット、マニラ紙の封筒(「棒」の字が書かれた)など――が、男たちの物語を火ぶくれができそうなほど熱くする。息も絶え絶えになるほど感情を揺さぶる! 完璧にノワールなのだ。
脇役も最高で、すべて登場人物がいとおしくなる。とくに金髪のマフィアの顔役、エリック・ツァン(「ラブソング」)は笑みのなかに狂気を秘める、身も凍る絶妙の芝居。
香港ではすでに続編「2」&「3」の製作が進行中。また、すでにワーナーが映画化権獲得。片方はブラッド・ピットに決定済み。とすると相手はデップか? ノートンか? リーブスか? アンディ・ラウとトニー・レオンの共演ほどハマらないだろうけど……。
(サトウムツオ)