「バイオレンス・サスペンスの良作だ。」ヒストリー・オブ・バイオレンス 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
バイオレンス・サスペンスの良作だ。
弁護士の妻、高校生の息子、幼い娘を持ち、ダイナーを営むトムは、2人組の強盗を、驚くべき能力で撃退し、町の英雄となる。だが、彼につきまとう男が現れ、トムの本名はジョーイで、フィラデルフィア・マフィアのボス、リッチーの弟だという、、、。
グロさ控えめで、クローネンバーグ監督「らしくない」とも言われる。そのぶん、多くの人に見られ、評価された面もある。とはいえ、メインは暴力で、刺激的なセックスもあるため、日本ではR15指定。
一見単純な物語だが、得も言われぬ濃厚さや粘着性があり、最後まで堪能できる。観客の感情を揺さぶるのに、刺激的な力を適度に配分した映画だ。
原作がグラフィック・ノベルのせいか、劇画的な雰囲気が漂っている。爆発的な暴力性を秘めた男の生き様を、極めて強烈に描いている。不穏な空気に満ち溢れた、バイオレンス・サスペンスの良作だと思う。
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