「原作ラストのネタバレしますので、ご注意を」ハンニバル かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ラストのネタバレしますので、ご注意を
原作はトマス・ハリス作の同名小説。
『羊たちの沈黙』の続編。
原作のネタバレとグロいラストに言及するので、読まれる方はご注意を。
【ストーリー】
あの殺人鬼『バッファロー・ビル』射殺から10年、そして『レクター逃亡』からも10年が経っていた。
クラリス・スターリングは捜査官として現場で働いていたが、捜査中の銃撃戦で多数の死者が出たことから、その立場は苦しいものになっていた。
そんな折、イタリアよりハニバル・レクターの消息が伝えられる。
博士はフィレンツェの大学で、フェルという図書館学芸員を名乗り、講義を受け持つまでになっていた。
フェルがレクターであることを知った警察官リナルドは、彼にかけられた懸賞金を手に入れようと単独で確保に動くが返り討ちにあう。
懸賞金をかけたレクター博士の被害者の唯一の生きのこり、幼児性愛嗜好者のセレブリティでもあるメイソン・ヴァージャーは、レクターがアメリカに戻ったことを知り、手をまわしてクラリスをその捜査官として追わせる。
さて、色々物議をかもしちゃった、ハンニバルシリーズ三作目の映像化。
まずクラリス役のジョディ・フォスターが降板してジュリアン・ムーアに変わりました。
この二人、いずれ名門大学卒の知的な美人ではあるものの、外見はあまり似ておらず、同じキャラクターとしては見られません。
目もとにつよい印象があったジョディ・フォスターとちがって、まゆげがないんですよね、この頃のジュリアン・ムーア。
同じく続編で役者が変わった、BTTFのヒロインのジェニファーとまでは言いませんけど、もうちょっと寄せてほしかったかなと。
このあたりは、前作『羊たちの沈黙』が名作すぎた反動でもあります。
もう一つつけ加えるなら、ストーリー全体がレクター博士寄りなので、今回は人肉大好きヘンタイ博士と足ひっぱるチカン同僚、そしてヘンタイロリコンセレブというバリューありすぎなヘンタイ三連星に、クラリスがひたすら翻弄されるって展開なんですよね。
それでも新世代のスリラー映画ヒロインらしく、ラストはカッコいいところ見せてくれます。
↓このあとネタバレ&不快な描写あり↓
原作のネタバレになりますが、ジュリアン・ムーアが嫌がったとされるクライマックスのシーンをくわしく語ります。
生の同僚のあの部位をソテーしてもぐもぐしちゃったあと、レクター博士はクラリスを治療し、なぜか男と女の関係になって世界中を遊興しちゃうっていうものなんですね。
いやなんでそうなるの?
と自分も思っちゃったので、ジュリアン・ムーアの言いたいこと、全面的にわかります。
あとリドリー・スコット監督の、シーンの意図を明確にする撮り方とサイコパスの活躍(!)を書いた原作では、あんまり相性よくなかったかなと。
ホラーは画面に、なんか出てきそうな闇をのこさなきゃ。
それでも近づく者みなヤッちゃうシーンはスプラッタみ満点。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士はあいかわらずお目々イっちゃってて怖いし、ジュリアン・ムーアも凛とした姿で難局に対応してます。
クラリスのヒロインものとして見るなら、ちゃんとおもしろい映画ですよ。