グエムル 漢江の怪物のレビュー・感想・評価
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社会や日常や心の奥底に潜む怪物性
「パラサイト」を見て、改めて本作に舞い戻ると、ポン・ジュノ監督作としてはここで初めて「家族」というテーマが前面に取り上げられていることに気づく。「ほえる犬」では夫婦生活が描かれ、「殺人の追憶」ではラストで一瞬、家族の朝食風景が描かれるのみ。三作目となる飛躍作で、過去の常連や主役級を招集しチーム戦に挑んだことで、「個」と「集団」がダイナミックかつ複合的に融合した傑作が誕生した。
気になるのは、どんな時も惰眠をむさぼる主人公と、同様に眠る姿の印象的なグエムルがどこか比較されているように思えるところ。返り血を浴びたことによる共振関係も示唆されつつ、ラストでは川岸に怪物が潜んでやしないかと主人公が闇を凝視する姿も描かれる。似たような場面は「殺人の追憶」のラストでも。得体の知れない怪物性はポン・ジュノ作品の永遠のテーマだ。それは社会や心の奥底に潜み、ふと気を緩めると、闇の向こうから這い出てくる。
米軍への抗議を込めた泥臭い真面目家族奮闘映画
冒頭に人間が自然を汚す描写を入れ、
怒れる自然の隠喩としての怪物vs人間の構図にし、
怪物は小出しにし、
まずは愚かな犠牲者を描き、
軍や消防隊の英雄的な活躍を描き、
ヒーローまたはヒロインがボロボロになりながらも怪物を倒し、
あーよかったと思ったら2匹目がいるのを匂わせて終わる、
というのが一般的なモンスターパニック映画の使い古された構図ですが、ポン・ジュノ監督の本作はそのような常套手段を取りません。
モンスターは定石を破り昼日中に衆人環視の中姿を現します。その造形はエイリアンのようでもあり、爬虫類のようでもありますがそれほど不気味でもありません。捕らえた人間を巣に運びますがその目的も分かりません。消化された人間と食われない人間がいますがその選別もよく分かりません。つまりモンスターの描写や生理生態などの設定は手を抜いているように見えてしまいます。
政府や軍の対応もよく分かりません。根本原因であるモンスターを駆除するために行動せず、ただ付随するウイルスの防疫を行っています。モンスターと戦うのは主人公家族だけで、政府も軍も米軍もただの障害物でしかありません。
頭は弱いが愛情深い父親、女子中学生の娘、働き者の祖父、そこに大卒の叔父と有名アーチェリー選手の叔母が加わりモンスターと対峙します。普段は半目し合っている家族が、困難に直面したことで団結し、政府や軍の障害を乗り越え、あくまで泥臭くモンスターを倒すまでが描かれます。「米軍への抗議」という体裁を冒頭に持ってきたため、ただの真面目奮闘家族映画になってしまいました。遊び心あふれる映画的想像力は乏しく、泥臭いリアリティ演出に終始します。
祖父の犠牲にも、頭は弱いが愛情深い父親の奮闘ぶりにも、感動できません。父親のキャラに比べ叔父や叔母はキャラが薄く、活躍場面も最後だけ。もっとも感動するはずの娘の犠牲もなぜかぼやかされてしまい、盛り上がりません。結局「ソン・ガンホがまた頑張ってるなー」以外の感想が沸かない映画でした。本作は漢江を汚して責任を取らなかった米軍(※)への抗議を目的とした政治的映画であり、家族の死と再生を描くための家族映画です。
(※)2002年にソウル市内の龍山米軍基地に所属する米兵が霊安室で使う劇薬ホルムアルデヒドを漢江に垂れ流していたことが発覚し、起訴された。米国側は、被告の身柄引き渡しに応じず、被告は罰せられることはなかった。
自衛隊が出動しようが…
襲われた人たちが生きてるという話を信じてくれないクダリが無理矢理感ありすぎて、電話の伝え方次第、その後の説明の仕方次第でどうにでもなるだろと。
その結果素人の家族が怪物退治するんですが、そういう一番スリリングであるべきシーンが本当のラストだけなので、ガッカリです。
公的機関の自衛隊が出動しようが、シンゴジラ然り面白い映画にはなるわけで。
嫌悪感バツグン
クリーチャーの造詣が絶妙に気持ち悪く嫌悪感を抱く。まるで下水の匂いまで漂ってきそうだ。
ホラー映画にカテゴライズされてて、観はしたものの…ホラーと言えるような代物ではない。
家族に焦点を当ててるから、そう思うのかもしれないのだけれど、得体の知れない怪物から家族を救おうとする話にも見える。
あの怪物は果たしてなんだったのだろう?
冒頭から始まる英語のやり取り。コレが原因でアレは生まれたんだろう。穿った見方をすれば、欧米文化によって発生した弊害にも思える。
実行したのが自国の人間ってのにも含みを感じる。
あの怪物自体も積極的に描かれる事は無かったように思うし、脅威や恐怖を全面に押し出してはないように思える。アレはアレで単純に生物的に混乱してただけのようにも思うし…。
正直、よく分からないのだ。
いや「なんで?」と腑に落ちない事だらけだった。
怖くもないし、物語として面白いわけでもない。
率直な感想としては「気持ち悪い」だ。
理由はよく分からないのだけれど、嫌悪感に溢れた作品だった。
クリーチャーしかり、キャラ付けしかり、主人公達が置かれる環境しかり。
警察や医者とか下品で乱暴だし。
最下層の人間達に向けられる差別のようなモノをあえてぶち込んでるように感じる。
映画的な面白さはあって、監督のセンスを垣間見れたりもできる。
娘の手を引っ張ってたつもりが別人だったり。
CGも当時としては会心の出来なのではないだろうか?
あのクリーチャーだって、人間側が勝手にクリーチャーにしただけかもしれないし、人間が勝手に作り上げた幻覚かもしれない。
そんな事を思えば、社会派の監督らしい作品だったなと思う。面白さはよくわからんのだが。
さて、怪物が担うモノはなんだったのだろうか?
アメリカvsポン・ジュノ
ポン・ジュノ監督2006年の作品。
私事だが、初劇場鑑賞のポン・ジュノ作品でもある。
ポン・ジュノ作品と言えば風変わりな人間描写ドラマやサスペンスのイメージだが、本作は意外も意外。モンスター・パニック!
でも、そこはポン・ジュノ。一見題材はB級的モンパニだが、そつなく自分の“色”に染めている。
モンスター登場シーンがユニーク。
人で賑わう漢江。そこで売店を営むパク一家。
何やら人だかりが。橋の下に異様な物体がぶら下がっている。工事か何かの器具…? それとも…?
“それ”は川の中へ。ゆらゆら動き、やっぱり“生物”。
姿を消したと思ったら、視線を変えたら、陸に上がって川の辺りを駆けてくる…!
体当たりで人は軽々と吹っ飛ぶ。突然の“襲撃”に場は阿鼻叫喚。
開幕早々の登場~襲撃が意表を付く。
身の丈は象より大きい。
黒い体色で、両生類のような姿形。
その巨体とは裏腹に動きは俊敏で、尻尾や前足を巧みに使ってスパイダーマンのようにスイング。
“グエムル”とはハングル語で“怪物”の意味。
人間を捕食し、口に含み尻尾に巻き付け、川に飛び込み巣へ持ち帰る。
造形も不気味で、性質もおぞましい。
この“グエムル”は一体何なのか…?
誕生の経緯は開幕シーンですぐ分かる。
韓国にある米化学工場が漢江に廃棄流したホルムアルデヒド。それが原因で異常進化。
日本の怪獣王然り、誕生には人の過ちが。
しかも共通しているのは、どちらもアメリカが関与。実際の事件を基に。
2000年に在韓米軍が大量のホルムアルデヒドを漢江に流出したという事件。
元ネタどころではない、ドストレートな訴え。
後の『パラサイト』のオスカー受賞が信じられないくらい、反米色が濃い。
そもそもの元凶のみならず、グエムル退治に使用された化学兵器“エージェント・イエロー”。これ、ベトナム戦争時に米軍が使用した枯葉剤“エージェント・オレンジ”から取られているという。
米軍が強行。アメリカの横暴。
グエムルだけではなく、一般人にも被害が…。
横暴なのはアメリカだけではない。
韓国政府。
話を聞かない。一般人の声など聞くに値しない。
一般人を人と思わない国家権力で虐げる。
グエムルによるウィルス感染。強引に関連者を連行、隔離。
ウィルスなど存在しなかった。それじゃあ言い訳にはならない。前頭葉にウィルスはある…いや、無ければならない。事実を揉み消し。
グエムルより末恐ろしいのは、人間。
モンスター映画/怪獣映画の根底のメッセージをしっかり踏襲。
それと闘うは、また人間なのだ。
アメリカ権力や韓国政府によって指名手配されたパク一家。
グエムルの返り血を浴びた長男のカンドゥ。
彼の家族…父ヒボン、大卒の弟ナミル、アーチェリー選手の妹ナムジュも“濃厚接触者”。
極めて“危険人物たち”。
彼らは隔離施設から脱走。家族でグエムルに立ち向かう。何故なら…。
カンドゥには一人愛娘がいる。ヒョンソ。
グエムルが初上陸した際、カンドゥはヒョンソの手を引いて逃げていた。転倒。また娘の手を引いて逃げるが…、その時掴んでいたのは他人の娘。取り残されたヒョンソは、目の前でグエムルに連れ去られる。
この家族はヒーロー家族ではない。ダメダメ家族。
カンドゥは店番を任されても一日中寝ている。図体ばかりデカくて、娘を間違えるほどの間抜け。
父はそんな息子に愛想尽かすも、見離せない。
弟ナミルは大卒故に兄をアホ扱い丸出しだが、口ばっかで偉ぶってる。
妹ナムジュはいざ競技中になると、アーチェリーを射てない。
何かしら欠陥を抱え、揃いも揃って負け犬。
そんな家族から愛されているヒョンソ。
それを窺い知れるシーンがあった。逃走し、売店車で久し振りの食べ物にありつく。黙々食べていると、グエムルに捕まりそこに居ない筈のヒョンソの姿が。無論、幻想。が、皆同じヒョンソを見ているようで、自分たちが食べていたものを分け与える。家族の可愛い娘が腹を空かせないように。
グエムルに捕食され、死んだと思ったヒョンソは生きていた。突然携帯に掛かってきたヒョンソの助けを求める声。この漢江の何処かに、ヒョンソはいる…!
軍や政府は聞く耳持たず。それどころか、悲しみのあまり頭のおかしくなった精神異常者扱い。
自分たち家族の手で。
先にも述べた通り、ヒーロー家族ではない。グエムルの猛威に父は殺され、ナムジュは吹っ飛ばされ、家族は離散。ナミルは仕事の先輩に助けを乞うが…。カンドゥは再び軍に捕まる。
しかしそれぞれ自力で突破口を見出だし、漢江に集う…。
どんなに権力に潰され掛けても抗うパク一家。
その血はヒョンソにも確かに流れていた。
漢江の何処かのグエムルの巣で、生き抜いていたヒョンソ。恐怖しながらも、グエムルに新たに連れ去られてきた幼い男の子を守る。
ここから脱出しようとするが…。手に汗握るシーン。
ヒョンソのその姿は、父と同じなのだ。
周囲にバカにされ続けてきたカンドゥだが、娘を助ける為に奔走する。
実は心から娘を愛する優しい父親なのだ。
ダメっぷりや終盤見せる勇気、ソン・ガンホが人間臭さたっぷりに体現。
それまで外してばっかりだったが、遂にアーチェリーを射たペ・ドゥナのラストカットも勇ましい。
ポン・ジュノ常連の強力布陣。
ヒョンソ役、コ・アソンの可愛らしさも。でもカンドゥさん、幾ら娘が可愛いからってお酒を飲ませちゃダメですよ。
怪物を倒して、家族が再会して、通例通りのめでたしめでたしにならないのがポン・ジュノ的。
あのラストは悲しい。やっと助けだし、再会出来たと思ったら…。
娘は命を懸けて男の子を守った。ラストシーンは全てが終わり、また平穏な生活が戻り、カンドゥが男の子と夜ご飯を食べる。
少し真人間になったようなカンドゥ。娘が守ったこの男の子を我が子として育てていく事を誓ったのだろう。
このラストシーン、色々解釈があるようだが(例えばヒョンソは死んでいない等)、自分はそう感じ、しみじみと終わった。
中盤で人々がマスクをし、咳をしただけで過敏に反応。誤情報によるウィルス感染パニックの醜態ぶりが、まるで今のよう。まさかの予見…?
平和は戻ったが、失われたものは戻らない。
それを奪い去ったグエムル。
…いや、本当に奪い去った怪物は、大国の横暴、それの言いなりになる国家権力。
怪物vs家族に見えて、その実は、韓国vsアメリカ、一般人vs権力。
ポン・ジュノはエンタメ要素押し出しつつ、風刺とアンチたっぷりにそれらと闘っていた。
悪夢にもでてきたトラウマの怪物
グエムルがこちらに向かって走ってくるシーンが怖すぎて
愛犬がこいつに川辺で食べられる悪夢を見ました、最悪です
攫われた娘ちゃんに家族がご飯をあげる幻覚(?)のシーンがなんか好きです
本当の"怪物"とは何か
韓国の怪物映画初めて見るなぁ、たのしみ!と思ってみたら、大間違いだった。
・化学薬品を垂れ流しに、怪物を作り出したずさんな機関。
・娘が死んだと思い泣き崩れてる家族を写真で撮りまくる新聞記者。
・娘がまだ生きていると必死に訴えているのに、貧しい人々の話は一切聞こうとしない警察。
・懸賞金のために人を売る会社員。(先輩のガッツポーズは、お金に売ったけど実は後輩を応援する気持ちが勝ったのかなぁと思いたい。。)
・怪物から移るウィルスなんぞいないと既に知っていながら、今更取り下げれないのか、人体実験を続ける外国政府。
・一向に怪物を捕獲や、射殺するための行動をしない政府。
本当の"怪物"とは、"こういった人間"の方ではないのか。
身分が高くない人たちの話は聞かず、何が正しいのかも調べず、立ち向かおうとも戦おうともしない。弱者を見捨て、搾取しむさぼる。わたしは怪物を見るより、こんな大人たちを見る方がよっぽど嫌気がさした。(ふつうに怪物怖かったけどね!笑 人間食べないでよぉ!)
最後まで怪物に立ち向かった戦った人々といえば、
家族、子供、若者たち、ホームレス。
何にも属さない、権力もないが、愛がある人たちだけだった。
・囚われても追いかけられても、政府にも怪物にも、娘を助けるために戦う家族。
・怪物に恐れながらも、自ら道を見つけ、怪物と対峙し続ける子供[娘と男の子]。
・「主人公を解放しろ・政府はこれ以上散布するな」と、正しいことを言い、正しい行いをする、政府に立ち向かう若者たち。(あのTシャツ欲しい!笑)
・俗世間のどんな情報も受け取らず、理由もなく手伝ってくれて、自分の身の危険を顧みず、怪物に上から油をかけたホームレス。(わたし的にこのホームレスさんが大優勝!笑)
てな感じで、面白かった!!!!!
クスッと笑えるお笑い要素もたくさんあったし、怪物映画の怖さもあったし、なによりも風刺の部分が予想してなかった分なおさらよかった!
韓国の怪獣映画。
モンスターパニック韓国映画。
昔から気になっていてようやく鑑賞。
題材はかなり重い話ですが、コメディ色が強くてとても観やすかった。娘を助ける為、奮闘する個性豊かな家族は観ていて愛らしくもあり、憎めない存在感があって本当好き。
特に印象的だったシーンは序盤の遺影シーンで暗いシーンのはずなのですが、家族集合で技を掛け合ったりドタバタした感じが、個人的にシュールでとても笑えました。
グエムル(怪物)は初登場のビジュアルインパクトが凄く、気持ち悪さとその生態系が気になる感じが興味をそそられた。
【総合評価】
コメディ、シリアス、家族愛など作中で緩急ある内容にハラハラ&興奮。見応え十分でした。
エンタメ性の高い新しい怪獣映画で良かった〜。
文句なしに面白かった
なんか鑑賞中終始おもしろかったんですよね。
ずっと先が気になる状態になるというか。テンポもいいんですかね。
なんでこんな面白いんだろ、って考えたんだけど、
怪獣映画だからって訳じゃないんですよね。
怪獣映画でも
「いや、どうでもよ」ってなることもあるし。
たぶん、ひとつ言えるのは“容赦ないこと”かなと。描写も展開も、登場人物が置かれている設定も全く容赦せずにまっすぐ描いているからリアルなんですよね。
もうひとつが、思いがけない展開を迎えること。
絶対に、パッケージや予告を超えてくる。
本作にしたって、誰が開始15分で娘が怪物に襲われるって想像できましたかね。
そのスピード感のある衝動がうまいというか、銃を突きつけられてたのも知らぬ間に撃たれる感覚?でしたね。
開始早々に思ったのは、
静と動のバランスが凄い。観客としてはドキドキしっぱなしなんですよね。
そして、細かい描写も面白い。
グムエルが暴れる隅で、犬に噛まれる男とか。
コンテナに逃げられなかったおばさんを他所にコンテナに突っ込むグムエル。皮肉効いてましたな。
ラストは、復讐劇らしいカタルシスに包まれて終わってました。
弱者が復讐する展開を嫌う者はいないですからね。
たしかに全体を通して、あれ?ってとことが無い訳でもないんですが、それが気にならないレベルで楽しめたというか。
おもしろければ、まあ誇張されてるだけでこういうこともあるよねと思えるですよね。
あとペドゥナが最高でしたな。
ラストの弓矢がかっこよすぎました。赤ジャージもよかった。
パラサイトでもそうだけど、どんだけスポーツ出来ても貧乏なことには変わりないのだね…
韓国版ゴジラ?
在韓米軍が捨てた劇薬が川に流れ、突然変異で誕生したカエルの様な怪物。いい歳して働かず飲んだくれのソン・ガンホは娘を怪物に拐われ、一家総出で必死になって追い掛けるが、怪物のウイルスに感染したと思われ、政府側に追われる。ソン・ガンホの言うことを誰も信じないシーンは政府やマスコミへの監督の風刺と感じた。在韓米軍への批判も感じる。しかし、ラスト、娘には助かってほしかったし、時折コミカルに映るシーンや、怪物がそれほど人を襲わないことから、あまり緊張感がなかったのが残念。
コメディ映画?
ホラーとかパニック映画と思って観ていたけど、コメディ映画かな?
劇薬を下水に流した事が原因で生まれた怪物。姿形もパニックの様子も、よくあるB級映画のようだけど、クスッと笑えるところもあるからそれなりに面白い。
ヒョンソから電話があった、まだ生きている、と必死に訴えているのに、警察は聞く耳を持たない。何故ひとの話をちゃんと聞いてくれない?と観ていて腹立たしくなってしまう。この映画でも警察は悪いイメージだなあ👎
ヒョンソが助からなかったのは残念だけど、グエムルは退治できてやれやれです。最後、冬の夜に川から新たなグエムルが出てくるのかと思ったが違った😅
単なるモンスターパニック映画ではない
在韓米軍が大量に流したホルムアルデヒドにより漢江に怪物が現れ人々を襲うモンスターパニックと思いきや、実は家族愛がテーマだったり国家権力に対する風刺を描いたような作品でした。
未知のウイルスが蔓延していると報道が煽り立て、国民が怯える様子は現在の状況ととても良く似ていてポン・ジュノ監督はこの事態を予測していたのではないかと恐ろしく感じました。
バケモノが登場して、トレマーズ2に出てくるヤツに形状が似ているけれど似て非なる物ですね。喋りはしないけど悲哀みたいなものを感じました。
怪物は退治するのだけど何かスッキリせずバッドエンド。家族も離散したままだし、グエムルがまた現れそうな余韻を残して終わっています。
1番怖いのは混乱した人間
コメディタッチながら皮肉が効いてるなぁと。
COVID-19で大混乱の今見ると、考えさせられる内容。
見るタイミングによって全然感想が変わりそう。
ある日突然現れた謎の怪物に、人々が混乱し、
怪物から謎のウイルスが拡散さてれいるのでは?と
国が疑ったことから、感染者やその接触者と思しき人を十分な説明なく隔離。
怪物に家族を連れ去られた一家が、
その家族を救うために隔離施設から逃げ出せば
懸賞金付きで指名手配されるという。
貧しい一家は、話もまともに聞いてもらえないし、
搾取されるし、困って頼った人にも裏切られる。
裏切る理由がなんとも残念。
怖いのは怪物ではなく、よくわからない情報に
右往左往して混乱した人間。
一家の人たちは破茶滅茶だけど、
人としてまともだと思う。
さらわれた女の子は勇敢、優しい。
ラストシーンが唯一の救い。
2003年頃流行したSARSの後に作られてる
映画なので、その時の世の中の混乱や
韓国?中国?アメリカも?WHOも?
わからないけど、当時の対応を皮肉っているのかな
と、個人的には感じました。
とはいえ、ソンガンホやっぱいいなぁ。
重いのにコメディなバランス感の体現はさすが!
怪獣は添え物
王様のブランチの映画コーナーでLilicoさんが勧めていたので観てみました。
確かにぬめっとしたエイリアンモドキのモンスターが出てきますが怪獣映画と言うよりは国や米国に対する不信、不満を詰め込んだメッセージ性が際立ちます、しかも主役をわざわざドジな父親に設定、コメディ仕立てというよりは気を揉ませる趣向の家族物語でした。
登場する家族は2代の父子家庭、監督曰く母性があると情けない家族にしづらいということらしい、一風変わった作家性です。
一応、怪獣はアメリカ人の指示で大量のホルマリンを下水に不法投棄したことで漢江に棲むイモリの類?の突然変異、いわば公害の産物ですが安易に定石をなぞっただけでSFらしい工夫は感じられません。
ゴジラ程の無敵のモンスターではないので軍や警察が出動すればすぐに捕獲か退治可能、それでは尺が持ちません。そこでお決まりの軍隊を出動さないために2002年に流行ったSARSもどきのウィルスの宿主と設定、怖いのは怪獣よりウィルスということらしい。リアリティを出す為の恐怖のすり替え、まあコロナ禍の折、放射能よりリアリティはありますね。ただ怪獣がレトロウィルスに汚染されているのでとどめを刺せないと言うのはゴジラのモチーフにもなった「原子怪獣現わる(1953)」でも使われている古典的手法です。
そんな訳で怪獣は野放し状態、国が手をこまねいているので米軍出動となるが怪獣退治ではなく消毒剤散布というはぐらかし、結局立ち向ったのは怪獣に中学生の娘をさらわれた家族だけ、祖父は漢江沿いの公園のしがない売店の主、父は売り子、叔母はアーチェリーの選手ですが優柔不断、叔父は大学は出てもニート状態、それでもみんな娘を愛しています。そんな血縁者たちの娘救出作戦の虚しいプロセスが延々続きます。
ようやく唐突に登場したホームレスの力を借りて左翼かぶれの叔父の火炎びん作戦、ドジ父も覚醒、叔母も一矢報います、感動の結末、かと思いきや理不尽な悲劇趣味に唖然。
総じて監督の鬱積した国家体制への不満、愚痴に振り回されただけでしたが韓国では多くの若者の共感を得るのでしょう。
単純な怪獣もの、娯楽作品を期待していただけに肩すかし感は拭えません、怪獣ものというよりパラサイトでアカデミー賞をとったポン・ジュノ監督作品と言うことでの推しだったのでしょう、Lilicoさんに注文はありませんが今後、女性の勧める怪獣映画は要注意と学びました。
グエムル
韓国のモンスターパニック映画。
韓国映画は初めて見た。
冒頭のシーンでこれで怪物が生まれるんだなってのがわかる。
そしてかなり序盤でその姿を現す。
CGはそこそこ綺麗。
人々を襲い暴れたあとに主人公の娘が連れ去られる。
そこから家族で娘探しの流れになるけど、
怪物を特に掘り下げることなく家族を焦点に話が進むので
ややトーンダウン。
ちょいちょい怪物が出るも冒頭のシーンが一番盛り上がったかも。
最後は家族が力を合わせて怪物をぶっ倒す。
ラストシーンは他の映画にはあまりない展開だった。
BGMが独特。
家族の絆を描きたいのかもしれないけど、
軍が全然動かないので違和感。
他もツッコミどころが多いと感じた。
社会的メッセージなどが含まれてるんだろうけど、
単純にモンスターパニックとして楽しみたかった。
どちらかというと面白かったけど、
最後がスッキリしない終わり方だったのが心残り。
風刺のきいた韓国モンスター映画
『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞4部門を受賞した韓国映画で(これはまだ観ていません)、監督があの『殺人の追憶』のポン・ジュノの作品でもあったので気になって仕方がなく、やっと見ました。
グエムルというのは、韓国語で怪物という意味らしいです。
在韓の米国人がホルムアルデヒドを川に大量廃棄したため、魚類のような両生類のようなグエムルが誕生して、人間を丸呑みし大暴れ。カンドゥ(ソン・ガンホ)の娘ヒョンソ(コ・アソン)も怪物に丸呑みされ、ヒョンソの父親など家族が一丸となって娘を救おうとする話。
重くて暗いストーリーなのに、緊迫感の中にプスプスと抜けた感じがあって、怪物と戦うのは国家や科学者ではなくて貧乏な一家。『殺人の追憶』もそんなコミカルな感じが時々見え隠れしていたなと思い返しました。
反米的な要素もあり、ただの怪獣映画じゃないかもしれない、と思わせる作品でした。
怪物のビジュアルは気持ち悪く、なかなかよくできていると思いましたが、『エイリアン』のような感じであるけれど、そこまで完全無欠ではなく、最期はわりと簡単にナムジュの火の矢などでやられてしまいます。
怪物に呑まれたヒョンソは死んでしまったのか? はっきりした描写がありませんでしたが、カンドゥがヒョンソと最後まで一緒にいた浮浪児の少年を引き取り、一緒に仲良く夕飯を食べるシーンがあり、やりきれない感じが心にもわっと残るのは、ちょっと『殺人の追憶』のエンディングぽい感じもしました。終わり方がすっきりしないのに、上手いというか…。
<備忘録>
父 :カンドゥ(ソン・ガンホ)
娘 :ヒョンソ(コ・アソン)
祖父:ヒボン(ピョン・ヒボン)
弟(伯父):ナミル(パク・ヘイル)
妹(伯母):ナムジュ(ペ・ドゥナ)
アーチェリーのナムジュ、どこかで見たことあるなと思ったら、是枝監督の『空気人形』の人だった。どこを見ているかわからない瞳がナチュラルで透明感があります。
独特なラスト
なんとも言えない中途半端なラストだったという印象。まずヒョンソが助からなかったというのが衝撃。
そしてもうひとりいた男の子を身代わりとして育てるというのも衝撃。
お父さんが呆気なく死んでしまったという衝撃。
みんなガスの中で普通にピンピンしてるという衝撃。
兄と妹は最後どうなったのか描かれていないという衝撃。
イロイロ独特だと思った。
韓国のゴジラ
非常に面白かった。
パラサイト 半地下の家族からの流れで観る。
貧しい一家が主役になっている点で、パラサイトと似ている。
父親目線が多いけれども、複数の視点で進む。
大雨、煙、闘いなどが共通していた。
父と兄と弟と妹。兄の娘。
ホラーながら、画面作りが、抜群にうまく、脚本も日本にない展開で、引きつけられる。
モンスター・パニックと家族愛の物語
KBS京都「新春シアタースペシャル」で4度目の鑑賞。
怪物のデザインが秀逸でした。グロテスクなんだけど、何度も鑑賞するにつけ愛嬌がある気がするから不思議。怪物誕生の原因が原因だけに同情してしまうのかもしれません。
突然の怪物出現にパニックに陥るソウル市民。対応する韓国政府と軍。ある思惑を持って介入し始める在韓米軍。…
真に迫る描写に息を呑む(米軍への批判も顕著)。そのリアリティーは、「シン・ゴジラ」に似た雰囲気でした。
ポン・ジュノ監督作品らしく、容赦無く救いの乏しい物語でしたが、徹底して家族愛を描いている点が好ポイント。
絶望の中に微かな希望を抱かせるのもポン・ジュノ節の特徴であり、本作にもそれはあって、見事に泣かされました。
※修正(2023/08/04)
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