劇場公開日 2006年1月28日

フライトプラン : 映画評論・批評

2006年1月24日更新

2006年1月28日より丸の内ピカデリー1ほかにてロードショー

謎解きとアクションの見事な配分でダレ場なし!

夫の突然の訃報から立ち直れぬまま、人生を再スタートしようと、遺体を収めた棺とともに、異邦のドイツから故国アメリカに向かう母娘。そんな傷心の母は、自分の設計した最新鋭ジャンボ機にいち早く乗り込むと、空いた後部座席に移動し、娘を寝かしつける。緊張の糸が切れたかのように彼女もまどろみ、そして、目覚めると、幼い娘の姿がない。トイレにでも行ったのかと、機内を探してみるが、見つからない。なぜ、どうして、娘はどこに消えたのか? パニックが母を襲う……。

高度1万メートルの空飛ぶ密室内の人間消失というヒッチコック映画ばりのミステリーがすこぶる魅力的なこの作品は、雪のベルリンにはじまる寒色の色彩設計で、孤立感ただよう静謐で張りつめたムードから、娘の消失で緊張が一気に高まる前半と、謎解きのアクションが展開する後半の配分がよく、1時間38分の上映時間にダレ場がないサスペンス演出も見事。ハタ迷惑も顧みず、知力・体力の限りを尽くし、一心不乱に娘を探すジョディ・フォスター熱演のスーパー・マムぶりも、むしろ爽快。ラスト、目撃者ならぬ傍観者に終始した乗客に対する視線に、現代社会への批判が込められ、余韻を残す。

高橋良平

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