「菊池稟子、アカデミー助演女優賞危うし!」ドリームガールズ 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
菊池稟子、アカデミー助演女優賞危うし!
1981年12月20日のニューヨークのインペリアルシアターで初演。そしてその後、4年間に渡り1522回の公演を行い、82年にはトニー賞の13部門にノミネートされ、そのうち6部門で受賞したブロードウェイミュージカルの映画化。
はっきり言って、ミュージカル映画はあまり得意ではないので、そんなに期待していなかったんですが、良いですね。そういえば、『シカゴ』や『プロデューサーズ』もそんな感じだったことを思い出しました。ですが、『シカゴ』や『プロデューサーズ』に比べて、それほど歌うシーンは多く感じませんでした。元々こちらの『ドリームガールズ』が歌手を描いた物語なので、歌うのが当たり前。よって、ミュージカルにありがちな不自然な歌が無かったと言うのも原因として考えられます。加えて、物語としてのストーリー性も十分なので、普通の劇映画として楽しめるということもあるのかもしれません。
エフィー役のジェニファー・ハドソン、良いですね。映画初出演ですが、十二分に活躍しています。この映画の歌唱シーンは、すべて本人が歌っているのですが、歌も声量たっぷりで上手いです。完全に主役のビヨンセを食ってましたね。容貌が、何となくインパルスの堤下に似ているなぁと思ったのは、私だけ? 失礼!
この映画は、ザ・シュープリームスをモデルにしています。実際のザ・シュープリームスもメンバーの脱退・新メンバーの加入を行い、元々目立っていたダイアナ・ロスの名前を取って、そのグループの名前をダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスに変更しています。ディーナ・ジョーンズが、ダイアナ・ロスであるのは言うまでもありません。そのディーナ・ジョーンズを演じる、ビヨンセ・ノウルズですが、さすがですね。物語前半の野暮ったい感じから、物語後半のセレブになったディーナを非常に上手に演じ分けています。もっとも、セレブのディーナの方が今のビヨンセに近いと思いますが(苦笑)。彼女は、この役を演じるために10kgもの減量をしたらしいです。
エディー・マーフィー演じるジェームス・“サンダー”・アーリーは、R&Bの帝王JBをモデルにしているとか、どうかとか言われていますが、60年代のスターの雰囲気を十分発揮していますね。エディー・マーフィーの出演は、監督が「この役はエディーで無ければ」と言う、たっての希望だそうです。それと、ジェイミー・フォックス。中々いい演技を見せています。やっぱり”役者”ですね。
劇中の時間の流れが非常に速い(あっという間に10年近くの時間がたっている)ですが、ストーリーがあり、きちんと物語になっています。ミュージカルは苦手と言う方も、大丈夫だと思います。劇中、どう考えでもジャクソン・ファイブとしか思えないグループも出てきますので、必見。最後は、なんか、感動してしまいました。