紅の豚のレビュー・感想・評価
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大人になってから見ると、違う
子どもの頃はあんまりおもしろく感じれなかったこの作品も、大人になってみると面白さがわかってくる。宮崎駿監督はこの映画を作ったことを後悔しているようなことを口にする時があるのだけど、こういう映画も世の中には必要じゃないかな。
第一次世界大戦から第二次大戦の間のきな臭い時代を舞台に、飛空艇乗りが夢を馳せることができた最後の時代をコミカルかつ、かっこよく描くこの作品、滅んでいくものへの哀悼を詰め込んだ内容と言える。ロマンは現実に滅んだかもしれないが、こうして映画の中にだけでも残っているって、それ自体が生きる希望になると思うのだ。大人にもたまにはユートピアに逃げる必要がある、現実は本当に大変だから。
実際、内容的にはことごとく男のロマンを詰め込んだような内容なのだけど、それがギリギリ気恥ずかしさを回避できているのは、主人公が豚だからだろう。人間のまま展開したら気恥ずかしすぎてダメだったと思う。
わずか15ページのほんわかとした短編漫画が大人の物語として生まれ変わった
賞金稼ぎの赤い飛行艇乗りが空中海賊=空賊たちと命を賭けた壮絶な空中バトルを繰り広げる…そんな手に汗握るスリリングな物語を期待していると微妙に肩すかしを食らう(笑)。
いや、もちろんそういう空中バトルが描かれるのだけれど、全体にほんわかとした雰囲気なのである。
それもそのはず。原作の漫画がそもそもほんわかとしているのだから。
原作は宮崎駿本人による漫画「飛行艇時代」。わずか15ページの短編である。
原作の大まかな筋書きは映画とほぼ一緒。でもマンマユート団以外の空賊たちは登場しない。ジーナも登場しない。シリアスな描写も一切ない。
宮崎駿お得意の淡い水彩で、あくまで軽いノリでほんわかとした物語がユーモラスに綴られている。
だいたい主人公を豚にしてしまう時点で、ありきたりのハードボイルドやヒロイズムに対する宮崎駿のシニカルな視線が感じられる。
この「飛行艇時代」は、さすがに天才宮崎駿が描いただけのことはあり、15ページの短編ながら流行り廃りと関係なく時代を超えて読み継がれるべき傑作漫画と言える。
ただ、この15ページのほんわかとした原作そのままではさすがに長編映画にはならない。
宮崎駿はそこに原作にはなかったジーナという大人の女性を登場させ、さらにポルコ・ロッソの過去の心の傷なども描くことで、ほとんどギャグ漫画に近かった軽いノリの物語を大人の鑑賞に耐えうる長編映画に生まれ変わらせた。
この作品で描かれているのは『ルパン三世 カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』のような痛快冒険活劇の世界ではない。
この作品が公開されたとき宮崎駿は51歳。アニメーション映画の最前線を駆け抜けてきて、50代を迎えてこれまでの自分の仕事を少し俯瞰して見る余裕ができたのかもしれない。
だからこの作品は冒険活劇の世界にのめり込まずに一歩引いた目で俯瞰して眺めるような、そんな大人の視点で作られている。
この作品がノスタルジーに満ちているのは、宮崎駿自身が同年代の仲間たちと一緒にアニメを夢中で作った血気盛んな若い頃を懐かしんでいるせいかもしれない。
自分がこの作品を劇場で観たときは20代を迎えたばかりだった。血気盛んかどうかはともかく(笑)若者であり、賞金稼ぎの赤い飛行艇乗りの物語と聞いて、痛快冒険活劇を期待して観に行ったため、微妙に肩すかしを食らったのを今でもよく覚えている。
でも、あれから30年が過ぎて自分も宮崎駿がこの作品を作った年齢を超えてしまった。
そういう目で観ると、この作品が血気盛んな若者時代を通り過ぎてしまった大人たちに宮崎駿が贈った物語だということがよく分かる。
この作品の一種の枯れた味わいは、50歳を過ぎたおっさんにしか本当には理解できないのかもしれない(笑)。
もちろん、宮崎駿がノスタルジーに浸って枯れた作品を作り続ける大御所みたいな、そんなじじむさい人間でないことはその後の精力的な創作活動が証明している。
20代の自分はこの作品がほんわかとし過ぎていて不満があったが、50代の自分はこういうほんわかとした作品も結構イイじゃないかと思っている。たぶん年を取れば取るほど好きになるような気がするので、この作品とは一生付き合っていけるのかもしれない。
ただ、一方で傑作短編漫画である「飛行艇時代」にシリアスな大人向けの要素を付け加えたりしないで、あの軽いノリとユーモラスな雰囲気そのままに30分くらいの痛快短編アニメに仕立てた作品を観たいという気持ちもずっと自分の中にある。
この気持ちもたぶん一生続くと思う(笑)。
かっこいいとはこういう事さ…
公開当時は宮崎駿監督の趣味の映画と言われ、興行的にもうひとつ振るわなかった作品だけど、個人的にはあの牧歌的な空気と何で豚になるのか?を追求せず受け入れる世界観が好き。
3年に一回位地上波で流される度に見てしまう程度に好き。
公開時も2回見に行ってしまった。
ジブリの中で一番ピンとこなかった、が…。
深読みせず素直な感想として、私のジブリ映画内での評価は低い。
男が自分に酔ってるのか?と感じた。豚のくせに。自分に酔ってる男をブタ化することによってそういうタイプの男をディスってるのか??
の割にはこの映画のファンは男が多そう…。謎すぎる。
さらに若い女の子の性格描写がうざい。設計の才能にあふれてて、危険を省みず自ら無鉄砲に飛び込み、好きなおっさんに自分からキスしたり、衒いもなくトロフィーになったり、すぐ気持ちを切り替えたり。鬱屈がないよね~若くてかわいくて才能にあふれててちやほやされてるからなのかな~。女優の卵みたい…。永野芽衣さんを思い出した。男ってこんな女の子が大好きなんだね~。すごく鬱陶しかった。
飛行機にすごさを感じない。覚せい剤とか興奮剤飲むパイロットいるらしい。そういう過酷な世界。だからこの映画を見ても共感できなかった。戦争をおとぎ話にしてる。もろもろ現実を覆い隠したふわっとしたストーリー。な・の・に、死者で作られた天の河のシーン。ここで一殺で涙腺やられる。卑怯な手。
働く女性は男よりよっぽど有能だ的ノリが全編にあるが、なら女性が紅の豚になった話にしてほしかった。
アニメ業界は実力社会だから男女平等に関しては他業界よりよっぽど進んでると思うし、アニメ映画のスタッフに数多い女性が加わっていると思う。が、しかし。(ならなぜジブリに女性監督が生まれなかったのだ!!!)
しかし!高評価の感想を読むと、それはそれで大納得した。
姿と名前を変えて生きる男、空を飛ぶ
「金曜ロードショー」の録画。
深紅の飛行艇サボイアが、ピッコロ社の女性たちによって修理される。
人物の描き方、台詞、機体などのメカ、BGM、何もかもクオリティが高い。
老若幅広く女性が沢山登場し、二人のヒロインとのプラトニックラヴがロマンティックであった。
急に泳ぎ出した理由は、おそらくオシッコ漏らしたからだと思う。
難解な雰囲氣に感じる理由は顔が豚だから。作中では詳細は説明されていないため、解釈は鑑賞者にゆだねられている。
自ら人の道から外れて無頼の道を歩むことにしたのだと思う。
ラストは秘密。公の場では言えないイケナイ関係だから。
自分なりの解釈をするのが最高の楽しみ方だと思う。
心は自由というメッセージに癒される。
日本国民ならもう何度も観ている作品 空賊という社会悪をコミカルでポ...
日本国民ならもう何度も観ている作品
空賊という社会悪をコミカルでポップにジブリらしく仕上げ視聴者が不愉快にならない作りはさすが
出てくる人物誰もが個性的で魅力的
男女問わず随所で粋な台詞を言うところに痺れる
何よりポルコがカッコ良すぎ
宮崎駿、頼むこの頃の作風に戻ってくれ
空に捧ぐ、憧れと誇り
天空に光輝く、紅の艇(ふね)。雲の海原を駆ける漢の誇りと童心。今、改めて観ると、宮崎サンの好物が詰め込まれた、お弁当みたい。ピクニックにでも、連れて行きたい気分になる映画ですね。そして、私は途方に暮れる。私のノスタルジーが、被弾した模様です。
スクリーンでこれ観てから、何年経ったかしら。時には昔の話をしようにも、あの頃の私を思い出すのも、難しい。と言うより、思い出したくない。たださ、あの頃の私って、今の私の姿を想像していたかな。揺れている時代に、揺られ続けている私を、どう思うのかな。翔べない私の目の前で、翼に雲を曳く豚さんは、私を置き去りにしたまま、今、何処の空を飛翔している?。誇り高き豚さんは、私の憧れを、何処へ運び去った?。
そうだね…
翔べない私は、ただの私です。カッコ悪くても、思ってたのと違っていても、他者を傷つけることなく、(たまに、けんかしても。)誇りある生き方ができるのなら、私の心は翔べるかな。宮崎サンも、それを望んでいるのかも。
時には、昔の話を…
良すぎる〜( ; ; )みんな大好き〜( ; ; )
初めてはじめから終わりまで視聴した。
なんて素晴らしいのだ。人生の全てが詰め込まれている。
笑いあり、涙あり、ロマンスあり、バトルあり、友情ありで盛りだくさん。
登場人物みんな愛くるしくて、ブレない芯があって凛としていてかっこよくて、面白くて・・・!どこを切り取っても最高!
舞台は世界恐慌で景気がとんでもなく悪く苦しかっただろうに、それを感じさせない、なんなら跳ね飛ばすようなポップで明るい楽しい音楽、キャラクターの前向きさが良かった。
なんと言ってもポルコがフィオに昔話を聞かせる場面がグッときた。なぜ豚なのだろう、ポルコは何を背負っているのだろう、どういった思いで空を飛び続けるのだろうといった謎が少しずつ解けてくる。
ポルコの誇りの高さとダンディズム、ジーナの凜とした強さと美しさ、フィオの天真爛漫な底抜けの明るさと愛嬌に特にずっとうっとりしていた。
生涯心に残り続けるだろうなという映画だった。
やっぱり素晴らしい
やっぱ傑作、やっぱり昔のジブリは面白い
飛ばねえ豚は、ただの豚だ‼️
1920年代、アドリア海で空賊と戦う第一次大戦の生き残りの飛行艇乗り、ポルコ・ロッソの物語‼️やはり今作は第一にポルコのキャラが大好きなんですよね‼️幼い頃より飛行艇が大好きだったのに、戦場でその夢を踏みにじられ、友までを失う‼️しかしそれでも大空への夢をあきらめきれず、ブタに姿を変え、空賊退治の賞金稼ぎになってまで空を飛んでいる‼️そんなポルコを待ち続けるジーナさんとの関係もホントにステキです‼️空賊連中も見事なパイレーツぶりだし、ライバルのカーチスも憎めないキャラ、フィオもジーナも美しく可憐であると同時に、キチンと自分を持ってる女性‼️そして宮崎駿ならではの飛行艇による空中戦‼️様々な飛行艇がスピーディーに、優雅に、ダイナミックに乱舞するその様は、宮崎駿自身の大空への憧れを象徴していますよね‼️そしてラスト、フィオからのキスによってポルコは人間の姿へ‼️まるで「美女と野獣」‼️メルヘンチックでファンタスティックでロマンチック‼️こんな物語を創造出来る宮崎駿はホントにスゴい‼️ホントにステキ‼️ジーナさんもようやくですね‼️
ジブリアニメで1番のお気に入り
1992年公開作品
監督と脚本は『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便(1989)』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『崖の上のポニョ』『風立ちぬ』『君たちはどう生きるか』の宮崎駿
この作品には今の日本にはない冒険心とユーモアが詰まっている
「まごまごしてるとバアちゃんまで ついて来そうだからな」って台詞が1番好き
森山周一郎のあの独特の声で冗談まじりにボヤキを連発する
最高にいい味を出している
声の配役
元軍人で飛行艇を乗り回す賞金稼ぎで軍に戻りたくなくて自分に魔法をかけた豚人間のポルコ・ロッソに森山周一郎
ポルコの青年時代に古本新之輔
ホテル・アドリアーノを経営する未亡人で歌姫のマダム・ジーナに加藤登紀子
ピッコロのおやじの孫娘で飛行機設計技師のフィオ・ピッコロに岡村明美
ミラノの飛行艇製造会社「ピッコロ社」の社長のピッコロのおやじに桂三枝(現六代目桂文枝)
大きな赤鼻に髭面で飛行帽にゴーグルが特徴の空賊マンマユート団の首領兼空賊船ダボハゼ号船長のマンマユート・ボスに上條恒彦
空賊連合が雇った用心棒でポルコの最大のライバルとなる飛行艇乗りのドナルド・カーチスに大塚明夫
ポルコの元戦友で現在はイタリア空軍少佐のフェラーリンに稲垣雅之
バアちゃんに関弘子
写真屋に辻村真人
酔客に矢田稔
テレビでやっていたら見てしまう反射
タイトルなし(ネタバレ)
良し悪しは兎も角、CGを合成している事は歴然。
ポリティカルな面でこの映画を評する訳にはいかない。曲がりなりにも、ファンタジーである。絶対に実写でやってもらいたくない作品だ。
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