プラダを着た悪魔 : インタビュー
“恋+仕事+ファッション”と、働く女の子にとって大切な3大要素が存分に散りばめられたこの秋公開の新作「プラダを着た悪魔」。ニューヨークの一流ファッション誌編集部を舞台とした本作は、人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」を思い起こさせる華やかなロマンティック・コメディだ。自分を見失いそうになりながらも、正直に一生懸命に生きる主人公アンドレアを演じたアン・ハサウェイに話を聞いた。(聞き手:編集部)
アン・ハサウェイ インタビュー
「若い女性たちに夢をあきらめないでほしいわ」
「プリティ・プリンセス」(01)のキュートなヒロイン役で映画デビューし、「ブロークバック・マウンテン」(05)で同性愛者の妻を演じ、と女優として着々と成長するアン・ハサウェイ。本作「プラダを着た悪魔」では、大学卒業後、ジャーナリストを目指してニューヨークに出てきた女の子、アンドレアを演じている。
「アンドレアはアメリカの中部からニューヨークに出てきて、いわば人生のレッスンを受けるのよ。大学を出たばかりの頃は、誰もが夢を持っているでしょ? でも、実際に働き出すと理想と現実にいかに折り合いをつけていくか模索しなければいけない。この葛藤をどう表現するか考えたわ。私はアンドレアほどナイーブではないけれど、彼女のような役を演じることができて嬉しかったわ」
オシャレに疎い彼女が一流ファッション誌「ランウェイ」編集部の門を叩き、そこで完璧主義の鬼編集長ミランダ(メリル・ストリープ)と出会う。ファッション界の女王然としたメリルの演技もみどころだ。
「メリルはもう1つオスカーをもらうべきよ。ミランダの近寄りがたい雰囲気と繊細な部分を見事に演じていたわ。どんな俳優にとっても、メリルと共演することは夢のようなことよ。初対面のときは正直言ってとても怖かったけれど、彼女からは俳優として自分を尊重しながら演技することを学んだわ」
今年24歳、女優としてステップアップの最中にあるアンにも、ミランダのような自分を成長させてくれる人との出会いはあったのだろうか。
「メリルもそうだし、ジュリー・アンドリュース、アンジェリーナ・ジョリー、それからヒラリー・クリントン、彼女はすごい女性だと思ったわ。有名人に限らず私の母親も含めて、たくさんの素晴らしい女性たちから影響を受けることができて私は幸運よ」
ファッション業界では、スリムでオシャレでパーフェクトでいることへのプレッシャーが強いようだけれど、ハリウッドでもそれは同じなのか。
「確かに多くの人が“映画をヒットさせるには、こういう格好をしなさい”なんて言ってくるわ。でも、私は見た目の美しさより、知性が大事だと思う。髪型ばかり気にする人よりも、状況に合わせて面白い人であったり、楽しい人でいたいの。パーフェクトな自分になろうとする必要なんてないし、そんな人生なんてつまらないわ」
最後に、この映画を見る働く女性たちにメッセージを。
「痩せている方がいいとか、ちょっとバカな方がいいとか、多くの女性が名声にとらわれて、実力を磨くことを忘れているわ。私は若い女性たちに夢をあきらめないでほしいし、そのために努力することも忘れないでほしい。じっとしていても何も始まらないし、簡単に手に入るものを信用しないでね」
■パトリシア・フィールドの衣装、豪華なカメオ出演にも注目
本作では、ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」をヒットに導いたスーパー・スタイリスト、パトリシア・フィールド(写真)が衣装を手がけている。ドレスと靴や小物の組み合わせなど、彼女ならではセンスが光るコーディネートも要チェックだ。また、デザイナーのバレンティノ・ガラバーニや、スーパーモデルのハイディ・クラム、ブリジット・ホール、ジゼル・ブンチェンらのカメオ出演も作品に華を添えている。