ぼくの名前はラワン

劇場公開日:2026年1月9日

解説・あらすじ

難民としてイギリスに渡った、ろう者のクルド人少年の成長を追ったドキュメンタリー。

イラクで暮らすクルド人の少年ラワンは、生まれつき耳が聞こえない。ラワンが5歳の時、両親は国外への移住を決断。家族は数カ月を難民キャンプで過ごした後、支援者の協力を得て、ようやくイギリスの都市ダービーに安住する。その後、ラワンはダービー王立ろう学校に通えることになり、少しずつイギリス手話と口話を学び始める。みるみる上達するラワンは、やがて周囲と同じように手話だけで生きていく道を選ぶ。兄もラワンと意思疎通するため手話を学び始めるが、イラクでは手話だけでは人として対等に扱われないため、両親は息子の選択に不安を抱いていた。手話を嫌がる両親にラワンがいら立ちを募らせる中、一家が申請していた難民認定について内務省の審査が始まる。

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)やBFIロンドン映画祭などで高い評価を受けてきたエドワード・ラブレースが監督を務め、4年の歳月をかけてイギリス手話や周囲との友情がラワン少年を成長させていく姿をカメラに収めた。

2022年製作/90分/G/イギリス
原題または英題:Name Me Lawand
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
劇場公開日:2026年1月9日

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(C)Lawand Film Limited MMXXII, Pulse Films, ESC Studios, The British Film Institute

映画レビュー

3.5 是非、観られるうちに劇場で。

2026年1月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

劇場でトレーラーを観て興味を持った作品。「クルド人難民のろう者少年」と言う、私がよく聴いているラジオ番組でも扱われることが多い“課題”であり「これは観逃せない」と思ったら、やはりパーソナリティの宇多丸さんのコメントもあって劇場鑑賞が確定。と言うことで、今週二度目となるシネスイッチ銀座にて鑑賞です。
クルド人のラワンは重度の聴力障害をもつ、いわゆる“ろう者”です。両親や兄弟たちは皆“聴者”であり、出身のイラク時代から出国後の難民キャンプで過ごしていた間も、自分と同様のろう者に遭ったことがなく、「自分はBAD(ポンコツ)だ」と思い込んで何事にも自信が持てません。その上、同世代の子供たちからはいじめられたり仲間外れにされたりで、話し相手になってくれるのは兄だけ。その後、ようやく落ち着けたイギリスの都市ダービーでろう学校に入ったことをきっかけに、先生の熱心な指導で手話をおぼえ、自分と同じろう者の友達ができ、勉強することの楽しさにどんどんと意欲を持ち始めます。
クルディスタンとして、そしてろう者として、困難な運命を背負いすぎた少年ラワン。「もう地球に自分のHOME(居場所)は存在しない」と、聞くに堪えないようなことを本気で考えて口にする彼に対し、ろう学校の先生たちは諦めずに彼と対話し、信頼関係を深め、そして彼の本心を引き出し、更には積極性や意欲を沸かせていきます。当然、たとえイギリスにせよ難民や亡命希望者の受け入れは相当に“狭き門”であり、作品中においてラワン家族にも在留資格喪失の危機が来るのですが、それを回避するためのキーマンもまたラワンです。言い変えれば「家族の運命を握っている」という意味でもまた“背負っている”と言えるのです。ところが、ラワン自身は覚えた手話で得られたコミュニケーション、友人たち、そして学ぶことに生きる意味を見出し、そのオポチュニティーを諦めたくない一心で立ち向かう姿勢に、「あの小っちゃくて引っ込み思案だったラワンが…」と胸が熱くなります。
と、題材としてはこの上なく本当に素晴らしい本作ですが、作品としてはやや演出過多な印象も…。何だかテレンス・マリックのような自然へのクローズアップ映像(ただ、テレンスのクオリティには程遠い)を度々に差し込んだり、やや勿体ぶって何なら“煽る”意図さえ臭ってきそうな編集は「上映時間90分でこの仕上がり?」と少々鼻白んでしまう。短編で充分とは言いませんが、どうせならもっと授業や放課後、或いは家族との時間(特に兄とのエピソードなど)をもっと見せてもらいたかったと感じます。
とは言え、やはり観る意義は大きい本作。難民認定数は先進国の中で非常に少ないという残念な実情を持つ日本にとって、ラワンの向上心と行動力には日本人として見習うべきことばかりです。是非、観られるうちに劇場で。

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TWDera

4.0 いい映画だった

2026年1月15日
スマートフォンから投稿

映画を観ている間ずっと(音のない世界で生きるとはどんな気持ちなんだろう?)と想像しようとしたけど上手くいかなかった。

彼の成長と、世界が彼の近くに歩み寄ってくれた事が僕も嬉しかった。

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はなてん

4.5 終盤に向けて、ラワンの瞳の輝きが凄い

2026年1月12日
iPhoneアプリから投稿

泣ける

難しい

生まれながらの聴覚障害を持つラワンの成長っぷりが見どころ。文字通り、「死と隣り合わせ」でイラクを脱出し、何とかイギリスに辿り着き、一家揃っての生活が始まったものの、この頃のラワンには不安と不満で押し潰されているような感じだが、信頼できる教師と寄り添ってくれるクラスメイトとの存在によって、彼の黒くて大きな瞳に光が当たったようだった。ドラムの音がどんなものかは判らなくても、風船を通じて「音の振動」を知った彼の嬉しそうな表情は凄くよかった。
成長とともに困難にも遭遇するだろうが、自らの努力と周囲の支援や協力によって乗り越えて欲しい。

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ちゃ坊主

5.0 コミュニケーションの重要さ

2026年1月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ろう者のクルド人難民の少年、ラワンくんのドキュメンタリー。手話がろう者の彼のコミュニケーションのツールとして機能し始める後半の描写の凄みに圧倒された。

難民と聞くと、なぜ難民になって他の国に行きたいかという動機を考えたこともないことに気づかされた。彼の場合、いや彼の家族の場合は、ラワンくんの教育が課題だった。イラクではラワンくんのような障害者の居場所がない。

このドキュメンタリーでは、ラワンくんを取り囲む状況を政治的な側面や、法律の改正まで含めてしっかりと描いている。よりよい社会を考えるという、ドキュメンタリーを超えたジャーナリズムを感じた。

ラワンくんの学びは我々の学びでもある。
手話というコミュニケーションを通じて、他者との関係性によって自信をつけていく様子は、大人への成長より以上に、人間の尊厳、人間らしくあることを感じさせる。

コミュニケーション手段がなかった頃の幼少期のラワンくんは、いじめの対象で、居場所もなかった。地球ではない、別の星に居場所があると夢想していた。

難民のろう少年だけの問題ではない。このドキュメンタリーは、ディスコミュニケーションに苦しむ、日本、いや世界の我々の話ではないか。

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minavo