デアデビル : 映画評論・批評
2003年4月1日更新
2007年4月5日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
スパイダーマン最大のライバルが銀幕デビュー
ついに、スパイダーマン最大のライバルが銀幕デビューをはたした。それこそがデアデビルだ。
コミックス・デビューは同時期で、出版社も同じマーヴル・コミックス(だから、原作コミックスではたびたび共演している)。舞台も同じニューヨーク。コスチュームもカラーリングはともかく余計な小物がついていないシルエットはほぼ同じ。さらにいえば、アクションのスタイルだってものすごく似ている。どちらも、細いひも(スパイダーマンはクモ糸だけど)を使って超高層ビルのあいだをぬうように飛び回り、武器を使わずに素手で敵と戦うのだ。
じゃあ、スパイダーマンとどこが違うのか。それは、デアデビルにはスパイダーマンみたいな超能力がまったくないこと。クモ糸が出せないのはもちろん、壁に貼りつけるわけでも、一気に数十メートルジャンプするキック力や、コンクリートをぶち抜くパンチ力があるわけでもない。体力的には全く普通の人間と変わりなくて、唯一の力である超感覚だって、失った視力の代わりでしかない。そんな普通の人間が、スパイダーマンの向こうを張って、アクロバットのように宙を舞い、悪と戦うところがかっこいいのだ。
今回の映画化でも、そんなデアデビルのかっこよさが存分に描かれている。アクションのキレも良いし、音を感じ取る超感覚もうまく視覚化されている。スパイダーマンと似て非なるもう1人のアメコミ・ヒーローの活躍を存分に楽しめる快作だ。
(堺三保)