劇場公開日 2025年12月19日 PROMOTION

楓 : 特集

2025年12月15日更新

【“今年最大級”に切なく、驚き、そして涙が流れた】
双子の弟が、事故で亡くなった。僕は、弟の恋人のため
に“弟のフリ”をした――“私の推し”年末年始映画は本作
【界隈で話題沸騰中の「楓」を編集部が徹底レビュー】

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2025年も最後の最後に、熱烈にオススメしたい“個人的”2025年ベスト級作品に出合ってしまいました……。



その作品タイトルは、「楓」(12月19日公開)。

物語を追いかけていくうちに、切なさと尊さで胸が埋め尽くされていき、エンディングでは想像を超える感情に辿り着く――。

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行定勲監督(「世界の中心で、愛をさけぶ」)の手によって、国民的アーティスト「スピッツ」の楽曲が初めて映画となり、福士蒼汰、福原遥が共演しています。

なぜ、こんなにも忘れられない映画体験になったのか――? レビューのなかで、本作が「“今年最大級”に切なく、心が震え続けた」理由を語っていきたいと思います。


【予告編】さよなら 君の声を抱いて歩いていく

筆者紹介:ドーナッツかじり(映画.com)
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●【どうして、こんなに泣けるのか…】
僕は、弟のフリをした。君に笑っていてほしくて――大切な人を失ったふたりが、それでも前に進もうとする物語が切なすぎる、涙がとめどなくあふれた。
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まずは、“予告編の時点で珠玉の物語”を見て、余韻に浸ったうえで、読み進めてみてください。

【あらすじ】

ニュージーランドの不慮の事故で双子の弟・恵を失った涼(福士/一人二役)。恵の恋人・亜子(福原)は事故の混乱で、目の前に現れた涼を恵だと思い込んでしまう。咄嗟に弟のフリをした涼は、本当のことを言い出せないまま恋人のような時間を過ごすうちに、明るく真っ直ぐな亜子に惹かれていく。

しかし、亜子から突然の告白とともに別れを告げられる。亜子にもまた、涼にずっと隠していることがあったのだ──。


涼と恵を最も理解する幼なじみ・梶野(宮沢氷魚)
涼と恵を最も理解する幼なじみ・梶野(宮沢氷魚)

繊細な映像美で紡がれる、喪失と再生の物語。それぞれが抱える「愛するからこそ、伝えられなかった本当の想い」が筆者に切なさと共感と感動を、そして“ネタバレ厳禁な展開”途方もない驚きを与えてくれました。

序盤から感情のさざ波が寄せては返す。後半はそんな“波”がいっぺんに押し寄せて、静かで熱い涙がツーっと流れ続けて止まらない。

こうして書いているだけでも、また涙が込み上げてくる。シーンの数々が、想いの優しさが、今もまだ胸に流れ込んでくる。

心ゆくまで泣き濡れたい方に、絶対に観てほしい1本なんです。


●【なぜこんなに“上質”なのか?】
監督は「世界の中心で、愛をさけぶ」行定勲監督、時代をつくる新たな“名作”を創出! そして福士蒼汰&福原遥らキャスト陣の熱演に、どうしようもなく心奪われる
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「楓」は、ポップに楽しめる軽めのラブストーリーではなく、“一生忘れたくない大切な何か”を受け取ることができる、良質な作品。

それもそのはず、メガホンをとったのは「世界の中心で、愛をさけぶ」「劇場」などで知られる名匠・行定勲監督。そして脚本は「ソラニン」や「東京リベンジャーズ」シリーズなどの髙橋泉。

この強力なタッグによって、巧みなメタファーやモチーフが物語の随所に盛り込まれ、他作品とは異なる類いの“奥行き”が生まれています。

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例えば、事故後の後遺症で亜子の視界に表れる「複視(ひとつのものがふたつに見える現象)」。これは単なる悲劇的な設定ではなく、ひとりでふたりの人生を同時に生きる涼の境遇や、亜子の心情を視覚的に象徴するメタファーになっています。

ゆえに、亜子が“ふたつの像に手を伸ばす”姿が、切なくて、切なくて……。

本作がこれほどまでに“良質”だと感じる理由は、こうしたセリフや表面的な芝居だけに頼らない、画面の隅々にまで行き届いた演出にあります。ふと映り込む景色や小道具、文字、光の加減、鏡の反射……そのひとつひとつが物語の行く末やテーマを暗示しており、観客はスクリーンから一瞬たりとも目が離せなくなるのです。

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そうした“緻密に構築された世界観”のなかで、福士蒼汰と福原遥が見せる熱演もまた格別。なぜ亜子は、恵と涼を間違えたのか? なぜ涼は真実を伝えられず、恵のフリをするのか? それらの全てが、言葉にできない感情も含めて、表情や佇まい、言葉の端々、そして沈黙から、痛いほどに伝わってきます。

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そして全てを包み込む映像美――。彗星が好きな主人公たちが追い求める土地として登場するニュージーランドの雄大なロケーションを、行定監督とは2度目のタッグとなり、ポン・ジュノ作品への参加も多い韓国の撮影監督ユ・イルスン、近年では「国宝」に参加している日本を代表する照明監督・中村裕樹がとらえ、忘れがたいシーンとして心に刻みます。

物語のレイヤーを読み解く快感と、心を鷲掴みにされるような俳優陣の芝居、そして美しく鮮やかなシーンの数々。なんでもないシーンのはずなのに、ハッと“想い”に気がつき、涙腺が崩壊する瞬間のなんと多いことか――そんな“極上の映画体験”が、ここにはあります。


●【なぜこんなに“驚き”があるのか?】
高校時代の写真、約束した惑星探しと望遠鏡、亜子が不安になると呟く言葉…脚本にちりばめられた“感情の伏線”が見事! 鑑賞後、語りたくてたまらなくなる!!
高校時代の思い出
高校時代の思い出

ここまでで、本作が上質な物語であることは伝わったかと思いますが、もう一点、どうしても強く訴えたい魅力があります。

それは、本作が単純な物語の枠に収まらない、“極上ミステリー”のような構造も持っていること。前半でちりばめられた謎や秘密が、後半に一気に回収され、怒涛の展開、予想を超えるラストが訪れる――そして、“驚き”が“感動”に変わるのです。

涼に思いを寄せる後輩・日和(石井杏奈)
涼に思いを寄せる後輩・日和(石井杏奈)

これからご鑑賞される方のために、より“伏線”を楽しむ補助線を記しておきます。

劇中では、センチメンタルなアイテムやモチーフが数多く登場します。高校時代の写真、かつて約束した彗星探し、望遠鏡、そして亜子が繰り返す「バターが溶けて、流れ込んでいく」という意味深な言葉……。実はこれら全てが、単なる演出ではなく、登場人物の切ない想いが込められた“感情の伏線”なのです。

亜子の良き相談相手であるバーの店長・雄介(宮近海斗)
亜子の良き相談相手であるバーの店長・雄介(宮近海斗)

終盤のカタルシスはまさに圧巻。点と点が繋がり、予想もしなかった真実が浮かび上がった瞬間――筆者は「こんなに大きくて尊い愛が、ここにはあったんだ」と言葉を失いました。

季節がめぐるなかで、楓の葉の色が移り変わっていくように、大切な人を失っても、喪失感を断ち切れなくても、それでも人生は続き、その先にはまた新たな出会いが待っている。

真実や秘密を知っていくほど、同じシーンや言葉から違う印象を受け取るため、鑑賞後に誰かと語りたくなります。そして、“あなた”もきっと、大切な人のことを思い出すはずです。


●【感動、共感、驚き、そして最後に“さらなる珠玉の体験”】
名曲「楓」の破壊力! 切なくて、幸せな、“特別な気持ち”にさせてくれた…だから本作は、私の“今年ベスト級”の一本になった。
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最後にお伝えしたいのは、発表から27年経った今も愛され続け、歌い継がれる名曲「楓」の力によって、生涯忘れられない鑑賞体験となったこと。

映画館の大スクリーン&上質な音響に包まれながら、耳を傾けてみてください。劇中の大切なシーンで「SUPER BEAVER」渋谷龍太や十明がカバーする、さまざまなアレンジの「楓」が流れ、沸々と思いが高まっていきます(個人的には、楽曲が流れるタイミングの“共通点”にも注目してほしいと思います)。

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そしてエンドクレジットで流れる本家「スピッツ」による「楓」――。「さよなら 君の声を 抱いて歩いていく」「瞬きするほど長い季節が来て 呼び合う名前がこだまし始める」。涼と恵と亜子の姿が重なり、歌詞が今まで以上に心に沁みて、沁みて、突き刺さってくる感覚を覚えました。

劇場に向かう道すがら、私は「楓」を聞いていました。しかし、本作の「楓」は“さらなる傑作”として全身に響きわたりました。

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もともと好きな曲でしたが、本作で聞く「楓」は“生涯最高の「楓」”のひとつになったのです。だから鑑賞以降、この曲を聞くたびに、切なくも温かい愛の物語が鮮やかによみがえり、胸がぎゅっとなる。

「First Love 初恋」「366日」などに続く、名曲と物語が分かちがたく結びついた、新たな名作――空気が澄んだ寒い冬に、ニュージーランドの息が止まりそうに美しい星々の輝き、そして雪を溶かすほどのあたたかい感動を、映画館で存分に味わってみてください。

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