ティム・バートンのコープスブライド : 映画評論・批評
2005年10月18日更新
2005年10月22日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー
長年のティムくんファンは思わず「うーむ」
ティム・バートンの出発点はモデルアニメである。彼は今回、その処女短編「ヴィンセント」に登場させた自分の分身たる根クラなおたく少年ヴィンセントをまたも主人公に、長編モデルアニメを監督した。
それがこの「コープスブライド」なんだけど、問題はティムの「ヴィンセントの成長した姿が今回のビクター」という言葉に戸惑うことだ。「姦婦の生き埋葬」等が大好きだったヴィンセントなら、少なくとも<死体の花嫁>にときめきはするだろう、結婚はしないまでも。と思うのだが、ビクターは彼女を怖がるばかり、彼女から逃げ惑うばかり。陽気で色があふれた死者たちの国にも興味を示さないのだ。
これは、ヴィンセントは成長し、根クラさを少し残した普通の青年ビクターになったことを意味している。つまりそれは深読みすると、ティムも成長して普通の男性になったということ? 確かに子供も生まれ、ちゃんとパパをやってるみたいだし。うーむ。
ブライドの切ないキモチが伝わる、胸キュン(死語)なストーリーはいい。でも、長年のティムくんファンとしては、そういう部分が妙に気になっちゃうわけなのだった。
(渡辺麻紀)