コンスタンティン : インタビュー
「コンスタンティン」の監督フランシス・ローレンスは、ジェニファー・ロペスやブリトニー・スピアーズなどのミュージック・ビデオを手がけてきた人物で、今回が初の長編映画となる。作品ごとに独特の世界観を構築することで定評のあるローレンス監督に話を聞いた。(聞き手:編集部)
フランシス・ローレンス監督インタビュー
「地獄は身近にあって、決して遠い存在ではない」
――現実世界のパラレルワールドとして地獄が存在しているという世界観と映像が素晴らしかったです。これは監督自身のアイデアだと聞きましたが。
「脚本にはちゃんと書かれていなかったから(笑)、まずはどうやって地獄を表現したらいいのか考えてみたんだ。抽象的に描いても面白くないし、みんなが見たら(そこが地獄だと)わかるような場所にしたいと思った。身近にあって、決して遠い存在ではない。扉を開けたらそこにあった、というようにね。
地獄のイメージを考えるにあたって、『白の闇(原題:Blindness)』という有名な本を参考にした。原因不明の伝染病で世界中の人が次々と失明していき、秩序が崩壊していく。人間の本性がむきだしになった、阿鼻叫喚の世界という独特のイメージを持っているんだ。
また、暴力的な雰囲気を出すにために、核兵器の爆風で吹き飛ばされる瞬間をイメージに加えてみた。爆風の影響で、街はどんな風に破壊されるのか、物体はどのように吹き飛ばされるのか。そんなことを考えながら、地獄のイメージを作りあげたんだ」
――この映画は、神や天使、悪魔という宗教的にデリケートな題材を扱っています。この点についての反響などは心配しませんでしたか。
「心配するというよりは、どんな反応が出てくるのか興味があった。僕は宗教的な映画を作っている意識は無かったし、天使も悪魔も目に見えて存在するというような、ドグマ的な感覚もなかった。実際、宗教関係の人もこの映画を観たんだけれども、これはこれで普遍的な作品だと思ってくれたようだ。宗教的な部分についても、それぞれの教義にあわせて、都合よく解釈してくれたみたいだよ」
――撮影でいちばん大変だったシーンはどこですか。
「アンジェラが邪悪な力に引っ張られて、ビルの壁を次々と突き破っていくシーンだね。このシーンには本当に色々な要素がたくさん盛り込まれている。CG、ミニチュア、レイチェル(・ワイズ)を引っ張るワイヤーの安全性など、すべてを計算したうえで臨んだ。だから準備はいちばん大変だったけれど、実際に撮るのは楽だったよ」
――続編の構想などはありますか。
「オカルト的で超常現象を扱った内容なら、極端な話だけど、あらゆる可能性がある。だからひょっとしたら、日本が舞台になることも考えられるよね。変わっていれば変わっているほどコンスタンティンらしいと思うから(笑)、それもアリなんじゃないかな」
――本作が長編映画初監督ということですが、次にチャレンジしてみたい題材などありましたら教えてください。
「すでに2つほど企画が動いているんだ。そのうちのひとつは、『ファイト・クラブ』のチャック・パラニュークが書いた『サバイバー』という小説の映画化だ。きっとまたユニークな作品になると思うよ」