種まく旅人 醪のささやき

劇場公開日:2025年10月10日

解説・あらすじ

農業や漁業といった日本の第1次産業を応援する映画「種まく旅人」シリーズの第5作。兵庫県淡路島でつくられる日本酒と、兵庫県を代表的な産地とする酒米・山田錦を題材に、関わる人々のものづくりの精神と現場での課題を描く。

日本酒を愛する農林水産省官僚の神崎理恵は、日本酒産業の現状を知るため、淡路島の老舗酒蔵・千年一酒造へ視察に訪れる。そこでは、伝統的な手法を貫こうとする蔵元・松元恒雄と、新しい方法を取り入れようとする息子・孝之がぶつかりあっていた。蔵人の中には藤原夏美ら若手の姿もあるが、杜氏の草野は後継者を育てることに焦りを募らせ、他の蔵人たちとの間に誤解が生じていた。理恵はさまざまな課題を目の当たりにし、日本酒を守るための解決策を模索する。その矢先、千年一酒造に海外からの事業買収の話が舞い込む。

菊川怜が主人公・理恵役で15年ぶりに映画に出演し、千年一酒造の息子・孝之を金子隼也、酒づくりに高い志を持つ若手蔵人・夏美を清水くるみ、酒米・山田錦の営業マン・岡村武を朝井大智が演じた。監督は、2015年のシリーズ第2作「種まく旅人 くにうみの郷」も手がけた篠原哲雄。

2025年製作/107分/G/日本
配給:アークエンタテインメント
劇場公開日:2025年10月10日

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(C)2025「種まく旅人」北川オフィス

映画レビュー

3.0 酒造りをきちんと見せるのは良いが、微妙な点もいくつか

2025年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

農林水産省が後援する「種まく旅人」シリーズの第5作だそうで、農水省職員が地場産業の現場視察でしばらく滞在し、生産者と一緒に課題を解決して格好よく去っていく……というのがお決まりのパターン。題の「旅人」とは、視察に訪れる役人の詩的表現ですね(苦笑)。

1作目から順に、大分県臼杵市のお茶、淡路島の玉ねぎ、岡山県赤磐市の桃、金沢市のれんこんと来て、本作は再びの淡路島で日本酒造り。ん?酒類製造業は加工業だから第2次産業だし、管轄は財務省のようだけれど、シリーズで扱う産業を拡大して1次産業に近い伝統的な製造業も含めることにしたのか。一応、酒米で有名な山田錦の生産の話も少しからんではくる。

題に含まれる「醪(もろみ)のささやき」とは、蒸した米や麹菌などを合わせて発酵させる段階の「もろみ」から、アルコールと二酸化炭素の微細な泡が生じてはじけるときの音のこと。このタイトルが示唆するように、職人たちが伝統的な方法で日本酒を造る過程を、丁寧に細やかに描写しており、そこは篠原哲雄監督の誠実さの表れであるように思う。

ちなみに、舞台となる千年一酒造は淡路島に実在する酒蔵。劇中に登場する看板銘柄「月の舟」は架空だが、受賞歴や瓶のデザインから「千代の縁」をモデルにしたようだ。興味のある方は千年一酒造のサイトをチェックしていただければ。

菊川怜が15年ぶりに映画に出演だそうだが、40代半ばの彼女の実年齢よりも、脚本で想定していた主人公・神崎理恵の年齢設定がだいぶ若かったのではないか。思いつきで酒蔵に住み込みで見習いさせてとか言い出すし、勝手な行動で怒られたり、麹をまく前の蒸米にずっこけて顔を突っ込んだり。20代の世間知らずでがむしゃらな頑張り屋さんならともかく、長く社会経験を積んで相応に分別もあるはずの公務員でそんな行き当たりばったりの人がいたらやばくないか。終盤のとってつけたような恋バナも、やはり年齢的に無理がある(あの言い寄る側の中年男性も微妙に気持ち悪いキャラで、淡路島のおじさんたちが観たら怒りそうだ)。

酒好きの視点からすると、日本酒造りの工程をかなり丁寧に順を追って見せてくれるのは良い点。1カ月前に公開された「風のマジム」では、沖縄県南大東島産のラム酒を開発する企画を通すまでがメインで、ラム酒造りの描写がほとんどなかったのが物足りない点だった。

一方で、手塩にかけて作った日本酒そのものの味わいや、料理と合わせたときの味の相乗効果を伝える描写が足りないのは残念。飲み屋のカウンター席で主人公が激辛の玉ねぎ料理に挑戦するシーンでは、一口食べて「辛い!お水お水!」と叫ぶが、おいおいそこは水じゃなくて日本酒だろう、「辛い、けどお酒のうまみと絶妙に合うわ!」とか言えんのか、と心の中で突っ込んでいた。特産品の玉ねぎも雑に扱われて気の毒だ。

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高森郁哉

4.0 丁寧で優しい物語

2025年10月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

白状します。ご当地映画、期待値を下げていました。反省してます。

広大な地の旅ではなく。胸を焦がすロマンスもなく。何より現実はこんなに甘くない。でも何と優しく、丁寧に作られた映画だろう。それほど深い伏線を張っていないのに話の筋が無理なく繋がる。

そして俳優陣の日本語がとても聞きやすく、すんなりと耳に入ってくる。それがまた満足度を上げてくれた。

問題なのは。
この私が日本酒もビールもワインも文字通り全く飲めないことだー!
くやしー!
もったいなーい!

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豆之介

3.5 ほっこり映画

2025年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

知的

ほっこり映画である。宣伝の写真が、菊川怜のみであるので、良さが伝わらない。
劇場も少ないので、多くできないかと思う。

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いつも6

4.0 一応繋がってます

2025年10月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2025年劇場鑑賞285本目。
エンドロール後映像無し。

2作目から観ていますがそこまで繋がりはなく、2作目と4作目の主人公が栗山千明演じる神野という人で、4作目に永島敏行演じる上司が出てきて今作でも主人公の神崎の上司として出てきます。
神野という名前は今作でも出てくるのですが、写真でもいいから出て欲しかったなぁ、というのはあります。

自分の知らない世界を教えてくれる、お仕事紹介ムービーは結構好きで、健康上の理由で飲酒を一切したことがない自分にも酒造りを教えてくれる序盤は良かったのですが、中盤からは潰れかけの酒蔵の生き残りの方にシフトしていったのでそっちの方面が見られなくなったのは残念。
後、最初めちゃくちゃ冷たかった女性職人がある朝急に優しくなっていたり(きっかけはあるにはありましたがそこまで?)、最初ちゃんと対応していた若き5代目が急に冷たくなり、厳しそうだった社長が優しくなったり、登場人物の性格がブレブレだったのも気になりましたが、この映画における悪役が悪巧みの途中でべらべらいらんことしゃべってしまって、それじゃだまされんやろ、というところに醒めました。

それでも、5代目の不可解な行動にちゃんとした理由があって、なるほど、と思ったのでその点では良かったと思います。

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ガゾーサ

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