コンフェッション : 特集
ここにきて「コンフェッション」「アダプテーション」と2作連続チャーリー・カウフマン脚本作が公開に。そこで気がつくのは、この2作のテイストにかなり違いがあること。それではチャーリー・カウフマンとはいったい何者なのか。現在、公表されているいくつかの事柄を並べてみた。
私たちがチャーリー・カウフマンについて知っているいくつかの事柄
編集部
カウフマンの映画デビュー作「マルコヴィッチの穴」は、監督スパイク・ジョーンズにとってもデビュー作。そこで、あれは脚本に描かれたものの映画化だと思ってしまった観客は少なくなく、実はeiga.com編集部もその仲間だった。が、その後のカウフマン作、「ヒューマンネイチュア」で「おや?」と思い、「コンフェッション」で「もしやこれは……」と疑惑を強め、「アダプテーション」で「うむ、やはり」と確信に至ったのは<カウフマン脚本は監督によって味が変わる>の法則。考えてみれば、脚本とはもともとそういうもの。カウフマン脚本のユニークさが、それを忘れさせていただけのことだった。脚本通りに撮ったかに見えたスパイク・ジョーンズ監督は、実はちゃんと仕事をしていて、例えば「マルコヴィッチの穴」には、マルコヴィッチの親友としてチャーリー・シーンが出てくるが、脚本ではケビン・ベーコンだったのを監督が変更したそう。ジョーンズ監督が他の脚本家と組む映画も見たくなるが、それはさておき、気になるのは、では、カウフマンとはいったい何者なのか、という問題。そこで、カウフマンについて、先入観を裏切るいくつかの事実を並べてみよう。
◆カウフマンはデブではない
「アダプテーション」でニコラス・ケイジが演じたカウフマンは、デブでハゲ初期。それならフィリップ・シーモア・ホフマンに演らせろ!とツッコミたくなるが、本人の写真を見てびっくり。痩せ型で、髪も普通。インタビューによれば、これまでの人生でデブだった時期はないとのこと。「アダプテーション」のケイジのルックスと共通しているのは、縮れっ毛だけなのだった。
◆カウフマンは苦労人
スパイク・ジョーンズが親友だと公言しているせいか、彼と同世代の印象があるが、実は58年生まれの45歳。高校時代から脚本を書き、大学でも映画を学んだが、故郷ミネアポリスで就いた仕事は、新聞社の流通部門や美術館の監視員。これじゃいかんと、91年に何のあてもなくロサンゼルスへ行ってTVのコメディ番組の脚本を書き続け、99年の「マルコヴィッチの穴」でやっと映画デビューしたのだ。
◆カウフマンの好きな映画人
子供のころからずっと好きなのは、マルクス兄弟とウッディ・アレンで、大きくなってから好きになったのはレニー・ブルースだそう。
◆カウフマンの好きな作家
好きな作家はフランツ・カフカ、サミュエル・ベケット、スタニスラフ・レム、フィリップ・K・ディック、スティーブン・ディクソン。嫌いなのはシャーリー・ジャクソンやパトリシア・ハイスミス。これらとは別の意味で好きなのが米国南部のグロテスクさを描くフラナリー・オコナー。「僕は自分がどこから来たとか思わないから、呼び声も聞こえないんじゃないかと恐くなる」。
◆カウフマンの好きな映画
トム・ヌーナン監督・脚本・出演のダーク・コメディ「What Happened Was...」(94)、マイク・リー監督「ネイキッド」、トッド・ヘインズ監督「セイフ」、ケン・ローチ監督「レディバード、レディバード」、デビッド・リンチ監督「イレイザーヘッド」と「コーエン兄弟の映画とデビッド・リンチの映画はほとんど全部好き」。
――と、見てくると、カウフマンの魅力だと思っていたものは、スパイク・ジョーンズの魅力だったのか?という気もしてくるが、なにしろサンプル数は、まだ少ない。次回作は「ヒューマンネイチュア」のミシェル・ゴンドリー監督作「Eternal Sunshine of Spotless Mind」。とりあえず、これを見てカウフマンの正体を考察するヒントを探しますか。
【チャーリー・カウフマンと監督 食べ合わせ表】
監督: スパイク・ジョーンズ ミシェル・ゴンドリー ジョージ・クルーニー
タイトル: 「マルコヴィッチの穴」
「アダプテーション」 「ヒューマンネイチュア」「コンフェッション」
ヘン度: ★★★★★ ★★ ★
笑い度: ★★★★ ★ ナシ
甘 み: ナシ ★ ★
辛 み: ★★★★★ ★★ ナシ
結 論: 何なんだコレは! ちょっと変わったコメディ フツーの風刺ドラマ