コンフェッション : 映画評論・批評
2003年8月1日更新
2002年8月16日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー
初監督作にチャーリー・カウフマン脚本とは大胆な!
監督デビュー作にチャーリー・カウフマンの脚本を選ぶとはジョージ・クルーニーも大胆な。だが、彼はこれを見事にモノにした。いや、見事過ぎると言っていい。
たとえば映像。50年代は色あせたテクニカラー、60年代はシャープに、そして80年代はソフトフォーカスやハンドカメラを多用と、映像でその推移を表現してみせる。ファッションや風俗のみに頼るという安直な手法はとっていない。
そして語り口。これが何と言っても滑らかなのだ。いわばホラ話に近い物語を、ホラと笑うわけでもなく、はたまた真実と構えることもなく、その中間の部分に留まって見せる。編集もスタイリッシュかつクールにまとめ、決してヘマを仕出かさない。その演出ぶりは初監督だとは思えないほどだ。だが、その反面、インパクトに欠けるのも事実。昼は俗悪TV番組のプロデューサー、夜はCIAの暗殺者という主人公のその奇想天外さが伝わってこないのだ。破天荒な男なのだから、もっと遊んでもよかったのでは、とも思う。
しかし、これは悪いことではない。プレイボーイとして知られるロス先生だが、こと映画に対しては真摯。そんな彼の姿勢がよーく滲んだ作品になっていて、もちろん、ファンとしては大満足であります。
(渡辺麻紀)