フォーチュンクッキー

劇場公開日:2025年6月27日

解説・あらすじ

孤独な女性がフォーチュンクッキーをきっかけに新たな一歩を踏み出す姿を、オフビートなユーモアを交えながらモノクロ映像でつづったインディペンデント映画。

カリフォルニア州フリーモントのフォーチュンクッキー工場に勤めるドニヤは、アパートと職場を往復するだけの単調な日々を送っていた。母国アフガニスタンの米軍基地で通訳として働いていた彼女は、そこでの経験から慢性的な不眠症に悩まされている。ある日、フォーチュンクッキーに入れるメッセージを書く仕事を任されたドニヤは、新たな出会いを求めて、その中のひとつに自分の電話番号を書いたメッセージを紛れ込ませる。やがて彼女のもとに、ある男性から会いたいというメッセージが届く。

アフガニスタン出身で国営テレビ局のジャーナリストだったアナイタ・ワリ・ザダが映画初出演にして主演を果たし、人気ドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」のジェレミー・アレン・ホワイト、「アントマン」シリーズのグレッグ・ターキントンが共演。ロンドン・フィルム・スクールで映画制作を学んだババク・ジャラリが監督を務め、2023年・第39回インディペンデント・スピリット賞でジョン・カサベテス賞を受賞した。

2023年製作/91分/G/アメリカ
原題または英題:Fremont
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2025年6月27日

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(C)2023 Fremont The Movie LLC

映画レビュー

4.0なんとも言えない愛おしさが漂う

2025年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ジャームッシュやカウリスマキを思わせるオフビートなドラマでありながら、決して二番煎じというわけではなく、主人公ドニヤの感情がことのほか抑制されているのには理由がある。舞台はアメリカの中でもアフガニスタンからの移民、難民が数多く暮らす街。当然、ドニヤも言い知れぬ「過去」を抱えているわけだが、それを大袈裟に明かしたりはせず、あくまでセリフの中で香らせながら、静かに”いま”を紡いでいく。そのやりとりが面白い。身の回りの仲間たちも派手さはないが、みな実直に日々を生きる人たちばかり。そして何より、フォーチュンクッキーの「文言(メッセージ)考案」の仕事を通じてドニヤの感情が徐々に前向きな変化を遂げていく様が素敵だ。彼女がどうか幸せでありますように、と応援せずにいられなくなる。シンプルで簡潔。それでいて個々のキャラへの愛情がこみ上げ、モノクロームに滲む優しさと柔らかさがずっと心に留まり続ける名作である。

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牛津厚信

5.0裏切り者の思われる苦しさを乗り越える方法を見つけた。

2025年7月13日
PCから投稿

楽しい

知的

斬新

ネタバレ! クリックして本文を読む
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Socialjustice

4.0ドニヤの"Thank you."

2025年7月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

幸せ

映画に備えてたっぷり眠ったのに、ドニヤが必要とする睡眠薬を自分が服用したかのように、真ん中あたりの大事な箇所で寝入ってしまった。でも多分もっと大事な所では目が覚めていたと思いたい。

相手をまっすぐ見て、無表情で寡黙で動じないドニヤは清々しい。必要最低限のことを述べ、余計なことを聞かれたら無視するか、なぜそのようなことを言うのか質す。ドニヤはぐっすり眠れない。睡眠薬を処方してもらうために赴いた医師は、ジャック・ロンドンの『白い牙』の話をする。次のセッションでは本を手にその小説の一部の朗読までする。ビックリした。ずっと離れていた母親との再会シーンを読み終えたところで、医師はドニヤに見られないようデスクの上に置いた鞄で顔を隠して何度も何度も鼻をかむ。あれは泣いてたんだ。最初は横柄だった医師は、顔つきや服装が良くなりドニヤに丁寧に対応するようになった。

犬と狼の血が混じった存在が、犬から疎まれ仲間に入れてもらえなかった「白い牙」にドニヤは共感する。アフガニスタンの米軍基地で通訳として働いていたドニヤは、「女である」為に他の通訳達の輪に入れてもらえなかった、とドニヤは言う。

ドニヤは思いがけず自動車整備士のダニエルに出会う。彼はドニヤの英語がFremont訛りでないと言った。この映画の原題はFREMONTだ。アフガニスタンの人達が集まって住んでいる所でもあるんだろう。でも彼はアフガニスタンの人に今まで会った事がないと言っていた。

自分一人故郷から離れ、アフガニスタンでは殺されている同胞がたくさんいる。自分も眠れない。大学を出て通訳ができるほど英語ができるのに、今しているのはそんな仕事ではない。笑ったり泣いたり、恋をして幸せになることも後ろめたい。でもドニヤ、工場の雇い主の妻がケチでよかった。自分の勘と勇気が、話相手を求めているダニエルのもとへ足を運ばせてくれた。訳わからない「鹿」を彼は欲しかったんだって。ドニヤの丁寧で美しく響く"Thank you"が、幸運をゆっくり引き寄せた。

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talisman

4.5ほのぼの哀愁

2025年7月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

予告編の雰囲気から、勝手にA24作品だと思ってたら全然関係なかった。
どことなく漂う哀愁は、ちょっとカウリスマキっぽくもあるかな。
こういう不器用な人間模様は好き。

フォーチュンクッキーってああやって作ってるんだ。
大量生産してるメーカーもあるんだろうけど、手作りを見れるのは少し嬉しい。ても電話番号入ってても胡散臭くてかけないよ、怖い。

全体的にゆるカワ映画なのだけど、精神科医とのカウンセリングではセリフがちょいちょい哲学的。
あまり良い出会い方ではなかったお医者さんも、なんじゃかんじゃ言いながら付き合ってくれんのね。

出会いを求めて出かけたものの、
想像していた結末とは違ったけど結果オーライというか、ほ〜ん、なるほどねぇ。とちょっとニヤッとさせるエンディングも可愛らしくて良い。

あの整備士の彼、『アイアンクロー』の四男だとは気づかなかった。

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コビトカバ