十八才のレビュー・感想・評価
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監督自身の苦い青春
チャン・ゴンジェ監督の自伝的作品とのこと。思春期の未熟で不安定な空気や恋の盲目感がよく出ていたので、最後まで緊張感を持って観ることができました。
ただ主人公テフンは幼稚で自己中心的、素行は決してよくなく、十代のやんちゃな青さを差っ引いたとしても、個人的に感情移入は出来なかったです。
恋人ミジョンとの関係にも我儘に主張を通すばかりで結局は壊れてしまいます。
ラストでミジョンがプレゼントのネックレスをしているのを見て、「あれっ、より戻ったの?」思いましたが、テフンの希望的妄想として考えれば、未練たっぷりさもありなんと納得してしまった次第です。
初恋の苦労は、買ってでもしろ?
高校生の純粋な恋と、それを阻む大人社会の映画。
男の子も女の子もいい家で育ち、大学に通うことを期待されている。恋愛そのものもほのぼのして可愛い感じなのに、行動との間にだいぶギャップがある。後先を考えず駆け落ちするのはまるで昭和のドラマを見ているみたい。
前半は男の子が暴走する物語。ロミオとジュリエットみたいに彼女の窓の下から求愛し、予備校までストーカーみたいに押しかけては結局愛想をつかされる。バイト中にバイクで高齢者と衝突して入院させ、仕事もクビになるなどいいことがない。
タバコやバイクや、自活を目指したバイトなど、大人に反抗するアイテムが懐かしい。2009年の映画とのことだが、韓国の今どきの若者がこんなに「熱い」なら、未曽有の少子化も起こらなくてすんだのではと思ってしまう。
このまま転落の人生を歩むかと思ったら、後半は少し様子が変わってくる。例の彼女と(いつの間に?)よりを戻して裸で戯れる場面や、昭和のスパルタ教育のように竹刀で叩かれながら受験競争する場面など、韓国の若者の理想と現実のギャップを描写しているようだ。
そして主人公の男の子が、かつて彼女と駆け落ちした浜辺に一人で向かう幻想的なシーン。前半と違い、ひとり彼女を思って歩き続けるような場面が多くなり、忍耐強い一面に感銘を受ける。
たぶんこの映画は、恋の成り行き自体よりも、初恋が主人公の脳裏に刻み込んだ原風景みたいなものを訴えたいのだろう。(当の彼女自身もほったらかして)七転八倒してみせるのは、女性からしたら有難迷惑だろうけれど尊さは感じた。
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