ボサノヴァ 撃たれたピアニスト

劇場公開日:

解説・あらすじ

アカデミー外国語映画賞受賞作「ベルエポック」のフェルナンド・トルエバ監督が、「チコとリタ」でもタッグを組んだハビエル・マリスカル監督と共同監督を務め、ブラジル音楽の伝説的ピアニストであるテノーリオ・ジュニオルを題材に、ラテンアメリカの光と影を描いたアニメーション映画。

1950年代末、ブラジルのボサノバが音楽の歴史を変え、エラ・フィッツジェラルドからフランク・シナトラまで世界中のアーティストがブラジル音楽を歌いはじめた。時は流れ、現代。ボサノバの歴史について調べるためニューヨークからリオデジャネイロへやって来た音楽ジャーナリストのジェフ・ハリスは、サンバジャズで名を馳せた天才ピアニスト、テノーリオ・ジュニオルの存在を知る。その足跡をたどると、彼はブエノスアイレスでのツアー中に謎の失踪を遂げていた。

ジャズピアニストとしても活動する俳優ジェフ・ゴールドブラムが、物語の語り部となる音楽ジャーナリスト役で声の出演。

2023年製作/103分/G/スペイン・フランス・オランダ・ポルトガル合作
原題または英題:Dispararon al pianista
配給:2ミーターテインメント、ゴンゾ
劇場公開日:2025年4月11日

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(C) 2022 THEY SHOT THE PIANO PLAYER AIE - FERNANDO TRUEBA PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS, S.A. - JULIAN PIKER & FERMIN SL - LES FILMS D’ICI MEDITERRANEE - SUBMARINE SUBLIME - ANIMANOSTRA CAM, LDA - PRODUCCIONES TONDERO SAC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

3.5アニメーションそのものの魅力にも着目を

2025年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いつものように、事前情報をまったく入れずに鑑賞。蓋を開けてみれば、サンバジャズの名ピアニスト、テノーリオ・ジュニオルの失踪の謎をめぐるドキュメンタリーでした。多くの関係者(ブラジル音楽の巨匠多数)へのインタビューシーンの音声は、それぞれ本人のものを使用。あ、先週観た「ファレル・ウィリアムス ピース・バイ・ピース」とおんなじパターンだ♪

・まずは、ニューヨークやリオ、ブエノスアイレスなどの街並みの描き方が魅力的。木版画や切り絵みたいな雰囲気もちょっとあったりして。
・室内も素敵。かなり描き込まれていて、レコードジャケットとか雑誌の表紙とか、ものすごく気になるw PC画面も「AllMusic」など、芸が細かいw
・というように、背景美術だけでも見どころ満載。人物の描き方はロトスコープっぽい写実系、ラフなペン画、極端に単純化した棒人間など、多彩。
・そのあたりをじっくり愛でたいのだけれど、いかんせん演奏シーン以外は常に誰かが喋っているので、字幕を読まなくてはならず、……つらい。
・アルゼンチンの独裁政権による人権弾圧のくだり、インパクト大。一気に色数が減ることも相まって、ズシンとくる。自由と平和は本当に大切です。
・小さなジャズクラブでのステージに、エラ・フィッツジェラルド(!!)が勝手に(!!)ウキウキで乱入してむっちゃ楽しそうに唄ったり、チェット・ベイカーがこちらにウインクしたり(←話の本筋とは関係ない)、にやにやしちゃうシーン、クスッと笑えるエピソードなどもあります。
・テノーリオについて取材するジャーナリストが泊まるホテル、良すぎ。目の前にビーチが広がるテラスでPC作業とか、夢のよう(エンドロールに「本作は基本的に事実をベースにしていますが、一部フィクションです」みたいなこと書いてあったので、おそらく語り部役の彼は架空の人物)。
・証言者いっぱいで、(特に後半)同じような内容の返答が多く、そこはちょっと退屈。しかも「失踪の謎に迫る」という視点でみると、証言者が登場する順序がイマイチで、もったいない。いくつか順番を入れ替えるだけで、ぐっとミステリー感が増すと思う(素人がすみません……)。
・今回、内容を把握できたので、次回は映像メインで堪能しようと思います。

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ArtHolic

3.0ラテン・アメリカの光と闇

2025年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ボサノヴァとジャズとの架け橋となったサンバジャズを支えたブラジルの天才ピアニスト、テノーリオ・ジュニオールを襲ったあまりにも酷い悲劇を関係者のインタヴューを中心に描いたアニメーション映画。

前半は、ボサノヴァの初期、彼が如何に有望な新星ピアニストであったのかが綴られる。ところが後半になると、かなり社会派的な要素が強くなる。サンバのようなブラジルの音楽と、ジャズがどのように結びついて、欧米や日本でも、人気を集めたボサノヴァが出てきたのか知りたかったのだが、後半は主題がテノーリオを襲った悲劇に移った印象。

テノーリオが拉致され、酷い目に遭ったのは、1976年3月、演奏旅行で訪れていた隣国アルゼンチンのブエノスアイレス、妊娠中の妻と4人の子どもたちを残して。当時は、軍事政権によるクーデターが起こる直前だった。彼がサンバジャズの分野で活躍し、有望株として注目されたのは、1962年から1966年だったから、少し間が空いているのかな。

誰に聞いても、テノーリオが政治的な活動をしていたとは思えない。いくら、口髭をたくわえ、長髪であったとはいえ、深夜、外出したくらいで、なぜ拉致され、釈放されることなく、悲劇につながってしまったのだろう。

彼が知的であったことは、皆口をそろえていた。ブラジルはポルトガル語、アルゼンチンはスペイン語だけど、何不自由なかったし、欧米のジャズ・ミュージシャンとは英語で会話できた。ただ、ラテン・アメリカの人たちは、ポジティブな誉め言葉しか言わないが、ちょっとだけ気になる点があった。彼は、途中で演奏をやめ、いなくなることがあった。しかも、皮肉屋。もしかすると、彼には、少しだけ精神の闇があり、それを反映して反社会的な、アナーキーなところがあることを見抜かれてしまったのでは。

それにしても、ラテン・アメリカの軍事政権には、ある種の連携があり、その背後には、米国のCIAがいたとか、自分のあまりの知識のなさに思いを致さざるを得なかった。

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詠み人知らず

4.0動くアートブックを観ているような

2025年4月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

斬新

同じ映画館で観たかった作品に間に合わなくて、でもなんか観たいな〜という気分だったのでとっさに決めて座席へ。テノーリオ・ジュニオル、うーんわからん。ただ、アニメってところはいいなと本編を待ちました。
スタート直後、音楽に合わせてカラフルな文字が表示されると、めっちゃポップじゃんと。ああ、わたし好きなやつだなって。※チョロい笑
そして名前を知らなかっただけで、テノーリオの曲、ラジオで掛かっていたこともあり知っていたという…※ボサノヴァのよく掛かる番組がありまして

南北米大陸を舞台に主人公が取材を進めながらボサノヴァの歴史とテノーリオの真相に触れていくのだけど、ストーリ展開もよかったし、線の太くて色のハッキリしたアニメは観ていてとても楽しかったです。アートブックを眺めているかのようで、日本のアニメとは違う、センスの塊のようなアニメでした。
音楽もたくさん流れてくるので、音楽好きにもオススメです。繰り返し観たいなぁと思わせる映画でした。観終わってからずーっとSpotifyでセットリストを流してます。(そしてテノーリオをwikiる!笑)

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lotta

3.5軍事独裁政権時代の被害と音楽

2025年4月17日
PCから投稿

ドキュメンタリー調アニメーション。
主人公は語り部のジャーナリストだが、事実上、取材対象となるフランシスコ・テノリオ・ジュニオールというヴォサノバのピアニスト・作曲家。
ジャーナリストがジュニオールの奥さんや愛人、ミュージシャン仲間へと訊きまわり。
アルゼンチンツアー中のジュニオールが、ブエノスアイレスでの公演後、アルゼンチンの海軍特殊治安部隊によって誘拐され、拷問ののち殺されたことに行き着く。
そこには南米各地で勃発していたクーデターによる軍事独裁政権の乱立、ホロコーストに近い外国人狩りという、歴史の闇が潜んでいた……
といった内容。

邦題に入ってるジャズ系ラテン音楽「ヴォサノバ」ってジャンル、あんまり関係なくない?
1957~1959年あたりのブラジル音楽の一大ジャンル&主人公のピアニストが築いたジャンルってことで、つけたのかしら?
原題は"Dispararon Al Pianista/They Shot the Piano Player"「ピアニストは撃たれた」 だけだし。

非常に興味深い内容ながら、色彩がゲリラ戦場のジャングルみたいで、崩れたわ〇せ●いぞうみたいな絵柄に、どんより倦怠感。
やや眠気を誘った(事実ところどころ記憶が欠落)。

アニメーションにしたのは、陰惨な事件をオブラートに包みたかったのかな、くらいな意味合いしか最初には感じられず。
ブラジルのメジャーな曲が多く流れるから、普通に実写ドキュメンタリーで観たかった。
いや、ひょっとしたらの推測ですが、この頃のミュージシャンって、音源は残っていても、演奏の映像(フィルム)があまり残ってないから、アニメーションを選んだのかもしれません。
時代が時代ですから、と思い至る。
もしそうなら、この手法を選んだ理由として納得はできます。

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コージィ日本犬