チャーリーとチョコレート工場 : インタビュー
続けて、再び独創的なイマジネーション全開で、お得意のファンタジック・ワールドを築き上げたティム・バートン監督にインタビューした。
ティム・バートン監督インタビュー
「ぼくが目指すのは、ファンタジーを描きつつ、独自のリアリティを醸し出すこと」
聞き手:小西未来
――ロアルド・ダールの原作に忠実でありながら、あなたらしさがたっぷり詰まっていました。
「ありがとう。原作が素晴らしいのは、例えば<発明室>や<チョコレート・リバーの部屋>って設定はあるんだけど、ディテールについては読者が自由に解釈できるところなんだ。だから、ぼくは原作のスピリットに忠実でありながら、自分なりの世界を作りあげることでできて、本当に満足してるよ」
――ジョニー・デップとのコラボレーションはいかがですか?
「『シザーハンド』で初めて組んで以来、ジョニーとの仕事は常に楽しいんだ。毎回、違った面を見せてくれるからね。ジョニーは偉大な性格俳優で、役柄になりきるのを好む。いわゆる主役クラスの俳優で、彼みたいなことをやりたがる人はあまりいないから、ぼくにとってはありがたいし、本当にエキサイティングなんだよ」
――最近のジョニー・デップ人気をどうご覧になりますか? これまでずっといい仕事をしてきたのに、突如ブレイクしましたよね。
「笑っちゃうよね。『パイレーツ・オブ・カリビアン』が公開されるやいなや、突如、ジョニーが宇宙から舞い降りたかのような熱狂で(笑)」
――(笑)
「10数年もずっといい仕事をやってきてるのに、『今更なぜ?』って思うよ(笑)」
――ジョニー・デップのほうに変化はありましたか?
「全くない。それこそが彼の魅力だよ。ぼくの知る限り、彼は出会ったころからまったく変わっていない。あれだけハンサムなのに、顔に傷をつけたメイクを嬉々としてやるからね(笑)」
――チャーリー役のフレディ・ハイトモアは、ジョニー・デップと共演した『ネバーランド』を見て起用したのですか?
「いや、オーディションのとき、その映画は観ていなかったんだ。でも、フレディがオーディションにやってきたとき、もう彼しかいないって確信した。だって、この映画のなかで、あれほど演じるのが難しい役はないから。悪ガキたちのほうが、ずっとやりやすい。チャーリーって非常にピュアな少年だから、演出する余地もあまりない。本人に素質があるかないかだけなんだ。フレディは、すごく素朴なんだけど、強烈に人を惹きつける魅力をもっている。あとになってジョニーにフレディのこと聞いたら、『彼はファンタスティックだよ』って薦められたよ」
――あなたの映画は、いつも独特の世界観がありながら、その根底にはリアルなテーマがありますよね。
「映画のルックというのは、登場人物と同じくらい自己主張しなきゃいけないって信じてるんだ。子供のころからホラー映画や怪獣映画なんかが好きだった影響だと思うけれど、この手のジャンルでも本当にいい作品には、ちゃんとリアリティが存在するんだ。ぼくが目指しているのもまさにそれなんだ。ファンタジーを描きつつ、独自のリアリティを醸し出すということがね」