ノスフェラトゥ

劇場公開日:

解説・あらすじ

「ライトハウス」「ノースマン 導かれし復讐者」の鬼才ロバート・エガース監督が、吸血鬼映画の原点とも言われ、自身も多大な影響を受けたという1922年のサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」に、独自の視点を取り入れて描いたゴシック・ロマンスホラー。

不動産業者のトーマス・ハッターは、仕事のため自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵のもとへ出かける。トーマスの不在中、彼の新妻であるエレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から、夜になると夢の中に現れる得体の知れない男の幻覚と恐怖感に悩まされるようになる。そして時を同じくして、夫のトーマスやエレンが滞在する街にも、さまざまな災いが起こり始める。

夜な夜な夢の中で正体不明の男に怯える主人公エレン役を、ジョニー・デップの娘でもあるリリー=ローズ・デップが務め、オルロック伯爵を「IT イット」シリーズのペニーワイズ役で知られるビル・スカルスガルドが演じた。そのほか、ロバート・エガース監督とは3度目のタッグとなるウィレム・デフォーや、ニコラス・ホルト、アーロン・テイラー=ジョンソンといった豪華キャストが共演。第97回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門でノミネートされた。

2024年製作/133分/PG12/アメリカ
原題または英題:Nosferatu
配給:パルコ
劇場公開日:2025年5月16日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第97回 アカデミー賞(2025年)

ノミネート

美術賞  
撮影賞 ジェアリン・ブラシュケ
衣装デザイン賞  
メイクアップ&ヘアスタイリング賞  
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映画レビュー

1.5えっ、そっち??

2025年5月18日
Androidアプリから投稿

1922年の「吸血鬼ノスフェラトゥ」は観たことがないが、ヴェルナー・ヘルツォーク監督、アジャーニの「ノスフェラトゥ」(日本公開は'85)は観ているが、いわゆるド真ん中のものはあまり関心がなかった。漫画「怪物くん」のクラシックモンスターは茶化されるキャラクター設定が当時ガキだったオレにとっては、恐怖の対象にはなりえなかった。

吸血鬼もの、というと、オレらの世代だと、なんだろう。コッポラの「ドラキュラ Bram Stoker's Dracula」('92)、クルーズの「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」('94)、「フライトナイト」、変わり種で「スペース・バンパイア」('85)といったあたりが思い出深いが、その象徴は共通して、「エロス」。

ノスフェラトゥ、の意味とは一説によると「不浄な者」、「病を含む」などあるらしいが、まあ、そういうことは映画を観れば、おおよそのことはその解釈でよいが、不浄に性的な意味をもたらせば、ふしだら、みだら、といったことになるだろうし、オレはそういうジャンルだと思ってみている。「エロス」がなければ、ゾンビもの。

だが、そのジャンルよりも本作を上半期最大期待作とさせるのは、あの「VVITCH」で鮮烈デビューを飾ったロバート・エガース。しかし、そのデビュー作から、ちょっとずつ、明らかに作品の評価が下がってきているのだが、本人、オリジナルに憧れ、長年の思いを込めたらしい。

「ノスフェラトゥ」




エガースの前作「ノースマン 導かれし復讐者」(’23)は土着嗜好にこだわりの映像に評価はするが、話が全然面白くなく、豪華俳優陣も紙芝居的演技。期待した分、落胆も大きかった。で本作。

序盤のデップの祈りが「VVITCH」の続編か!と思わず膝を打った。ちゃんとエロスを感じさせるオープニングに喜んだのもつかの間。

前リメイク版(オレの場合、ヘルツォーク版)と大筋は変わらないのだが、シンプルな話をもったいぶった映像とコテコテCGでまぶしていく手法にうんざり。

禍々しさや妖しさが足りない一方で影絵な演出もあって、ギャグかと思った。

衣装に至っては、本当にその良さが暗さのせいで台無し。ゴシックホラーって全編真っ黒だったり、無意味に照明を使わない手法がそうだ、と言わんばかりの撮影にイライラ。ほんと、アカデミー賞ノミネートって信じないほうがいい。

一方の演者の方も、残念。

デップには荷が重い。顔芸と屈伸振動運動と広いオデコしか印象にない。やればやるほど、「エクソシスト」('73)のパロディか、と。オレと同じ世代の観客は「ノスフェラトゥ」が「エクソシスト」をパクったんじゃねえか、と思ってしまうから、要注意。っても「エクソシスト」もクラシックで、まあ、どっちがパクろうが、どっちでもええがな、ということなんだけど。(「エクソシスト」の「悪魔」はまあ、パクってるし、自己犠牲もそうかな。)

でもこの役、難しいよね、ネズミの大将が、子分(と疫病)を連れて、ヤリに行く相手なのだから、それほどの女かとみればオデコしか目に入らなくなる。

ネズミがわんさかくるのに、デップとデフォーのそばにいる猫は、善の象徴なのかもしれないが、実際何の役にも立たない。

ホルトは素晴らしき「悩める男」(オレは勝手にクルーズの後継者と思っている)も画面が暗いこともあり、その良さが発揮できていないように見える。(どうせなら、ヘルツォーク版の如くレスタト誕生をやればよかったんじゃねえかとも思ったりして)。デフォーも今回は取り立てて言うことなし。

そして、個人的期待のエマ・コリン。「チャタレイ夫人の恋人」(’22)でドキドキいただき、「デッドプール&ウルヴァリン」で大物2人をクッた彼女。

「えっ、そっち?ブラムストーカー原作側の方じゃないの??(ストーカー原作よりだと、ムフフ)」とゲスいオレは、ショック&ガッカリ倍増。

で主役のスカルスガルド。旧「ノスフェラトゥ」のハゲ、ネズミ出っ歯にすると、ペニーワイズまんまになってしまうので、どうしてこの人にキャスティングしたんだろ?と思いながら、その姿がはっきり見えたとき、「えっ、そっち??」

エガースはあれかな、あっち側の人なのかな。別に構わないんだけど、ハゲひげマッチョだとそう見えてしまうのは、すまん。偏見だと思うが、そうすると、いわゆる男性目線の「エロス」は興味がない、控えめになっても仕方ないのかもしれないが。

その姿を「あえての」悪の象徴(病の象徴)とするのであれば、「忌み嫌っているか」、デップのように「自己犠牲」をもって、悪と向き合う(抱き合う)のか、どちらとも取れそうだが、たちが悪いのは、冒頭邪悪なものを招き入れ(あるいは無理やりに襲われた)、そのトラウマを抱えて生きてきた主人公が、「(夫への)愛は世界を救う」と言いながらも、結局そのトラウマの相手としか満足できない、という「低俗な」結末にもとれることだ。

これでは、「エロス」を描きようがない。

だが、もはやオレにはどうでもいい。

追記

本作、双子の子供が「VVITCH」に続いて出てくるんだけど、本作でも容赦ない。興味深いな、エガース。

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しんざん

1.5ホラー映画は映像芸術たり得るのか

2025年5月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

 見終わって何からケチを付けたらいいか迷うぐらい、不満がいっぱい。

 元来ホラーファンではないからそんな感想になるのだろうが、そもそも恐怖とグロテスクをはき違えている昨今の風潮にも疑問を感じる。
 グロテスクな過剰表現があれば年齢制限がかかり、露出や性表現へのハードルも下がる。その結果、作品のマーケットをおのずから狭めていることに、なぜ考えが至らないのだろう。

 ベースとなったF・W・ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)は本作以前にも幾つもの派生作品を生み出している。
 ドイツ表現主義の傑作として名高いオリジナルは過去に一度観ただけだが、やはり評価の高い1978年版のリメイク『ノスフェラトゥ』はヘルツォークのDVD-BOXを持っているので、何度も観ている。自分と同じくジャンル的には門外漢でも本作に興味を持って見る人はたくさんいるだろう。

 1978年版の映像は美しい。そして、オリジナルもモノクロ、無声ながら陰影を強調した表現美が好評を得たが、残念ながら自分には本作で美しいと思える場面は見当たらなかった。

 作中に『エクソシスト』(1974)を思わせる場面があることからもR・エガース監督がホラー好きなのが窺えるが、ジャンルを越えて広い映画ファンの視線に曝されることへの認識が乏しかったことが残念。

 1978年版でも踏襲されたオルロック(ドラキュラ)伯爵の容貌に、本作は大幅に変更を加えている。その全貌が分かるまで結構引っ張るが、その割には造形にインパクトを感じない。
 一昔前のナチ・ギミックのプロレスラーみたいな容姿にはグロテスクとは別の嫌悪感が湧いてくるし、誤解を生じるロマの扱いも含め、作り手の底意を勘繰りたくなる。

 1978年版のリメイクは作品として高い評価を得た一方、動物虐待を巡って強い批判を浴びたことでも有名。
 同作には直接的な虐待シーンはないが、本作には遠慮なく登場する。
 CGであっても人権侵害が許されないのと同じく、もっと配慮が必要だったのではという思いが募る。

 近世の衣裳を忠実に再現したことが評価されオスカーにノミネートされたことはあとから知ったが、若い出演陣の動きがぎこちなく、うまく着こなせていないように思える箇所が散見できる。黒澤明が監督だったら、みんな何時間歩かされただろうと、観賞中つい想像してしまった。

 途中まで冷めた目で見がちだったが、フォン・フランツ教授の登場で、あらためて作品に惹き込まれる。
 演じたのはベテラン俳優ウィレム・デフォー。とばっちりだが、彼にも不服が。
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)の演技が高く評価されたのに、最近はヘンな役ばっかり。
「オスカー欲しくないのか、このアゴ!」と言いたい。

 ホラー映画であっても映像芸術たり得ることは、ムルナウのオリジナルやドライヤーの『吸血鬼』(1932)が証明している。
 そのことは、CGで表現出来る時代であっても同じ筈。

 本作は果たして…。

 あくまで門外漢の意見なので的外れかも知れないが、ムルナウの表現主義の名作が露悪趣味にリメイクされたことを一般の映画ファンはどう受け止めるべきだろうか。

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TRINITY:The Righthanded Devil

4.0久々にどっぷり引き込んでくる上質ホラーだった! キャラも世界観も濃...

2025年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

久々にどっぷり引き込んでくる上質ホラーだった!
キャラも世界観も濃いw
子供の頃の童心に帰って世界の怪人特集本でも読んでる様な感じを味わえた。w
居そうな、在りそうな、(戦い含め)手が届きそうな
作品上のリアリティがとってもマニアックに詰め込んである作品だった!

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とりから

4.0そのまんま、現代に蘇るゴシックホラー!

2025年5月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ゴシックホラーっていいけど、古い映画ってやっぱり今の映画と比べると洗練されてないので観るの辛かったりするやん、そんな中、ゴシックホラー見たい欲を満たしてくれて尚且つ現代的な表現のこの映画、めっちゃ好き。感動した。
ストーリーについてはもう、ブラム・ストーカーが作ったあの吸血鬼ドラキュラを色んな人が色んな形にこねくり回し続けてる定番ストーリーなので、概ねご存知の展開なのに、伯爵の屋敷に囚われの身となったら、あああって心配になるし、次々犠牲者が出たら悲しくなるし、唯一対抗出来そうな教授とか出てくるとワクワクしちゃう。
字幕だと控えめだけど、しっかり英語ではプレイグと呼ばれてるので吸血鬼と言うよりは存在そのものが厄災みたいな、悪魔というのも少し違うし、呼び名通り疫病。街が、人が侵食されていく。ノスフェラトゥはこうでなくっちゃ、が全面に出てるw

衣装に小物、セットも凄いし、配役も素敵だし、造形全般が眼福。しかもロバート・エガース得意の彩度を落とした映像がすごく合う。長回しの緊張感とか没入感も、怖さを引き立ててくれる。
こういう感じで次はフランケンシュタインの花嫁とか観れたら凄く嬉しいです!作って!

あの古き良きゴシックホラーを現代的に再構築して魅せて頂けるの本当に幸せですね。感動して涙が出ちゃう。とっても美しい世界観だった。ストーリーの解釈も良かった。女性の扱い、あの時代の女を見下した感じを出しながらも、強い女性を描いてるのがとても今風で好き。

【パンフレット 990円 A5表紙込み40頁】
表紙が見た事ない特殊紙で革風だった。カッコイイ。そこに彩度低い伯爵のシルエット。表紙カッコよすぎる。中のデザインは特筆するとこはないけど無難な感じ。写真結構色々あって良かった。読み応えはそれなり。装丁のせいで高いのかなと思ってしまう。
内容は劇中カット写真数ページ、あらすじ、キャストコメント、監督紹介&コメント、コラム、スタッフ紹介、写真数ページ、プロダクションノート4頁、衣裳デザイナーコメント&衣装紹介やばいもっと見たい。特殊メイク解説、コラム2本目。オフショット、クレジット、テルマがゆく!の広告1頁。おしまい。

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ゆたかちひろ