ノスフェラトゥ

劇場公開日:2025年5月16日

解説・あらすじ

「ライトハウス」「ノースマン 導かれし復讐者」の鬼才ロバート・エガース監督が、吸血鬼映画の原点とも言われ、自身も多大な影響を受けたという1922年のサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」に、独自の視点を取り入れて描いたゴシック・ロマンスホラー。

不動産業者のトーマス・ハッターは、仕事のため自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵のもとへ出かける。トーマスの不在中、彼の新妻であるエレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から、夜になると夢の中に現れる得体の知れない男の幻覚と恐怖感に悩まされるようになる。そして時を同じくして、夫のトーマスやエレンが滞在する街にも、さまざまな災いが起こり始める。

夜な夜な夢の中で正体不明の男に怯える主人公エレン役を、ジョニー・デップの娘でもあるリリー=ローズ・デップが務め、オルロック伯爵を「IT イット」シリーズのペニーワイズ役で知られるビル・スカルスガルドが演じた。そのほか、ロバート・エガース監督とは3度目のタッグとなるウィレム・デフォーや、ニコラス・ホルト、アーロン・テイラー=ジョンソンといった豪華キャストが共演。第97回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門でノミネートされた。

2024年製作/133分/PG12/アメリカ
原題または英題:Nosferatu
配給:パルコ
劇場公開日:2025年5月16日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第97回 アカデミー賞(2025年)

ノミネート

美術賞  
撮影賞 ジェアリン・ブラシュケ
衣装デザイン賞  
メイクアップ&ヘアスタイリング賞  
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映画レビュー

1.5えっ、そっち??

2025年5月18日
Androidアプリから投稿

1922年の「吸血鬼ノスフェラトゥ」は観たことがないが、ヴェルナー・ヘルツォーク監督、アジャーニの「ノスフェラトゥ」(日本公開は'85)は観ているが、いわゆるド真ん中のものはあまり関心がなかった。漫画「怪物くん」のクラシックモンスターは茶化されるキャラクター設定が当時ガキだったオレにとっては、恐怖の対象にはなりえなかった。

吸血鬼もの、というと、オレらの世代だと、なんだろう。コッポラの「ドラキュラ Bram Stoker's Dracula」('92)、クルーズの「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」('94)、「フライトナイト」、変わり種で「スペース・バンパイア」('85)といったあたりが思い出深いが、その象徴は共通して、「エロス」。

ノスフェラトゥ、の意味とは一説によると「不浄な者」、「病を含む」などあるらしいが、まあ、そういうことは映画を観れば、おおよそのことはその解釈でよいが、不浄に性的な意味をもたらせば、ふしだら、みだら、といったことになるだろうし、オレはそういうジャンルだと思ってみている。「エロス」がなければ、ゾンビもの。

だが、そのジャンルよりも本作を上半期最大期待作とさせるのは、あの「VVITCH」で鮮烈デビューを飾ったロバート・エガース。しかし、そのデビュー作から、ちょっとずつ、明らかに作品の評価が下がってきているのだが、本人、オリジナルに憧れ、長年の思いを込めたらしい。

「ノスフェラトゥ」




エガースの前作「ノースマン 導かれし復讐者」(’23)は土着嗜好にこだわりの映像に評価はするが、話が全然面白くなく、豪華俳優陣も紙芝居的演技。期待した分、落胆も大きかった。で本作。

序盤のデップの祈りが「VVITCH」の続編か!と思わず膝を打った。ちゃんとエロスを感じさせるオープニングに喜んだのもつかの間。

前リメイク版(オレの場合、ヘルツォーク版)と大筋は変わらないのだが、シンプルな話をもったいぶった映像とコテコテCGでまぶしていく手法にうんざり。

禍々しさや妖しさが足りない一方で影絵な演出もあって、ギャグかと思った。

衣装に至っては、本当にその良さが暗さのせいで台無し。ゴシックホラーって全編真っ黒だったり、無意味に照明を使わない手法がそうだ、と言わんばかりの撮影にイライラ。ほんと、アカデミー賞ノミネートって信じないほうがいい。

一方の演者の方も、残念。

デップには荷が重い。顔芸と屈伸振動運動と広いオデコしか印象にない。やればやるほど、「エクソシスト」('73)のパロディか、と。オレと同じ世代の観客は「ノスフェラトゥ」が「エクソシスト」をパクったんじゃねえか、と思ってしまうから、要注意。っても「エクソシスト」もクラシックで、まあ、どっちがパクろうが、どっちでもええがな、ということなんだけど。(「エクソシスト」の「悪魔」はまあ、パクってるし、自己犠牲もそうかな。)

でもこの役、難しいよね、ネズミの大将が、子分(と疫病)を連れて、ヤリに行く相手なのだから、それほどの女かとみればオデコしか目に入らなくなる。

ネズミがわんさかくるのに、デップとデフォーのそばにいる猫は、善の象徴なのかもしれないが、実際何の役にも立たない。

ホルトは素晴らしき「悩める男」(オレは勝手にクルーズの後継者と思っている)も画面が暗いこともあり、その良さが発揮できていないように見える。(どうせなら、ヘルツォーク版の如くレスタト誕生をやればよかったんじゃねえかとも思ったりして)。デフォーも今回は取り立てて言うことなし。

そして、個人的期待のエマ・コリン。「チャタレイ夫人の恋人」(’22)でドキドキいただき、「デッドプール&ウルヴァリン」で大物2人をクッた彼女。

「えっ、そっち?ブラムストーカー原作側の方じゃないの??(ストーカー原作よりだと、ムフフ)」とゲスいオレは、ショック&ガッカリ倍増。

で主役のスカルスガルド。旧「ノスフェラトゥ」のハゲ、ネズミ出っ歯にすると、ペニーワイズまんまになってしまうので、どうしてこの人にキャスティングしたんだろ?と思いながら、その姿がはっきり見えたとき、「えっ、そっち??」

エガースはあれかな、あっち側の人なのかな。別に構わないんだけど、ハゲひげマッチョだとそう見えてしまうのは、すまん。偏見だと思うが、そうすると、いわゆる男性目線の「エロス」は興味がない、控えめになっても仕方ないのかもしれないが。

その姿を「あえての」悪の象徴(病の象徴)とするのであれば、「忌み嫌っているか」、デップのように「自己犠牲」をもって、悪と向き合う(抱き合う)のか、どちらとも取れそうだが、たちが悪いのは、冒頭邪悪なものを招き入れ(あるいは無理やりに襲われた)、そのトラウマを抱えて生きてきた主人公が、「(夫への)愛は世界を救う」と言いながらも、結局そのトラウマの相手としか満足できない、という「低俗な」結末にもとれることだ。

これでは、「エロス」を描きようがない。

だが、もはやオレにはどうでもいい。

追記

本作、双子の子供が「VVITCH」に続いて出てくるんだけど、本作でも容赦ない。興味深いな、エガース。

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しんざん

4.5タイトルなし(ネタバレ)

2025年7月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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madu

3.5悪夢的な映像美

2025年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

驚く

 ドラキュラ映画の元祖と言われるF・W・ムルナウの古典的ホラー「吸血鬼ノスフェラトゥ」を現代的なアプローチでリメイクした作品。

 物語の大筋はほぼムルナウ版の「吸血鬼ノスフェラトゥ」と同じだが、細かな部分まで突っ込んで描かれいて、オリジナル版よりも深みのあるドラマに仕上がっているような気がした。
 上映時間の違いもあるし、オリジナル版はサイレント映画なので単純に比較はできないが、現代風にアップデートされた”ノスフェラトゥ”という印象を持った。

 例えば、エレンの苦悩はオリジナル版よりもじっくりと煮詰められており、それによってクライマックスの彼女の”選択”には説得力が伴ったように思う。
 エレンを演じたリリー=ローズ・デップの熱演の賜物もあろう。特に、後半はもはや悪魔憑きと言わんばかりの怪演で周囲をカオスの渦に巻き込んでいく。正に体当たりの演技である。

 ただ、シーンによっては間延び感が目立ち、若干テンポが悪いという印象も持った。じっくりと描くべき所と軽く流す所。そのバランスを図ればもっと観やすい映画になったかもしれない。

 尚、本作の前にヴェルナー・ヘルツォークも「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイクしている。そちらもオリジナル版を踏襲しているが、本作よりもコンパクトにまとめられている。ちなみに、ラストがムルナウ版と少し異なっており、ある意味で野心的な作品となっている。

 製作、監督、脚本は「ウィッチ」、「ライトハウス」のロバート・エガース。氏にとって今回のリメイクは長年の夢だったらしく、オリジナル版には相当強い思い入れがあったのだろう。それは画面の端々から感じられた。

 ムルナウ版はドイツ表現主義の傑作として名高いが、その最大の特徴は強烈な陰影演出にあると思う。本作にもそうした明暗のコントラストを利かせたビジュアルが各所で確認できる。

 例えば、暗闇からエレンの白い顔が浮かび上がってくる映画冒頭のシーン、トーマスが森の中でオルロック伯爵が差し向けた馬車に遭遇するシーン等は、神秘的で悪夢的な映像美に引き込まれた。
 また、終盤の不気味な影の演出などはオリジナル版をかなり意識していることがよく分かる。ノスフェラトゥと言えば、あの長い爪が印象的だが、そのシルエットがエレンに襲い掛かるスリリングな演出は白眉であった。

 もう一つ、本作はプロダクションデザインの仕事ぶりも特筆すべきで、作品世界を見事に盛り立てている。オルロック伯爵の城はゴシックムード満点であるし、19世紀初頭の空気感を再現した町並みも、CGを駆使しているのだろうがクオリティが高い。

 全体的に陰鬱なトーンで統一された画面が続くが、このあたりはエガース監督の映像感性だろう。寒色トーンはこれまでの作品から一貫しているように見える。メリハリに欠けるという印象もあるが、今回はそれも計算してるように思った。実際、クライマックスはそれまでの”暗”から見事に”明”に切り替わり、ドラマ的にもカタルシスを生んでいる。

 キャスト陣では、オルロック伯爵役でビル・スカルスガルドが出演している。前半は顔のパーツのクローズアップや暗い影に覆われて表情がまったく見えない。中盤からようやくその全貌が露わになるのだが、そのビジュアルはかなりモンスター感が強く、彼が演じていることが分からないくらいである。オリジナル版の怪異性、ヘルツォーク版の人間臭さが後退しており、これも時代に合わせたアレンジだろうか。

 また、エガース作品の常連ウィレム・デフォーがエレンを救うオカルト学者として登場してくる。少し軽妙な役作りが絶妙なアクセントとなっていて面白かった。
 彼は、ムルナウのノスフェラトゥが本物の吸血鬼だったら…という架空の映画「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」でオルロック伯爵に扮した怪優マックス・シュレックを演じていた。聞けば、本作も当初はデフォーがオルロック伯爵を演じるという話があったそうである。そんな裏話を知ると本作は更に楽しめるかもしれない。

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ありの

3.0ノスフェラトゥ

2025年6月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

バンパイア物は、ホラーから独立したジャンルと考えています。
くらいの、バンパイア好きです。
さて『アビゲイル』以来のバンパイア。
さて、その出来は?
面白いですよ、★4あげてもイイくらい。
けど、ブラム ストーカーの原作をイジり過ぎ。
そして、ノスフェラトゥがしゃべり過ぎ。
前作2本のノスフェラトゥは、白塗りの眉無し顔に、長い爪。
それだけで、十分怖かったのに、しゃべり倒すから怖さ半減。
これは、あくまでもマニアの感想ですので、参考になさらないようにして下さい。
ただのバンパイア映画としては、面白かったです。

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