「Smile son Just smile」父と僕の終わらない歌 Qooさんの映画レビュー(感想・評価)
Smile son Just smile
父と僕の終わらない歌
アルツハイマー型認知症と診断された父哲太と
どんどん忘れていってしまう父のその事実に、葛藤しながらも向き合い支える息子雄太の姿がとても印象的
あんなにもコロコロと症状が変わるものか
調子のいい時は歌を歌って父と子の関係は安定して見える
かと思えば、どんどん忘れ、怒りっぽくなり、突然家の中をめちゃくちゃにする哲太に、雄太も、本来とても明るく優しい母の律子もボロボロに
いや、きっとそんなものではないんだろう
実際にはもっと苛酷なんだろう
忘れゆく父の衝撃な姿に
絶望すら感じさせる
さらには言ってはいけない言葉で
息子の雄太の心をズタズタにしてしまう
そんな父を施設に入れることも考えたが、
『その人と切り離せないルーティーンは、その人を安定させる(?)』
その言葉にハッとさせられた
かつてはレコードデビューを目指した父
自称横浜のスター間宮哲太の歌は
聴く人を楽しませた
アルツハイマー型認知症を患う父として歌う姿が
SNSでバズり、過去に諦めたレコードデビューをかけて、哲太のライブが計画される
レコードデビューがかかった哲太のライブは
果たしてうまくいくのか
心配な母律子は賛成出来ずにいたが、何とか父親の夢を叶えさせたい息子の雄太に
『絶対に、誰も傷つけないで
お父さんも、雄太も』
忘れゆく父を見る方も
何も分からなくなっていく本人も
どちらもやるせない
母律子の言葉がすごく沁みた
ライブ直前に哲太はまたライブのことを忘れてしまうが、息子の雄太や、母の律子、雄太の幼なじみの聡美とその夫のダニエル、哲太のバンド仲間、そして優太のパートナーの亮一らの支えによって何とか最後までやり切ることができてよかった
ライブ直後の哲太と息子雄太のシーン
他人だと思ってる目の前の息子に
『雄太は・・・俺の・・・スターなんだから』
ジーンときた
アルツハイマー型認知症の重さと、家族の苛酷さも伝わりつつも、明るく前向きなストーリーになっていて、
全てを忘れゆくとしても、病気を患う父も息子も母も、そのまわりの人たちも優しくおおらかで、その過ごし方が大事なんだとしっかり伝わった
とても心温まるいい作品
そんな作品だった
また
寺尾聰さんの明るく優しい歌声が素晴らしかった
2016年にイギリスでアルツハイマー型認知症を患った男性。その息子が車の中で父が歌う姿を撮影した動画をアップしたところ、話題を呼んで再生回数6000万回を超えた
それをきっかけにこの男性は80歳でCDデビューを果たしたという奇跡の実話がベースになっているとのこと
まさに奇跡だと思う
自分がどういうタイプの老人になるのか
アルツハイマーという病気にどう向き合っていくのか
避けては通れないかもしれないことに
少しでも知っておきたい
そんな気持ちで鑑賞しました
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