「前例がない新しい表現だと思いました」果てしなきスカーレット bellkenさんの映画レビュー(感想・評価)
前例がない新しい表現だと思いました
今回、この映画の表現は前例がなく、自分の受け取り方が正しいのか分からない為星3にしました。個人的には星MAX5です。
これは所謂「戯曲」をそのままアニメで表現した作品なのではないかと感じました。
まず冒頭のスカーレットの世界を2D作画表現で描きつつ、背景のレイアウトをひとつの舞台に見立てた=場面にキャラクターが実際の演劇の様に配置され、話が進んで行く様なカットがあり、基本どのシーン、カットもレイアウトとキャラクターの収まりがすごい丁寧に感じられました。
死者の世界に移動してからは3Dに切り替わるものの、昨今のゴリゴリカメラを動かしたり派手なアクションをしたりする様な作品とは真逆で、レイアウトの収まりを舞台に見立ててその収まりに合う様なアクションとなっている様に感じました。
恐らくこの冒頭は「このアニメはこう見せていきますよ」という説明になっているのですが、これは台詞で説明する事がまず基本的に無理で、この冒頭で細田監督の新しいアニメの見せ方を受け取れないと本当に最後まで置いてきぼりを食らう可能性があります。
↓戯曲説明
戯曲は登場人物(キャラクターとも言う)と、彼らが舞台上で行う行為(アクションとも言う)によって構成される。登場人物の行為は通常、連鎖反応的に描かれる。つまり、ある行為が次の行為を誘発し、その繰り返しが劇の始まりから終わりまで続く(ウィキペディアから引用)
否定的な意見の中に脚本について言われている方が多いのですが、これは戯曲としての脚本で、戯曲をそのままアニメ化し、さらに細田監督版ハムレットとされていると私は解釈したので今までのアニメの脚本とは全くの別物で前例が無く、シーンの前後の説明が無いのもキャラクターの説明が無いのも恐らく「ハムレット」を知っているのが前提で描かれている可能性があるため「ハムレット」を事前に読んでおくと見やすいかもしれません。
ちなみに私は「ハムレット」を読んだ事も戯曲というものを見たこともありません。戯曲の意味も映画を視聴後検索して調べてこうではないかと勝手に解釈したものになります。しかしそれ以外この映画を上手く説明できません。
また、作中出てくる龍は「サマーウォーズ」「竜とそばかすの姫」で出てきた守護神のクジラ的な存在であると解釈すれば大分見やすくなります。
戯曲=舞台として見せる+現実世界は2Dで見せる、アクションが強めのシーン+死者の世界は3Dで見せると、今回も2Dと3Dの使い分けが前回に比べてよりパワーアップしている様な感じがしました。ただ、この2D作画と3Dの入れ替わりが絶妙で、上手くいっているのかどうかがちょっと分かりません。
かなり新しいことに挑戦しているイメージが強かったです。
「鬼滅の刃」「チェンソーマン」の後に公開するには余りにもタイミングが悪く、この2作品とは全く真逆かつ前例のない見せ方だと感じたので現状の評価がとても残念に感じました。
個人的にはすごい楽しめて新しすぎて何回も見て考察したいのですが、2100円は高いので配信を待つことにします。
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