「人間本来の核心的な心理世界の深い描写が込められている」果てしなきスカーレット Jy.cさんの映画レビュー(感想・評価)
人間本来の核心的な心理世界の深い描写が込められている
細田守監督の作品を子供の頃から見てきて、新作が世に出る度に国内で広く親しみのあるサマーウォーズや時をかける少女よりも、脚本を監督自身が手掛けるようになってからは非日常的描写やファンタジー要素が増していっているのは間違いありません。
そこに、違和感や躓きを覚えてしまう視聴者は多いのは仕方ないのかなと。
その為、ファンタジー要素や今作品の「果てしなきスカーレット」にはシェイクスピアの「ハムレット」や聖書の宗教描写が多く含まれている観点として国内で視聴する日本人には馴染みがないといった理由で、これらの知識や生死にまつわる普遍的な人間本来の苦しみや悩みに直面して向き合った経験に基づいて視聴者として感じる温度差はあると感じました。
しかし、自分は主人公の強く生きようと足掻きながらも真っ直ぐな姿に感動し涙しました。
それから現代よりも少し未来から来た、もう1人の登場人物に関しても同じく、欠かせない人物で無駄な描写は一切無かったと思ったのが主観になります。
むしろ、これこそ極論になりますが果てしなきスカーレットに理解を得れなかったことへの視聴者の価値観は別とし、批評をする方のレビューや呟きを見て、この反映こそが細田守監督が予測して作品に描写込められているものではないかとまで感じさせられました。
作品の中でも主人公のスカーレットが「分からない」と声にしたり悩んだり葛藤する描写があります。
それは、視聴者も本作品の核心を分からなかったのではないのでしょうか。
個人的に、答えは得るものではなくスカーレットのように自ら気付いてこそのものだと思うからこそ価値観は違くとも、酷評のレビューを見て残念に思いました。
前作品の「竜とそばかすの姫」でも現実世界とネットワークが同時に二つ存在していますが、ネットワークの描写では主にCGでの動きと率直で素直な心の声でのキャッチボールのような心の核をファンタジー要素で包み込ませ、現実とは程遠いような違和感を抱かせる作品として描かれてあります。
しかし、疑問で別の視点で捉えたらその違和感こそ違和感ではなくなっていったことが見る視点によって大きく変えてくれる今の現代社会で大事な「踏み留まる」という観点を伝えてくれています。
細田守監督の作品はどれも、理想の未来志向や立ち向かう精神など一貫して含まれており、本作品でも本来の監督の想いを貫きつつ+αで死後の世界では人間の核心に迫った生と死、内面の葛藤、生きていく上で何が大事なのか、をとても率直に描いています。
それから、芦田愛菜さんの歌が素晴らしかったです。
細田守監督は声優を選ぶ時にその人本来在るものを活かせる人を選んでいる気がします。
芦田愛菜さんは哲学的にとても深い観念があられる方だなと以前のメディアを通して知りましたが、だからこそ本作品に関しても難しいテーマの役を演じられたのだと思います。
そして、別作品にはなりますが岡田将生さんと芦田愛菜さんは終止符の難しいかなり好みが別れる「星の子」という映画でも共演されており、お務めされています。
自分はその映画のあやふやな描写に意味を見出すのが面白くて好きな作品でしたので、ある意味でそちらでも共演されて果てしなきスカーレットでも声優として共にされたのが刺激的でした。
本作品に関しては、どちらの台詞もそうですが芦田愛菜さん演じるスカーレットの台詞は本当に少ないんではないでしょうか。
むしろ、それだけ少ない台詞にこれだけ感情を声に込めて出せる声優さんもなかなかいないと思っただけに震える声に感動に感動して泣いてしまいました。
違和感はあってもそこに疑問を抱いてみるととても、面白いだけではなく現代社会でも生きる上ですごく大事なことを教えてくれるきっかけにさせてくれる作品に出会えて嬉しい限りです。
細田守監督には芯を持って世に本作品を出してくれて感謝しています。
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