「絶望と挫折と孤独の果て」果てしなきスカーレット Don-chanさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望と挫折と孤独の果て
映画を観る前に「角川つばさ文庫」を買って読んだ。全ての漢字にふりがなをふっていて挿絵も有って嬉しい。文庫版よりコンパクトではないが、持ち運ばないから大きいサイズのほうが何かと丁度良い。
内容については様々な解釈が可能である。
スカーレット(声:芦田愛菜)の継母ガートルード(声:斉藤由貴)の心境と陰謀について、本には書かれていたが映画では詳細は描かれていない。しかし、そこは大事な部分ではないと思うし、本の設定と映画の設定が異なる可能性もあり、自由に考察しても良さそうである。
亡き王の娘で叔父への復讐を企てるスカーレットの状況は特殊であるから、各々の想像力が感情移入度と比例する。
「死者の国」と呼ばれる世界を冒険するのだが、その名を付けたそこの住人が真実を知っているという保証もなく、あらゆる情報は何もかも鵜呑みにはできない現代社会と類似しているとも考えることができる。おそらくゲームで例えたら「虚無」がゲームオーバーというのは確かなのだろう。もとの世界に戻るだけが目的ではなく、「死者の国」の謎を解くことも目的ではない。
絶望と挫折と孤独の果ての成長物語なのだ。
私の妄想だが、人はどんな物質を使っても天蓋の向こう側には行くことができず、その代わりに地底には別の世界が存在している。
人類が上ではなく下を本氣で研究すれば、真実に辿り着いてしまうだろう。
全ての人類の共通語が日本語というアニメの世界が好き。
髪がピンク色の女性キャラクターも好き。
得たいの知れない巨大な生き物や古代遺跡も好き。
純粋無垢な主人公が憎しみに支配されて人生の目的を見失う出だしも好き。
弱い者が強い者になるきっかけを描く作品も好き。
固定概念が壊れて新しい自分になる作品も好き。
心の変化を描く作品も好き。
勘違いでも良い。
本作は私のために製作してくれたのではないだろうか、そう思わせてくれる。
スカーレットが「…恥ずかしい」と言ったのは、聖(声:岡田将生)に異性を感じたからかもしれない。亡き父親の博愛精神と聖の言動がやや被る。聖が信頼できる男であると確信したスカーレットは、まだ恋を知らないはずだから、初めての感情に戸惑う。
聖から聞いた未来の世界と未来の歌を想像するスカーレットは、夢か幻か、楽しげに踊るもう一人の自分を見る。別の世界線に存在する短い髪の自分に似た人物、一緒に踊る聖に似た人物、その状況に憧れを抱き始める。…男女が楽しそうに夢中でカラダを動かしている…♥️。
最愛の父親がいない世界でも聖のお陰で希望を見いだすことができた。人生、捨てたもんじゃないってことを知って覚醒するスカーレット。こんなこと、いいな。できたら、いいな。叶えるためには、どうしたらいいだろう…まず、髪くらいなら今すぐできる…って感じかな。
結局、スカーレットが体験したことの詳細は不明である。
いかなる時であっても人を傷つけることを避けていた聖が、正当防衛のためなら実力行使もやむを得ないことを悟る。
「生きたい」と心から言えたスカーレットは、平和を脅かす陰謀や争いに備えが必要であることは勿論、希望を持つことの大事さ、許すことを課題としながら、思い描く憧れの世界に向かって、自分がすべきことをするという覚悟もしたのだ。
映像がとても綺麗で、声に感動できたから満足した。
正直言って興業収入だの興業成績は、あっしには関わりのねえことでござんす。人氣がなければ、ディズニーの『白雪姫(実写版)』のように映画館で鑑賞できた人は、人が体験していない貴重な経験ができたと喜ぶことができるし、もし映画が打ち切りになって早速サブスク配信されても嬉しい。私は困らない。氣に入らないことを氣に入らないとハッキリ言える平和な世界で良かった。自由に書かせてくれて、消さないで残してくれるサイトの運営に感謝します。ありがとうございます。
鑑賞後に再び本を読んで反芻して楽しんでいます。サウンドトラックも欲しいってことで満点評価です。
真逆の評価に共感とコメントありがとうございます。
レビューの中の好きの部分で共感したのでポチりました。
原作を読むほどの愛はないけど、期待して映画を見ての感想です。
私的には批判の俎上にあがってる歌や踊りのシーンは気にならないので、仰ってるスカーレット見出した希望を強く感じれなかったんだと思います。
共感ありがとうございます!
ベネチア国際映画祭で歓迎されている映像を見ると、細田監督が国内で受ける単に面白い作品ではなく、すでにグローバルな映画の製作にシフトチェンジしているのが分かりますね。
スカーレットが継母に憎まれている理由が分からなかったので、原作を読んで解決したかったのですが、映画館のグッズ売り場に見本しか置いていなかったので、Amazonでポチっとしました。
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