「ハムレットの悲劇を止めるには?」果てしなきスカーレット ラックさんの映画レビュー(感想・評価)
ハムレットの悲劇を止めるには?
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戯曲『ハムレット』をベースにしつつ、
「どうすれば復讐の連鎖の末にある悲劇を防げるのか」
という問題に、細田守監督なりの答えを示した作品として受け取った。
復讐の連鎖を断ち切るのに必要なのは“相手をゆるすこと”——。
これだけ聞くとあまりにチープだが、本作はそこでは終っていない。
相手をゆるすというのは、相手の醜さだけでなく、自分が抱いた恨みや憎しみ、復讐心といった負の感情すべてを抱え込む行為であり、それは自己の崩壊にもつながりかねない危険なものだ、と描いている。
だからこそ、相手をゆるすためには、まず“恨みを持ってしまう自分”“愚かな選択をしてしまう自分”をゆるすことが重要だと触れている点は、とても良いと思った。
ただ、全体としていくつか気になるところもある。
最たるものは作中で「復讐が実際に連鎖している」ことがあまり読み取りにくかった点だ。
例えば、スカーレットの復讐が巡り巡って聖の悲劇につながる、といった因果が具体的に描かれていれば理解しやすかったし、思い切って聖を現代の看護師ではなくスカーレットの孫世代くらいに設定し、“復讐の連鎖が世代を超えて悲劇を生む”姿を描いても良かったのでは、とも思った。
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