「薄い、寒い、イラッとする。」果てしなきスカーレット ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
薄い、寒い、イラッとする。
久しぶりに途中で劇場を出たくなった。
言い方は悪いがエンタメはキレイ事の絵空事をどう料理して、観客を納得させ共感させ感動させるかだ。この映画は全てがダメだ。
●物語の根本が薄すぎる。
例えば現実の世界の紛争地帯に日本人が行って、鼻くそほじりながら「争いはよくないよ」と言う。これはそんな映画。
人間が憎しみ争いから逃れられないのは当たり前の話。その残酷な現実とどう対決するかが
人としての存在意義だ。そんな前提も踏まえていない。
現代人の価値基準で過去の争いを愚かと見るとか、視点が浅はかで愚かすぎる。
●世界観が意味不明
死後の世界じゃなくていいじゃないか。かつての中世ヨーロッパでの復讐劇で十分通る内容だ。現代人が過去にタイムスリップする話くらいでもいい。死者の世界にした意味がさっぱりわからない。死者の世界で何かを成し遂げたら生き返れるとかでもない。
正直、細田守が現実世界を描く自信がなくてファンタジー世界に逃げたとしか思えない。
あの竜も意味不明でドラマ上機能していない。いらない。
●人物が薄すぎて共感出来ない。
主人公がもうダメだ。個人的な復讐心だけでギャーギャー叫んで突っ込んで行くだけ。キャラクターとしての魅力がさっぱりない。叔父を倒して平和な王国を建国するとかせめての大義もない。能力もない。つらい修行をして武術を得るでも魔法を得るでもない。現代の高校生が異世界に転生して(ありがちだが)とかのフックもない。
聖に言われて剣を抜かなくなるとか、何の作戦もなく突っ込んでいくとかキャラがぶれまくりと言うか背骨がない。
聖もうんざりするキャラクターだ。こんないいヤツはいないし、紛争地帯で聖者のように行動するあたりは嫌味でしかない。現代の日本人という設定なのにこんな聖人じゃ、ウソ臭くて言う事やることすべて癇に障る。しかも結局、弓で人を殺してて、コイツなんなの?だ。
そして全てのキャラクターが表面的でご都合で動かされ、寒い決め台詞を言う。ちゃんとキャラクターの設定をしてるの?バックストーリーを緻密に考えた?と言いたくなる。
勘弁してほしい。
●映像の狙いが半端。
2DにしたいのかCGにしたいのか実写にしたいのか、どれも半端で映像としても感心しない。
●歌や踊りが寒すぎる。
細田守がもう面白くないのは周りも気づいているだろうな。
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