「聖の行動に正直、虫唾が走った。」果てしなきスカーレット やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
聖の行動に正直、虫唾が走った。
16世紀のデンマーク(でしたっけ?)のとある王国にて。隣国との争いを好まず善政を敷くことで領民から支持されてきた賢王がその弟の策略により王女スカーレットの目の前で殺され、王位を奪われてしまう。復讐に燃えるスカーレットは敵討ちの為の鍛錬を日々繰り返し、新王暗殺を果たそうとするも失敗・・・まるで死後の地獄の様な世界に迷い込んでしまう。そこで現代日本から飛んできた?聖という看護師に出会い、道中苦難に遭いながら彼女は復讐の旅を続ける・・・たふん、そんな感じのストーリーです。
まず描かれるのは属性的に全く正反対な信念をもつ主人公らの二人の敵に相対した時の行動です。
復讐心に支配されて我を忘れ、まるで猛獣の様に剣を振るう王女スカーレットと、博愛心に溢れ敵に対してもすべて話し合いで解決しようとし、傷ついた者であれば敵さえも等しく助けようとする聖・・・はなから両極端すぎますね(笑)。
もしかしたら・・・なんですけど、物語序盤のスカーレットの行動が復讐に狂った挙句、いかに人として常軌を逸しつつあるかを明示するために、聖には極端に現代日本的、つまり理性的で博愛精神に乗っ取った行動をするキャラにしたのかもなあ、と思いました。
しかし、スカーレットは確かに復讐の鬼と化してはいるけど、やたらめったら?出会う敵をすべて殲滅させようとしてるわけじゃないのです。基本、間違いなく悪意ある相手から先制攻撃を受け自己防衛の為に戦ってるだけですよね?
スカーレットが敵意剥き出しの相手に応戦する際、聖は基本傍観者を決め込み、時に客観的に彼女の行動を諌めさえする彼のその行動や態度は、スカーレットの悲惨な生い立ちや彼女が受けた耐え難い苦難を知る者(=私ら観客)からしたら大変奇異に思え、怒りが腹の底から湧き上がる様でした。
お前は彼女の受けた屈辱、苦しみをどれだけ知ってんだ!・・・と。そしてなぜ、身を挺して彼女を守ろうとしないんだと。敵を痛めつけないまでも彼女に加勢し、相手の攻撃の邪魔くらいは出来るだろうと思いました。見るになぜか弓やら馬やら武術の嗜みはあるっぽいのにさ。
上記の通り、彼の特に最序盤の一連の行動は私にとって鬼門でした。スカーレットが劇中口にした言葉であらわせば「虫唾が走った」ともいえます。
こんな感じで物語の序盤から彼の煮え切らない甘ちゃんな行動が常に鼻についちゃって、正直、作品世界に没入できなかったのが個人的に敗因でした。
それでなくても支離滅裂で他力本願なストー・・・もうディスるのはお腹いっぱいなのでこれくらいにしておきます。
なお、映像表現だけはとても頑張っていて素晴らしいので興味があれば、ご鑑賞ください。
では。
共感ありがとうございます!
聖の行動はあまり好きではなかったのですね。前作の「竜とそばかすの姫」では、児童虐待とSNSの陰と陽をテーマに扱って、今までのエンタメ志向からメッセージ性の強い作品に方向転換したのが、細田作品に低評価の多い理由だと思います。
この作品は既に全世界での公開が決定しているようですので、たぶん細田監督は日本国内の評価より、言葉の壁を越えてどれだけ多くの人にメッセージを届けるかを重要視していくでしょうね。
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