「ナニが真の主人公へ」リロ&スティッチ aymiiさんの映画レビュー(感想・評価)
ナニが真の主人公へ
ディズニー実写版の中では久々に高評価と噂の『リロ&スティッチ』、総じて好感度の高い、良い作品であった一方で、リメイクの難しさを再認識する機会となった。
【良かった点】
◎ 実写版ならではのリアリティを感じさせるアレンジが多く「請求書が溜まった家」「医療保険に入ることもままならない姉妹」「ナニのアルバイト先は有名なワイキキのホテル→ローカルなカフェ→サーフィン教室」など、ハワイのロケーション(観光地的側面と、そこに住む人々の生活風景)を存分に活かした映像作品となっていた。
◎ 「家族」は血縁だけを指すのではなく、地域のコミュニティもオハナになるのだと考える、ハワイに根づく精神を表現し切った作品に仕上げている点は見事である。
◎ プリークリーとジャンバが人間に変身するのはアクションシーンを描くうえでとても効果的な演出だったと感じた。空間を繋ぐ銃もエンディングをハッピーエンドへと導いていく良い伏線になっており、無駄のないストーリー展開であった。
⚪︎ ガントゥが登場してこないのは原作ファンとして寂しかったが、今回の上映時間の中で物語を上手くまとめるためには良い判断だったと感じた。
◎ 何よりスティッチが可愛い!質感も意識した撮影方法には圧巻。
⚪︎「悪い子」ではなく「悪いことをしちゃう子」という表現はやはり秀逸。本作品のターゲットであろう親にも子にも届くメッセージ。
⚪︎ 今回吹き替え版を視聴したが、どの声優も素晴らしかった。特にリロはオリジナル版と同じか?と思ってしまうほど。
⚪︎ スクランプは事故に遭ったとしても直るお友だち(人間とは違って)だから、リロにとってことさら大切だったのだろうなあと。そこに現れた無敵の新たな友人スティッチにも、その点は共通している事にも気づき、オリジナル版を観ていた際にはなかった新発見も得られた。
【気になった点】
△ 後半のテンポ感が良すぎる。スティッチがリロたちを家族として大切にしたいと思うようになる契機(みにくいアヒルの子のストーリー)なども丁寧に描いた方が、心に迫る作品となったような気がする。前半のナニの苦労が前面に出過ぎてしまった結果、リロが主人公というよりナニのお話に落ち着いてしまったような。
△ ガントゥが出てこない代わりに、ジャンバが完全に悪役となってしまった。難しいのは重々承知だが、その点も救ってあげられると「本当に悪い子は1人もいない」オリジナル版の魅力が伝わったような気がする。リメイクがオリジナルに勝ると感じるのは大変希少なのだろうと改めて感じた。
△ 瑣末なことだが、プリークリーやジャンバの質感は、もう少し子供が見ても怖くないサラサラ感があっても良かったかも...?エイリアン感は出ていたので、狙い通りなのかもしれないが。
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