「これはあくまで日本仕様の「スピード」」新幹線大爆破 じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
これはあくまで日本仕様の「スピード」
この映画は、日本製アクションにしては間断なく襲ってくるスリルがハラハラドキドキを誘うよくできた映画だ。
この映画を見ると、オールドファンは昭和の時代の同名の映画との関連を考えるし、映画中の「救出号」のくだりはキアヌ・リーブスの出世作「スピード」を思い出すし、ブラピの「バレットトレイン」も浮かぶかな。
ハリウッド映画ならこの映画に3つの要素を加えるだろうなあ
①テロリストとの対決、②恋愛、③格闘アクション
しかも、これを間断なく繰り返すだろうか。
草彅くんの役もおそらく偶然乗合せた元警察官かCIA
豊嶋花はサイコの役になり、大後寿々花の先生は草彅くんと短い恋愛モード。
車掌、運転士、女政治家とその秘書は上院議員になり、医者くらいはいそうだな。
とまあ、こうやって揃えると案外普通のハリウッドアクションになりそうだ(笑)
動機は復習に見せ掛けた金儲けか(ダイ・ハードやん)
しかし、樋口監督らしいのは、「JR」「現場」「政治家」といったワーキンググループを登場させること。
新幹線の連結を外す計画、そこから乗客を逃がすアイディア、政治家の横槍で線路の延長が出来ず、東京に着く前の爆破を選択すること、最後に脱線させる計画など、いかにも必死にやれることを模索する日本人らしさが満載だ。
さて、犯人とされる豊嶋花は心臓にペースメーカーを入れているようだが、そのあたりもう少し丁寧に描かないと動機づけが弱いのは否めないし、昭和の前作が下敷きになっていることの説明ももう少しわかるようにやって欲しい。
カット次第では出来ると思うけど、編集を物語優先で作りがちな「日本の編集」さんに不満。市川崑にやらせたかったなあ。
しかしながら佐藤純彌監督の前作は改めて名作だと確認できた。