「定点観測ならでの展開がもう少しほしい」HERE 時を越えて kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
定点観測ならでの展開がもう少しほしい
定点観測映画という発想は面白い。あの場所、あの家に暮らす家族の物語と思っていた。でも実際は、時代を超えでいくつかの家族を描いた群像劇に近い。同じ部屋の同じ場所でカメラを固定して映し出される物語の描き方はいろいろと工夫されていたし、撮影も大変だったんだろうなと想像する。出演する俳優(特にトム・ハンクスとロビン・ライト)の特殊メイク?CG?も素晴らしい。若い時から年老いてまで違和感が全くなかった。この手の技術は本当進歩しているなと感じる。
でも、観ていても気持ちがあまり乗らない。定点カメラだから飽きさせないようにと考えたのかもしれないが、場面転換が多すぎる。これでは、今どの時代の物語なのかを理解することに意識がいってしまい感情移入しづらかった。でも、そもそもどの家族にも大きな事件が起きるわけでもない。若い男女が家族となり、新しい家族が生まれ、子どもが旅立ち、年老いた家族が亡くなっていく。そんな家族の物語が比較的淡々と描かれていた印象だ。メインとなる家族の物語として考えれば、感動的なラストと言えるのかもしれないが、やはり気持ちが入り込んでいないので感動も今一つとなってしまった。群像劇としての面白さが圧倒的に足りていない。
ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演だったから期待値が高かったかもしれないが、それでももう少し脚本に工夫がほしかった。部屋に飾られている絵や置かれているオブジェや壁のシミや傷がこんな経緯で生まれた!なんて、定点観測ならではのエピソードがあってもよかったのに。様々な工夫と技術は素晴らしいが、肝心の物語が今一つのため、こんな点数とした。
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