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大人の社会以上にヒエラルキー世界なのが、学校。
学園やクラスの人気者、その周りの上位グループ、真面目、体育会系、成績優秀、明らかに浮いてる異端や地味な下位グループ…。
誰しも覚えはある筈。自分はどの位置だったっけ…?
結構こういうのってずっとレッテルを貼られ、各々気にしたり、学校生活に影響及ぼす。成績以上に死活問題。
ヒエラルキーって目で見て分かるもんじゃない。何かこう漠然と…。
しかしそれがもし、はっきりと形になったら…? 例えばランキング…。
私立灰嶺学園2年D組。
新学期のある日、クラス全員と担任に怪メールが届く。
それは、クラス全員と担任を序列したランキング。
誰かの悪戯…? 不審がるも、担任の指示で意に介さない事になったが、明らかにそれは水面下でクラス皆に波紋を…。
半年後、思わぬ事が。序列1位の女子が謎の自殺…。
さらにクラス全員に、その女子から“遺書”が…。
序列ランキング、クラスメイトの自殺、謎の遺書…。この不可解な出来事は一体…?
と共に炙り出されていくクラスの人間模様…。
ベタな漫画チックな幕開け。(原作は漫画)
所々、大袈裟な演出や粗い点も。
集められた若手俳優たちも演技力に差やオーバーリアクションも。とある女子の目ん玉バッキバキはやり過ぎ…。
しかしそれらを堪えると、見応えや面白さは徐々にヒートアップしていき、若手俳優たちのアンサンブル熱演も相まって引き込まれていた。
序列1位の女子、姫山。
美人で成績も優秀。誰からも好かれ、誰にも親切で、序列2位の赤﨑とらカップル。
そんなヒエラルキー上位の人気者の彼女が何故自殺した…?
ホームルームの時間を利用して、姫山の自殺の謎を探る為に一人一人、遺書を公開する事に。
遺書は一見、姫山からクラス一人一人に感謝を告げているように思えるが…。
遺書の内容に違和感を感じるという者も。ヒエラルキー中間や下位に位置する金髪男子の千蔭や人間観察が趣味の廿日市や特に目立たぬも冷静な池永。
その指摘通り、遺書公開をきっかけに、クラスメイトの表裏の顔が暴かれていく…。
衝撃だったのは、姫山に近い者の本性。
序列2位でイケメン彼氏の赤﨑。性格もナイスガイと思いきや、クラスの他の女子にもちょっかいを出し、姫山と付き合った理由は俺なら1位の女を落とせると豪語するクソ野郎だった。
序列3位で姫山と親友の御門。クラスメイトたちの暴露に激昂し、親友からの感謝の遺書に感激していたが…、遺書の内容はある引用で、“親友”に宛てたものではないと指摘。本当に親友だった…? 窮地に立たされた御門は本性を現す。
私が『ベイビーわるきゅーれ』好きだからこの若手俳優たちの中でもどうしても高石あかりに目が行く。期待に違わぬ圧巻の見せ場あり。あの大豹変怪演、さすがの演技力と存在感。
序列下位の陰湿男子が赤﨑と他の女子が付き合っていると暴露。
序列下位のゴシップ好き女子が姫山の家庭事情を暴露。
それらが積み重なって自殺した…?
しかし、まだ自殺の決定的理由が見えてこない。
そんな時遺書公開の中で、序列ランキングや遺書の“犯人”が明らかに。
一人の犯行ではなかった。ましてや、姫山自身がやった事ではなかった。最も姫山亡き後に遺書はクラスメイトそれぞれの机に置かれていたのだから、姫山の犯行ではないのは明らかなのだが。
まず、ランキング。これは廿日市。クラスメイトを何か格付けしたのではなく、“ホームルームで発言しそうな順”と趣味の人間観察で憶測でランキングしたもの。
序列などではなかった。何故序列ランキングとして…?
そのランキングを書いた紙を落としてしまった廿日市。その紙をたまたま拾ったムードメーカー男子。勝手に序列と思い込み、面白半分で職員室のパソコンから皆に送信。
下らないランキング、面白半分で序列として。そのせいで皆が困惑し、一人の命すら…。非難轟々。
では、遺書は…? 遺書公開トリとなった池永が打ち明ける。遺書を“置いた”のは自分だと…。
あくまで“置いた”だけであって、書いたのは自分ではない。
頼まれたのだ。姫山から…。
実は幼馴染みであった姫山と池永。
幼い頃お互い電車好きがきっかけで親しくなるも、姫山は突然転校。入学式で久々に再会し、この新学期で同じクラスになった。
が、あの頃とは違う。他人行儀になり…。
姫山は変わったという池永。何か苦悩を抱えているような…。
それを感じた者は他にも。八方美人で一生懸命装っている。
クラスで異彩を放つ金髪男子や序列最下位の男子が証言。各々、姫山と関わりあり。
姫山は苦しんでいた。
強要されていた。
序列1位のプレッシャー…。
誰にもフレンドリーに接しなくてはならない。
クラス一番の美人…という訳ではない。
成績も群を抜いていいという訳ではない。
スポーツもいまいち。演技もあまり…。それでも“1位”という理由でアンカーを任され、主役をやる事に。結果、散々言われ…。
“1位”という理由で親しかった友達が離れていく。“1位”という理由で近付いてくる者も。
担任に苦悩を相談。ところが、1位の姫山に対し俺は10位と嫌み。コイツ、担任のくせに…。序列最下位でいいと思う。
好きも嫌いも含めて、2D皆を愛している。その言葉に偽りはないと思う。だけど…。
1位の過度の期待。重すぎるプレッシャー。1位がこんなにつらいなんて…。
姫山は人知れず、“1位”に憧れていた。
何事もパーフェクトだった亡き姉。
お姉ちゃんみたいになりたい…。1位になりたい…。
その本心を、SNS上の日記に。
それを見つけ、1位にしてあげると叶えさせた者がいた。あるランキングを作って…。
1位の重圧の苦悩を日記に。そこから一人一人に遺書を。人間観察で。
遺書を書いたのは、廿日市…。
途中、ランキングを書いた事で真犯人から除外されたと思いきや、クライマックスで再び真犯人として。なかなかのどんでん返し。
そんは彼女と席が近い故よく話をし、クラスの一連の騒動を冷静に傍観しながらも、実はキーマンと真犯人だったという役所を、吉野北人と志田彩良の抑えた演技が光る。
しかし、廿日市の動機がいまいちピンと来ない。
姫山の夢を叶えてあげるって、何故そんなシンパシーを…?
面白そうと思ったから…? 人間観察からの興味本意…?
ツッコミ所も多々。
ただのホームルームで発言しそうなランキングなら、端からそう言えばいいじゃん。
職員室のパソコンから送信って、生徒が職員室に入ってそんな事出来る…? 常に誰かしら居るだろうし…。
誰かの裏の顔や犯行を、誰かが必ず見ているご都合主義。
それら難点、コミックテイストが多い英勉監督や脚本をバラエティー作家でもある鈴木おさむの起用が仇になったかと思ったが(以前もコメディ『ハンサム★スーツ』でタッグ)、何とか悪くないエンタメ学園ミステリーを保った。
一応事件は解決し、一件落着。また平穏な学園生活を…。
このシーン、違和感を感じた。クラスメイトの裏の顔や本性や本心が暴かれ、どんな理由であれ自殺者も…。
このクラスの行く末は…?
覗いている者がいた。性懲りもなく。
新たなランキングを発表。
人間観察は続く。