劇場公開日 2025年1月25日

「こんなに静かで誠実で丁寧な映画だったとは」雪子 a.k.a. La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

こんなに静かで誠実で丁寧な映画だったとは

2025年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ヒップホップを愛する小学校の若い女性教師が夜にはラッパーとしてライムを綴るお話です。先生とラップという組み合わせの新しさから、彼女が日々の鬱憤を一気にぶった切る物語かと思ったら全く正反対の作品でした。

 彼女は、誠実に生きたいと願いつつ迷いや躊躇いをラップで丁寧に綴るのです。その細やかな言葉選びが観る者の胸に静かに響きます。僕がラップに全く馴染めないのは、互いに初対面の人間同士が相手を罵る様に噛みつくMCバトルの言葉の暴力性が不快だからです。なぜいつも喧嘩腰なんだ? 「互いに手を取り合おう」というラップじゃダメなのか? 「自分には攻撃なんて出来ない」ではラップにならないのか? 内省的・後ろ向き・独り言のラップでいいじゃないか、と考えてしまうのです。しかし、本作の雪子のラップにはその戸惑いが感じられました。それ故、終盤のピアノのカノンに乗せたラップは拙いにもかかわらず思わずウルウルと来てしまったのでした。

 誠実に丁寧に作られた映画だったと思います。

La Strada
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