「歴代最高傑作」映画ドラえもん のび太の絵世界物語 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0歴代最高傑作

2025年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

ここ数年のドラ映画には冒険が足りないと、ずっと思っていた。不思議な世界や国に冒険に出かけはするのだが、出かけた先にひみつ道具を超える不思議な道具がたくさんあって、それらの道具を使ってわいわいと楽しむことがほとんどだった。まるでレジャーランドに出かけ、用意されたアトラクションを楽しむかのような、冒険とはかけ離れた代物のように私は感じていた。
しかし本作はちゃんと冒険する。絵世界へ行き、さらに別の世界に迷い込み、出会った人と心を通わせながら、ドラえもんの道具を使って困難に立ち向かうのだ。そういう映画だったことがすごくうれしかった。楽しかった。
また、心通わせた人を想うのび太が泣きながら勇気を振り絞る『のび泣き』に頼らなくても、現代のドラ映画スタッフが映画を作れるということを証明してくれた点も良い。

しかし、こういった映画そのものから離れた点ばかりを気に入ったわけでもない。もちろん、ちゃんと…いやかなり面白かったのだ。
まず語りたいのは予想のつかないストーリー。突然現れる謎の絵に、いわくありげな登場人物、トラブルを生むスネ夫とジャイアンのよこしまな欲望、王国を襲う悪魔の影に、絶望を覚える。それらが次々と展開されて息継ぎの暇もないくらい。しかし疲れることもなく、常に次の展開をウキウキしながら待つ自分がいた。
しかも、話のテーマはずっと一貫している。誰かを大切に想って描いた絵は、ただそれだけで尊いものである、と…。テーマも良ければ、魅せ方も巧みである。非常に、良い…。
また、映画のゲストキャラも良かった。適度にかわいく、生意気で、でも一生懸命で。しかも映画の中心にはいたのだが、必要以上に持ち上げられることもなく、すっきりとした見ごたえがあった。そういえばしずかちゃんも今作は有能で、すごく魅力的に写った。

まだまだ褒めたい。褒め足りない。たくさんのひみつ道具がこれでもかと出てきたこと、タイムパトロールが珍しくポンコツだったこと、アクションシーンもかっこよかったこと、そして昔のドラ映画をリスペクトしたシーンがたくさんあったこと…。

そう、本作は『鉄人兵団』や『大魔境』、『魔界大冒険』のようなドラ映画の傑作を彷彿とさせる作りの作品であり、かつ現代のアニメ技術をふんだんに使って作られた作品なのだ。
そんな映画が面白くないわけがない!今までずっと「新ドラは認めない。旧ドラの方が映画は面白かった」と頑なな姿勢をとっていたが、そんな姿勢を崩すほど面白く、さらに子供の頃の思い出補正すらも超越してしまった。現代にこんな素晴らしい映画を作ってくれたスタッフには感謝しかない。本当に、良い映画体験だった。

サブレ
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